December 26, 2023

Einstein 1 Platformとは?特徴や機能、作れるアプリ例

目まぐるしく変化するAI時代において、システム開発のスピードと人材の確保はますます重要視されるようになりました。そのような背景からローコード・ノーコード開発が注目されるようになりました。 

Einstein 1 Platformは、Salesforceが提供するローコード開発ツールです。本記事では、Einstein 1 Platformの概要や特徴、機能、実際に作れるアプリ例をわかりやすくご紹介します。 

Einstein 1 Platformとは?

Einstein 1 Platformとは、Salesforceが提供する業務アプリケーションを簡単に構築できるクラウドベースのローコード開発プラットフォームです。 

Einstein 1 Platformはあらゆるビジネスプロセスを連携させて、一貫した顧客体験の提供を実現するのに役立ちます。また、独自開発AI「Einstein」が搭載されており、Salesforce Data Cloudなどで外部システムやIoTデバイスデータと統合することで、大規模処理や予測機能、生成機能なども利用することができます。 

Einstein 1 Platformのメリットは、最小限のコーディングで誰でも業務アプリを構築できる点ですが、コーディングを加えることでより高度なシステムを開発することも可能です。また、あらゆるデバイス、モバイル対応のアプリも構築することができます。 

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ローコード・ノーコード開発が注目を集める背景

上述したようにEinstein 1 Platformは、Salesforceのローコード開発ツールですが、そもそもローコードとは何でしょうか。そのメリットや注目されている背景についてご紹介します。 

ローコード/ノーコードとは?

ローコードとは、高度なコーディング技術を持たない人でもあらかじめ用意されている部品を組み合わせることでシステムを構築する開発方法のことです。ノーコードは、ローコードよりもさらにコードを記述する作業が減り、誰でも簡単にテンプレートや部品をドラッグ&ドロップによって組み合わせてシステムを構築できる開発方法のことです。 

ローコード/ノーコード開発はDXを加速させる

DX(デジタルトランスフォーメーション)の主要な課題は、システム開発のスピードと人材確保にあります。これに対応するために、高度なITスキルを必要とせずにアプリケーションを迅速に構築できる「ローコード/ノーコード開発」が注目されているわけです。この手法は開発速度を上げ、IT部門以外の人材も開発に参加させることができます。Gartnerは、2024年までにアプリ開発全体の65%以上をローコード開発が占めると予想しており、システム全体の品質向上、人材不足の解消に寄与し、企業のDXを加速させると期待されています。 

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Einstein 1 Platformの特徴とメリット

誰でも簡単に素早くアプリが開発できる

上述した通り、Einstein 1 Platformは、業務アプリをローコードで開発できるプラットフォームです。ローコードであるため、あらかじめ用意されているパーツをドラッグ&ドロップするだけでアプリケーションを構築することが可能です。コードをあまり記述する必要がないため、開発に要する時間を大幅に短縮することが可能です。また、コーディングできる場合は、より複雑なシステムを構築することも可能です。さらに、モバイルにも対応したアプリケーションを開発することもできます。 

導入コストが低い

Einstein 1 Platformは、Salesforce製品の中ではライセンス費用が低く、営業、サービス、マーケティングの機能を拡張できるStarterプランであれば、1か月1ユーザーあたり3,000円で導入することができます。他にも、あらゆる部門のビジネスプロセスに対応したPlatform Plusプランも提供されており、こちらは1か月1ユーザーあたり12,000円で導入することができます。 

そのほか、細かい部分で仕様が異なるので、詳細は公式サイトを確認してください。 

各種エディションと料金|Salesforce Platform 

開発から運用・管理までできる

Einstein 1 Platformを導入することで、アプリケーションの開発からデプロイ、運用までを1つのプラットフォーム上で行うことができます。また、Einstein 1 Platformは、クラウドサービスであり、インフラストラクチャの構築・運用・保守はSalesforce側が担当するため、IT担当者はこれらの作業から解放され、アプリケーションの開発に専念することができるようになります。 

信頼できるAIが搭載されている

Einstein 1 Platformには、AIが搭載されており、企業は連携されたData Cloudのリアルタイムデータをもとに、AIの予測機能やコンテンツ生成機能を活用することができるだけでなく、AIを搭載したアプリケーションやワークフローを構築するすることができます。これにより、これまで以上に生産性の向上、コスト削減、顧客体験の向上につながることが期待できます。 

外部システムのデータを統合することができる

Salesforce Data Cloudと連携することで、Salesforceおよび他の外部システム(SAPやORACLEなど)のリアルタイムデータをアプリケーションに統合することができるようになります。これに加えて、AIの予測機能や大規模処理能力、生成機能を開放し、より顧客本位なサービスの提供を実現することができます。 

安全性が確保されている

Einstein 1 Platformは、あらゆる業界・機関の中でも最も規制が厳しいと言われている金融サービス業や医療サービス業、政府機関が信頼しているセキュアなアーキテクチャに基づいて構築されています。2要素認証を始めとしたエンタープライズレベルのセキュリティ機能が備わっており、すべてのアプリケーションにおいて安全性が確保されています。 

Einstein 1 Platformの機能

Lightning Object Creator

Lightning Object Creatorは、数クリックでスプレッドシートをクラウドベースのアプリに変換できる機能です。これにより、Microsoft ExcelやGoogleスプレッドシート、CSVファイルなどからデータを取り込み、生産性を向上させるカスタムオブジェクトを迅速に作成できます。手作業ワークフローをカスタムオブジェクトに変換し、コラボレーション、モビリティ、カスタマイズ可能なUI、ワークフロー自動化などの機能を提供します。簡単な手順で利用でき、プロセスの効率化とデータ統合を実現できます。 

AppExchange

AppExchangeは、豊富なアプリやコンポーネントをセールスフォースに導入できるアプリストアです。部門毎や業種ごとの拡張が簡単にでき、ビジネスに役立つソリューションが数多く揃っており、日々多くのアプリが追加されています。モバイル対応のアプリケーションも多数あり、セキュリティも確保されており、すぐにダウンロードし、どこからでも業務を遂行できます。すべてライトニングからアクセスできるため1つの画面で、多くのアプリケーションや、コンポーネントなどを簡単に利用できます。 

Heroku Enterprise

面倒なインフラの運用管理は、Herokuが行うため、ユーザーはアプリ開発に集中することができます。Heroku Enterpriseは、共同開発にも対応しており、Salesforceのデータともシームレスに同期されます。さらに、プライベートなスペースを構築し、パブリッククラウド上で自社のデータセンターと直接接続したアプリも構築することができます。 

Lightning App Builder

Lightning App Builderは、あらゆるデバイスで使用できる業務アプリを簡単な操作で構築することができる機能です。標準コンポーネント、カスタムコンポーネント、AppExchangeコンポーネントの中から使いたいものをドラッグ&ドロップするだけで構築できます。最後にアプリを有効にすることで、世界中のデバイスにデプロイし、スタッフ全員が構築されたアプリをただちに利用することが可能になります。 

Lightning Process Builder

Lightning Process Builderは、複雑なビジネスプロセスをシンプルな手順で誰でも自動化することができる機能です。具体的には、フォローアップのメール、承認申請、リマインダー通知などの日常業務から、発注業務、新入社員の研修プログラムといった複雑なプロセスまで自動化することができます。 

Lightning Connect

Lightning Connectは、バックオフィスとフロントオフィスをつなぐアプリを構築することができる機能です。注文状況や在庫といった外部のバックオフィスデータをSalesforceの顧客データとつなげれば、いつでもどんなデバイスからでも事業の全体像を把握できるようなアプリを構築することができます。例えば、営業担当者が商談中に納品状況を確認したり、小売店が在庫状況をリアルタイムに把握したりすることができれば、顧客満足度の向上、売上の向上に貢献します。 

Einstein copilot

Einstein Copilotは、Salesforceアプリケーションに統合された対話型AIアシスタントです。これは、信頼性の高い回答を提供し、生産性向上を支援します。ユーザーが自然言語で問い合わせると、適切な回答を提供し、追加アクションのオプションを提案します。企業がEinstein CopilotをカスタマイズするためのツールEinstein Copilot Studioがあり、業務タスクに合わせた特定のプロンプト、スキル、AIモデルを使って、AIアシスタントを構築できます。 

【業務別】Einstein 1 Platformで構築できるアプリ例

企業は、Einstein 1 Platformを導入することで、あらゆる業務において独自のアプリケーションを簡単に構築することが可能です。ここでは、業務別でEinstein 1 Platformでどのようなアプリケーションが構築できるのかをご紹介します。 

販売管理

Einstein 1 platformを導入することで、販売プロセス(見積、受注、売上、請求、入金など)を一元管理をし、営業支援システム(SFA)と同一プラットフォームで運用できるアプリケーションを構築することができます。見積書や請求書の発行、自動消し込み機能を備え、資金状況のリアルタイム可視化も実現することができ、さらに、請求書の一括・個別印刷、カスタム帳票の追加、入金データのインポートと請求データとの自動消し込みや手動処理、管理機能の実装が可能です。また、全体の分析機能を使って資金状況を把握し、売上拡大に向けたプランニングに役立てられます。 

プロジェクト管理

Einstein 1 Platformにより、ガントチャートを用いてプロジェクトの進行を可視化し、多様な管理機能を備えたアプリケーションを構築できます。例えば、ソフトウェア開発、Web制作、機械製造、建築などのプロジェクトの採算性、納期遵守、人的リソースの問題をリアルタイムで把握することができます。ガントチャートによるタスク管理、工数超過や期日遅延の予測、負荷バランスの調整なども可能で、急なスケジュール変更にも対応しやすくなります。さらに、全社的なプロジェクトの俯瞰と分析により、経営資源の適切な配分や遅延・赤字プロジェクトの早期発見にも役立ちます。 

顧客ポートフォリオ管理

購買履歴から顧客ポートフォリオを迅速に作成できるアプリケーションも構築することができます。顧客をリアルタイムでカテゴライズし、各セグメントの購買客数を明確にすることで、リピート客を増やすマーケティング戦略やキャンペーンの立案に役立ちます。このアプローチにより、優良顧客の育成が可能となり、自社製品のファンを増やすことができます。 

また、バブルチャートや時系列分析を利用して、キャンペーンの有効性の検証や施策の見直し、コストの再配分が行え、常に柔軟なアプローチを立案・実施することができます。 

ネットショップ管理

Einstein 1 Platformを通じて、複数のネットショップやeコマース販売を一元的に管理できるアプリケーションが構築可能です。このシステムは、Amazon、楽天、Yahoo!などのプラットフォームを含む自社サイトの顧客データや受注データを集約し、出荷、入金、顧客問い合わせに迅速に対応することができます。システムは、複数のショッピングサイトからの顧客・受注情報を一元管理し、出荷漏れや誤出荷を防止できるだけでなく、リピート客や優良顧客に最適な施策を実施し、売上向上に貢献します。企業は、高度な分析機能により、売上全体を俯瞰し、経営管理層が販売の伸びや鈍化を素早く把握でき、効果的な販促策を打ち出すことが可能になります。 

人事管理

優秀な人材獲得に必要なプロセスを一元管理できるアプリケーションも構築することができます。人材採用においては、応募者情報の管理、面接日程の調整、評価の登録、ステータス管理、コミュニケーションをシステム化し、効率的な応募者とのやり取りを実現します。また、360度評価機能を提供し、上司、同僚、部下からの評価を一連のプロセスで行い、社員の自己認識と成長を促します。さらに、人材採用計画や求められる条件を社内で共有し、応募者情報を一元管理します。これにより、採用進捗状況が社内で共有され、有望な人材の確保に貢献します。これにより、経営管理層は全体を俯瞰し、採用状況や人事評価・人材育成の課題をリアルタイムで把握し、人的資源のパフォーマンス向上を図れるようになります。 

Salesforceを試してみるにはEinstein 1 Platformがおすすめ

Salesforceは世界で最もシェアの高いCRMサービスで、製品の数は多く高機能ですが、使いこなすのは容易なことではありません。しかし、Einstein 1 Platformであれば、機能が絞られているため比較的使いやすく、ライセンス費用も安いため、導入しやすいです。Salesforceを使ってみたいが使いこなす自信がないという場合には、まずSalesforce 1  Platformから試してみてはいかがでしょう。コストを抑えながら、最低限の機能を備えたシステムでSalesforceの使用感を体験することができます。慣れてきた際に、他のシステムと組み合わせることで、より高度なシステムを構築することも可能です。 

ただし、Salesforce 1 Platformを導入する際にも、ある程度のスキルや知識が必要です。自社の人材だけでは導入できるか自信がないという場合は、Salesforceに関するスキルやノウハウを持つ企業のサポートを利用しましょう。株式会社リッケイでは、Salesforceのカスタマイズや導入支援、開発連携支援などのサービスを提供しています。Salesforce 1 Platformによる業務のデジタル化をご検討の際には、お気軽にご相談ください。 

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September 6, 2023

「The Model」(ザ・モデル)とは?セールスフォースの営業プロセスモデルの魅力に迫る(後半)

前回の記事では、The Model の特徴やそれらがもたらすメリットについてご紹介しました。ここで改めておさらいすると、The Model は見込み顧客の獲得、既存顧客の定着率の向上など、営業活動の改善を通して顧客体験を向上し、自社ビジネスをもさらに成長させるプロセスモデルのことです。今回の記事では、前回ご紹介したThe Model の特徴や魅力、メリットを踏まえた上で、The Model 型営業組織を成功させるためのポイントや役立つツール、大切にしたい考え方についてご紹介します。 4. The Model 型営業組織を成功させるためのポイント ここからは、企業が陥りやすいシチュエーションや直面しがちな課題とともに、ビジネスを成功に導くための鍵となる 3 つのポイントをご紹介します。 The Model を運用し、顧客体験をさらに向上させる上で欠かせないポイントを、ツールとあわせて見ていきましょう。 その 1: The Model 導入の目的を再確認する。 The Model の導入を検討する上で欠かせないのが「目的の再確認」です。何が問題で、何をどのようにして変える必要があるのか、それらを通してどのような成果を上げたいのか、導入の目的を明らかにしましょう。また、導入するだけではなく、導入後のオペレーションについてもシミュレーションする必要があります。 各メンバー、各部署がどのように目標達成を目指して行動するか、PDCA をどのように回していくのか、運用体制も明確にイメージしておく必要があります。 その 2: 各部門で KPI を確認するだけでなく「共有」する。 KPI は単に部署内で設定する目標ではありません。組織、企業において関わる全員が見えるようにしておくのが理想です。そこで欠かせないのが「情報共有の体制とプロセス」です。 目標達成率といった定期的な検証はもちろんのこと、連携の度合いやコミュニケーション不足に陥っていないかどうかなど、目に見えないコミュニケーションについても定期的に確認しましょう。これにより、情報を共有するというカルチャーも生まれ、チーム形成をする上でもプラスの効果があるといえます。 その 3: データとツールを有効活用する。 ここまで、The Model を導入、運用する上で欠かせない概念をご紹介してきました。しかし、プロセスモデルの運用や数値ばかりに気を取られては、本来目指すべき「顧客体験の向上」は実現できません。何が問題で、何を変える必要があり、何を目指すべきか、これらを分析する上で重要になるのが「データとツールの有効活用」です。 5. データとツールを意思決定に活かす The Model 型営業組織を成功させるためには、概念の浸透と実践に加えて「データとツールの有効活用」がカギとなります。MA(マーケティング オートメーション)や SFA(営業支援)、CRM(顧客関係管理)などのツールでは、あらかじめ設定した内容に基づいて自動集計や分析を行ってくれます。これにより業務の効率化ができるだけでなく、ログなどを明確に管理できることによる数値管理の向上が可能になります。 以下は、MA と SFA、CRM それぞれの役割と流れを図で示したものです。 これらのツールを活用することでシームレスな情報共有が実現します。 […]