オフショア開発とは|メリット・デメリット・成功に導く6つのポイント

10.12,2022

日本国内のIT人材不足が深刻化する昨今、オフショア開発は人材リソースを確保できる限りではなくさまざまなメリットをもたらします。本記事では、オフショア開発のメリット・意思決定や開発プロジェクトを成功に導くポイントについて解説します。


オフショア開発とは

 

オフショア開発とは、ソフトウェア開発やWebシステム開発、システムの保守運用などを、海外のシステム開発ベンダーや海外現地法人などにアウトソーシングすることを言います。

日本のIT企業におけるオフショア開発の目的は企業ごとのそれぞれの、主な目的としては、「開発コストの削減」「エンジニアの適正化」「現地市場への参入」と言えます。

開発コストの削減

システム開発費用の大半を占めるものは人件費です。そのため、東南アジアや南アジアなどの賃金が低い海外エンジニアを活用して人件費を抑えることで開発コストを削減することができます。どれ程度のコストが削減できるかは、オフショア開発委任国をどの国にするか、どの工程のどんな内容を対象とするかなどにより、削減できる費用は異なります。

エンジニアの確保

日本国内ではエンジニア不足が続いており、今後は更に深刻化する見通しで大きな課題となっています。一方、オフショア開発の委託先となる国々では、IT産業が著しい成長を遂げています。これは、国や政府主導でITエンジニアの育成に取り組んでいる結果であり、若く優秀な人材が豊富です。また、それぞれの国に日本や英語などの外国語教育にも力を入れている企業もあり、日本企業の受け入れ体制を整えています。そのため、日本企業にとっては人材リソースを確保しやすく、必要なリソースを必要なタイミングで活用できるようになっています。

現地市場へ参入

中国や東南アジアの国々の現地市場に自社の製品を投入するために、現地進出してローカライズや保守などをオフショア開発でを行う日本企業が増えています。

オフショア開発のメリット

開発コストを削減できる

まずは、開発人件費の削減があげられます。オフショア開発委託国の選び方次第で差はありますが、オフショア開発の黎明期に比べるとアジア圏の人件費(人月単価)は全体的に上昇傾向にあります。しかし、それでも東南アジアや南アジアのITエンジニアの人件費は日本よりも安価なレベルで維持されています。人件費は開発コストの中で最も大きな割合を占めるため、開発規模が大きな案件や開発期間が長い案件ほどコスト削減のメリットは大きくなります。

必要な人材だけを確保することができる

開発に必要な特定スキルを持つ人材を確保することができます。人材が確保できないことによって開発がスタートできない、遅れる、もしくは開発費が高騰してしまう、といったことなくプロジェクトを進められます。

開発プロセスの必要な工程をアウトソーシングできる

開発工程の一部をアウトソーシングすることができます。例えば、開発プロセスでボリュームが大きくコストがかかる工程を切り分けてアウトソーシングすることで、大幅なコストダウンやスピードアップを図ることができます。

また、一部の有力なオフショア開発企業においては、日本企業との豊富な取引経験や実績を有し、企業規模も大きくITエンジニア数を数千人規模にまで拡大している企業も存在しています。そのようなオフショア開発企業には経験豊富で優秀な人材が大量に集まっており、上流工程から下流工程までの一貫した開発プロセスに対応できる体制を整えています。

国内で不足している先端IT技術者を確保できる

例えば、ベトナムでは、自国における第4次産業革命に対応する研究開発や応用技術の活用を国家として推進しており、自国の内でソフトウェア開発業務を行うオフショア開発会社を支援しているため、先端IT技術者を育成する土壌があります。

そうしたことから、オフショア開発国には世界的な潮流に敏感で、先端技術分野においても前向きに取り組む若くて優秀なエリート人材が多く、DX推進に不可欠な先端IT技術者を確保することが可能です。

実際に、先端技術に積極的に取り組むオフショア開発会社では、自国政府や公共機関向けに、先端デジタル技術を活用した自動化システムや自立制御システムなどの様々な先端システムを開発した実績を持っており、高い技術力を幅広く保有していると言えます。

開発形態、契約形態を選ぶことができる

オフショア開発における主な契約体系としては、請負型開発(請負契約)とラボ型開発(準委任契約)があります。

【請負型開発(請負契約)】

請負型開発は、発注側の仕様や要件に基づいて開発を行い納期までに成果物を納品する契約で、納品される成果物に対して対価が発生します。したがって、発注側は開発プロセスにあまり関与しません。また、オフショア開発会社側は瑕疵担保責任を負います。

請負型開発では、主にウォーターフォール型で開発を進めていきます。事前にシステムの仕様や要件を詳細に定めて、要件定義から運用までの一連の工程を上流から下流まで順番に進めていく手法のため、途中での仕様変更は困難になります。そのため、事前に要件が固まっていて変更の可能性がないことや大規模開発などに適した方法になります。

【ラボ型開発(準委任契約)】

ラボ型開発は、発注側の要望にマッチしたスキルを持ったオフショア開発会社の開発要員が一定の期間、発注側の専属要員として開発を行うというもので、労働期間に対する契約となります。通常は、一定期間(3ヶ月、半年、1年など)ごとに見直すことができます。費用は、一般的には各開発要員のスキルや経験、業務量等に応じて人月単価が設定されており、毎月必要な業務に従事する要員数と人月単価の積で計算されます。

契約期間中は、自社専属の開発チームとして業務に取組むため、開発人員を一定期間内確保できるとともに、社内に開発ノウハウを蓄積することができるメリットがあります。なお、労働期間に対する契約のため、オフショア開発会社側には成果物に対する瑕疵担保責任はありません。

ラボ型開発では、ウォーターフォール型で開発を進めることもありますが、アジャイル型で進めるケースも多くなります。アジャイル開発では、要件定義から運用までの一連の工程を順番に行うのではなく、短期間に小さな開発規模で分析・設計、開発、テスト、リリースを行い、その一連のサイクルを何度も繰り返し実施します。

そのため、小~中規模の開発に適しており、要件や仕様の詳細が定まっていない場合にシステムの開発を進めながら詳細な仕様を詰めていったり、市場や顧客の動向を見ながら機能の修正や変更を行ったりといった柔軟な対応が可能になります。また、サービスを短期間で素早くローンチしたい場合などにも有効です。

【BOT方式(Build – Operate-Transfer)】

その他にも、近年はラボ契約の進化形とも言える「BOT方式(Build – Operate-Transfer)」も注目されています。BOT方式とは、自社のオフショア拠点の設立する上で、まずは現地オフショア開発会社に自社専用のオフショア開発センター(ODC:Offshore Development Center)を作って開発、運用を進め、それが安定的に稼働できることを確認した後など、一定の条件のもとでODCを買い取って子会社化する契約方式です。

現地法人設立初期コストを押さえつつ、現地開発拠点の構築(Build)、運営(Operate)、委譲(Transfer)まで、ローリスクかつスピーディーに実現可能です。

オフショア開発における課題
 

言語の壁

オフショア開発を委託する場合に一番気になることは、言葉の壁でしょう。言葉の壁によりコミュニケーションロスが生じて開発に支障が出る可能性があるからです。実際にはどこの国にオフショア開発を委託しても主言語は英語になることがほとんどですが、日本企業向けのオフショア開発企業であれば日本語スキルが高い人材が在籍してるので、必要に応じてそうしたブリッジエンジニアを採用すれば問題は解消できます。

文化や商習慣の違い

文化(国民の祝日や旧正月)や商習慣(定時で帰る、残業はしない、休日出勤はしない)の違いにより、開発スケジュールに支障が出る可能性があります。ただし、あらかじめ現地の開発リーダーやブリッジエンジニアを採用していれば、休みなどは事前に予測でき開発メンバーに残業の交渉もしてもらえるため、あまり問題にはならないでしょう。

海外との時差

海外との時差がミーティングの支障になる場合もあるでしょう。ただし東南アジアであれば時差は1〜2時間なので、オンラインミーティングやチャットなどの、コミュニケーション手段を活用すれば問題は解消できることがほとんどです。ただし物理的にモノ(契約書、サンプル等)を届けたりする場合は、1週間程度時間を見る必要があります。

品質やセキュリティに対する意識の差

国民性が影響し、品質やセキュリティに対する意識が異なる場合があります。一般的にはテストや評価の基準を明確(書面)にし、事前にセキュリティ教育を行うなどして対処しますが、経験豊富なオフショア開発企業に委託すれば、情報セキュリティ対策や品質マネジメントシステムを導入しているので安心できるでしょう。

オフショア開発を成功に導く6つのポイント
 

オフショア開発の課題には、コミュニケーションや文化の違いに関すること以外にも、仕様書の問題、分業分散体制への取組み、オフショア側を見下したり丸投げして管理不在になる問題など、日本側の姿勢に起因するものも含まれます。 そうした課題を克服し、オフショア開発を成功させる主なポイントをご紹介します。

文化や習慣の違いを埋める

まずは、オフショア拠点を置く国のカントリーリスク、文化や商習慣、国⺠性の違い による思考や価値観の相違点、行動特性などを予め調べておきましょう。 意思疎通に問題が生じないように、標準プロセスの確立、情報共有化の仕組み作り、 共通意識を持てるようにしましょう。チャットやTV会議システム、プロジェクト管 理ツールの導入等、コミュニケーション補完としてツールの利用が有効です。 進捗確認やホウレンソウの徹底、レビュー会議の頻度を上げることなどもポイントで す。

日本企業とのプロジェクト経験を持つ調整能力の高いブリッジSEを起用する

ブリッジSE(BrSE)とは、日本とオフショア拠点との間に入り、両国の文化や言語 の壁を乗り越えてコミュニケーションを橋渡しする役割のエンジニアです。日本語と現地語の両方の言語能力が高く、日本の文化や商習慣を熟知した調整力に優れた人材を起用することで業務の円滑化を図ることができます。BrSEの代わりに技術に明るくない通訳者のみを起用するケースも希に見受けられますが、無駄なコストが増えるばかりでおすすめできません。また、必要な場合には日本人SEがオフショア現地に中期出張して、現地リーダーを直接指導したり問題解決に当れば現地の生産性や理解度が向上 するでしょう。

指示を明文化する

指示は必ず文章にして伝えることが重要です。認識の違いを生まないように、曖昧さを極力省いてシンプルかつ明確に表現するを心がけます。言葉を定義する、短く簡潔な日本語で表現する、図や表を多用する、「可能/不可能」「必要/不要」「有/無」 などの可否や、「量」「期間」「範囲」を明確にするなどがポイントです。さらに、 重要事項は確認サインをもらったり、項番をつけて管理するなど、伝達ミスを改善する工夫を取り入れましょう。

仕様を安定させる

日本型の開発では、オフショア開発の委託先との契約時に最終仕様が見えなかったり、 仕様の不備や仕様変更の繰り返しが見られますが、これらはプロジェクト失敗の要因となります。また、仕様変更はコストに多大な影響を与えます。逆に言えば、仕様の安定化 によってオフショアエンジニアの高い生産性を享受できます。なお、仕様変更自体は 問題ありませんが、納期、有償か無償かの判断、契約の見直しなど、仕様変更のルー ルを明確化しておきましょう。

品質の定義と可視化

「品質」に対する意識は、日本と海外では同じではありません。品質に対して何の定義もなく漠然と要求しても、それを海外エンジニアが暗黙のうちに汲み取って、期待通りの品質を成果物に反映させてくれるということはありません。そうした齟齬を回避 するためには、望む品質レベルを定量的に定義して可視化すること有効です。また、 レビュー実施タイミングや成果物、また欲しいデータの種類や計測方法、報告時期なども規定しましょう。

品質の技術指導

品質管理の手法は、自社の手法あるいは相互で取り決めた手法を選択すればよいですが、オフショア開発会社のPMに任せきりにするのではなく、必ず自社で確認するようにします。日本企業との取引経験の少ないオフショア開発会社の中には、組織内で技術スキルを共有する仕組みがなかったり、組織レベル自体が高くない企業もあります。また、取引経験があったとしても企業ごとに品質管理の手法が異なることがあるため、最初に自社の品質向上の概念の共有化や技術ノウハウを開発プロセスに組み込んで指導するとよいでしょう。



今回は以上です。

本ブログでは、オフショア開発に関するお役立ち情報や、IT業界で注目を集めている話題をテーマとして多様な情報をお届けしています。

オフショア開発にご興味のある方は、『【2022年最新】オフショア開発の人月単価相場動向、人気のベトナムほか国別比較』の記事も是非ごご覧ください。

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