なぜ日本のIT企業のオフショア開発が活発化してるのか

10.12,2022

現在、日本のIT企業では、IT人材不足と労働生産性の問題が深刻化しています。このような状況の中、エンジニアの不足解消とIT人材の適正を目的として、多くの企業が導入しているのがオフショア開発です。本記事では日本のIT企業におけるオフショア開発導入の経緯と潮流について解説します。

日本のIT企業におけるオフショア開発の経緯


日本のIT企業によるオフショア開発は1980年代から始まりました。2000年代になるとオフショア開発の市場規模は急速に拡大し、2008年には1000億円規模に到達しました。総務省の統計によると、2007年の時点で、日本のソフトウェア開発企業の36.8%がオフショア開発を活用しています。

基幹システム開発における一般的な開発手法はウォーターフォール型で、その開発プロセスのうち開発コスト費用が最も多くかかるのは、上流工程以後のコーディングや単体テストといった下流工程です。この工程は、工数は膨大であるものの付加価値として低いと考えられたため、開発プロセスを分業化して単価の安い下請け企業にアウトソーシングすることで開発費を大幅削減しようという取り組みが広がりました。

こうした開発の分業体制とアウトソーシング化は、元請けから下請け、ニアショアへと再委託が進み、さらにより安い単価を求めて中国などの海外のソフトウェア開発企業の活用が増加したことにより、オフショア開発による国際分業体制が確立されていきました。

2000年代後半に入ると、オフショア開発国として先行していた中国における人件費の高騰や、中国国内の政治、経済、社会情勢などの変化に起因するリスク、いわゆるカントリーリスクが懸念材料とされ、日本企業はオフショア開発を中国からベトナム、フィリピン、インド、などへのシフトを進めました。

このような経緯から、現在は東南アジアや南アジアは優良なオフショア開発国と認識されるようになっており、中でもベトナムは日本企業に最も人気のあるオフショア開発国となっています。


日本企業が抱えるIT人材不足とレガシーシステムの問題


現在、日本国内のIT産業は深刻な人材不足の危機に直面しています。2018年に経済産業省が発表した『DXレポート』によると、2025年には日本国内で43万人ものIT人材が不足すると予測されています。

さらにこの中では、日本企業の将来の成長および競争力強化のために、新たなデジタル技術を活用して新たなビジネス・モデルを創出・柔軟に改変するデジタル・トランスフォーメーション(DX)の必要性について指摘しています。

しかし、DX推進の向けた日本企業が抱える課題は多く、その課題を克服できない場合はDXが実現できないのみならず、2025年以降、最大で年間12兆円(現在の約3倍)の経済損失が生じる可能性があると予測されています。これを「2025年の崖」と呼んでいます。

2025年の壁

それでは、日本企業のDX推進を阻む問題とは何か。その要因の1つは、DXを主導する役割を果たすDX人材・IT人材の不足です。もう1つの要因は、レガシーシステムの問題です。レガシーシステムとは、基幹システムなどを稼働させるメインフレームやオフコンなどのことを指します。構築から既に20年以上経過していても、今なお現役として多くの企業がレガシーシステムを保有しています。

こうしたレガシーシステムは、各企業独自のオーダーメイドで開発したものが多く、企業を取り巻く社会や法令の変化に応じて必要な修正や追加を繰り返し対応してきた経緯があります。その結果、システムは非常に複雑な構成となってブラックボックス化し、DXを実現のためのデータ活用を上手くできないという問題を生じさせています。

データの活用はDXの要であるため、DX推進のためにシステム全体の見直しを迫られる企業も少なくありません。しかし、システム全体を刷新するとなると膨大な投資が必要になると想定され、経営戦略の模索を続けているなかにおいてDXの実現性や投資対効果への不安感から、DX投資になかなか踏み切れないという実情もあるようです。

オフショア開発ニーズの変化、コスト削減と高度IT人材の確保


世界的に見ても、DX推進は企業にとって急務とされています。 しかし、日本国内では、少子高齢化の影響によりIT人材の確保が容易ではない状況が続いています。ベテランエンジニアの退職や高齢化は年々進んでいる一方で、若年層エンジニアもレガシーシステムに関する業務に魅力を感じておらず、稼働を続けているメインフレームの担い手も減少しています。

さらに、AI、IoT、ブロックチェーン等の先端技術の活用が望まれるなか、そうした最先端技術に対応できる先端IT技術者もまだまだ不足しています。一部において、若年層エンジニアに対する先端技術教育や、ベテランエンジニアが最先端技能を学び直せるリスキリング環境の整備などが進められているものの、海外と比較すればそのスピードの遅れはめません。また、既に高度な先端技能を保有する即戦力となる先端IT技術者の人件費も高騰している状況があります。

こうした背景から、国内では確保しづらい先端IT技術者を海外に求める動きが活発化しており、オフショア開発はそうした動きの1つにもなっています。

先述のとおり、かつてのオフショア開発のイメージと言えば、その主な目的が開発コストの削減であったため、開発プロセスにおいては相対的に付加価値の低い中流から下流工程を分業化して、安い労働力を活用しようというものでした。そのため、オフショア開発企業への委託内容は、基幹システム開発の下請けとして上流工程以下のプロセスであったり、Webやスマートフォン等のアプリケーションフレームワークを活用した開発などが中心でした。

ところが現在、日本企業のオフショア開発へのニーズに変化が現れており、それに対応するオフショア開発企業も増えつつあります。昨今では上流工程から製造工程までの開発プロセスを一貫してオフショアで開発することや、アジャイル開発モデルへの対応、レガシーシステムのモダナイゼーションやマイグレーション、またAI、IoT、ブロックチェーン、Web3などの先端IT技術領域までオフショア開発を活用する動きが見られるようになっています。



今回は以上です。

本ブログでは、オフショア開発に関するお役立ち情報や、IT業界で注目を集めている話題をテーマとして多様な情報をお届けしています。

オフショア開発にご興味のある方は、『オフショア開発とは|メリット・デメリット・成功に導く6つのポイント』の記事も是非ごご覧ください。

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