January 31, 2023

オフショアとニアショアの違いとは?それぞれのメリットデメリットと使い分けのポイント

世界的な労働力不足や人件費高騰が見込まれるなか、その傾向は日本においても例外ではありません。国内の幅広い業種で人手不足感が強まっています。さらに、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、各企業はDX(デジタルトランスフォーメーション)化を急いでおり、IT人材の需要は高まっています。そのため、IT技術者の求人倍率は急伸し、ほかの職種と比べて転職後の賃金も上昇しています。

IT人材不足と人件費高騰という2つの問題を抱えていることから、システム開発には外部リソースを活用せざるを得ません。そのような状況において、解決策のひとつとして、オフショアやニアショアの活用が進んでいます。

海外人材を活用するオフショアと国内人材を活用するニアショアは、業務をアウトソーシングするというところは同じです。しかし、実際に活用する場面では、さまざまな違いがあります。そこで本記事では、オフショアとニアショアの概要、またそのメリット・デメリットや活用ポイントについて紹介します。

オフショアとは

オフショア(offshore)とは、もともと「海外の」「岸から離れた」「外国に移す」という意味で、業務を海外に委託、アウトソーシングすることです。特にシステムの開発や保守運用などの業務を委託するときは、「オフショア開発(offshore development)」と言われます。

委託先は海外のシステム開発ベンダーや海外現地法人などで、ベトナムやインド、フィリピン、中国などにある企業への委託が多くなっています。

オフショア開発の目的

オフショア開発が増えている理由は、次のような目的があるからです。

  • 国内では不足しているIT人材の確保
    海外ではエンジニアへの教育に力を入れている国も多く、IT人材を豊富に確保することができます。
  • 人的コストの削減
    日本よりも人件費(エンジニアの給料)が安い国に委託すれば、大きなコスト削減につながります。ただし、人件費の安い国がどの国なのかを調べておく必要があります。

    例えば、かつて中国は人気のオフショア開発の委託先国でしたが、現在の中国の人件費は高騰しており、日本と同程度か、上海など地域によっては日本よりも高額になっており、かつてのようなコスト削減効果は薄れています。

    詳しくは、別の記事【2022年最新】オフショア開発の人月単価相場動向、人気のベトナムほか国別比較を参考にしてください。
  • 現地市場への参入の足がかり
    他国の市場に自社のソフトウェアを投入するためには、ある程度のローカライズが必要です。現地のエンジニアに委託すれば、その地域の事情に合わせて、適切なローカライズができます。

オフショアはどんな分野で利用されているのか

オフショアは特にIT分野で多く利用されていて、委託する内容はさまざまです。

  • ソフトウェア開発
  • Webシステム開発
  • ソフトウェアやシステムのローカライズ
  • システムの保守運用

また、人的リソースが大量に必要な業務もよく委託されています。

  • コールセンター
  • データ入力
  • 画像編集

オフショア開発のメリット

海外に業務を委託することには、次のようなメリットがあります。

  • 大きなコスト削減が可能
    人件費の安い国を選べば、大きなコスト削減が可能です。当然ですが、人件費の高い国を選ぶと逆に高いコストがかかります。
  • 技術力の高いIT人材を確保できる
    海外ではIT人材の量も質も豊富です。特にAIやディープラーニングなどの最新技術に対応できるIT人材は、日本では不足していますが、海外では見つけやすいのです。
  • 人的リソースが大量に必要な業務にも対応できる
    人材が豊富なので、大規模開発やコールセンター、データ入力など、大量の労働力が必要な業務も委託しやすいです。
  • 契約形態をいろいろ選べる
    オフショア開発の場合、その契約形態は、請負型開発(請負契約)、ラボ型開発(準委任契約)、BOT方式などがあり、コストや業務内容に合わせて選べます。

契約形態については、別の記事「オフショア開発会社はどうやって選ぶ?選び方とそのポイント・注意点」を参考にしてください。

オフショア開発のデメリット

オフショア開発には次のようなデメリットもあります。

  • 遠隔では管理が難しい
    海外への委託でも、業務の管理は日本の委託元から行います。そのため、トラブルが起きても対応が遅れがちです。日本のビジネスに慣れた現場責任者の育成にも時間がかかるため、業務がスムーズに進まないことも多くなります。
  • 品質に対する意識の差がある
    セキュリティや品質に対する意識は、国ごとに違いが出やすいものです。日本のやり方に慣れた開発会社でなければ、開発中のセキュリティ対策や品質管理でトラブルが発生しやすくなります。
  • コミュニケーションが難しい
    海外の開発会社やエンジニアとは、言語、文化、商習慣、時差、スケジュール感覚など、細かなところで違いがあります。時差が大きいとオンラインミーティングもしにくく、トラブルの原因になりがちです。そこで、開発会社のマネージャーや、委託先と委託元の間に入ってくれるブリッジSEの役割が重要です。
  • カントリーリスクがある
    国によっては、為替変動、国際情勢、国内情勢などの影響により、プロジェクトが途中で終了するリスクもあります。

ニアショアとは

ニアショア(nearshore)とは、海外ではなく、国内の地方企業に業務を委託することです。システム開発の場合は「ニアショア開発(nearshore development)」と言います。海外に委託する「オフショア」よりも近いので、「ニアショア」と呼ばれています。

ニアショア開発の目的

ニアショアも、オフショア同様にコスト削減を目的としています。東京よりも地方の方が人件費や固定費が安いため、地方に業務を委託してコスト削減しているのです。

ニアショアはどんな分野で利用されているのか

ニアショアでは日本全国、さまざまな地方にシステム開発を委託しています。また、地域の特色を生かしたニアショアもあります。

  • 沖縄
    コールセンター、BPO(業務プロセスの委託)センターが多い
  • 北海道
    気温の低さを生かしたデータセンターが多い

ニアショア開発のメリット

  • コスト削減
    地方は都市部よりも人件費が低いのでコスト削減が可能です。ただし、ニアショアの委託先は国内であるため、オフショアと比較するとそこまで大きなコストダウンを求めることはできません。国内の地域によって異なりますが、システム開発のITエンジニアの場合、東京の人月単価相場との比較では低く抑えられるのは約5%から最大でも30%程度です。
  • ディスコミュニケーションの問題が生じにくい
    オフショア開発では、外国のITエンジニアとコミュニケーションするため、言葉や文化の違いや、時差などのにより業務への悪影響が生じる場合があります。ニアショア開発では日本人同士で日本語でコミュニケーションでき、ビジネス環境の違いや意識の差も少ないため、そうした問題が生じにくいでしょう。
  • 委託先に訪問しやすい
    国内のためトラブルが起きても現地で対応しやすく、意思の疎通もしやすいです。
  • カントリーリスクがない
    為替変動や国際情勢の変化などのリスクを考える必要がありません。

ニアショア開発のデメリット

  • コスト削減効果は小さい
    地方とはいえ国内のため、大きなコスト削減効果はありません。
  • 人材は豊富とは言いがたい
    国内なので、地方でも同じように人材不足の悩みがあります。高スキル人材も海外よりは少ないでしょう。また、国内ではどの地域でもITエンジニアは不足気味のため、オフショアほどの人材リソースは豊富とは言えません。
  • 委託先が再委託する可能性がある
    国内ではどこも人材不足なので、委託先だけでは業務を回せずに、さらに下請けに委託する可能性があります。その場合には品質やスケジュールの管理もしにくく、意思の疎通も難しくなるでしょう。

オフショア開発とニアショア開発の活用ポイント

それぞれのメリットとデメリットを踏まえて、オフショア開発とニアショア開発の向いている案件とはどのようなものでしょうか。

オフショア開発に向いている案件

  • 人的リソースを多く必要とする大規模プロジェクト案件
  • AIのような最先端技術を使い、高スキルな人材を必要とする開発案件

ニアショア開発に向いている案件

  • 下流工程の開発人員数を確保するというよりも、要求分析や要件定義などの上流工程の人材を確保したい案件
  • コミュニケーションを密に取りたい案件
  • 人的リソースが少なくても問題のない小規模なプロジェクト案件
  • 海外リスクに対応するための準備や、調整に時間をかけられないスピード重視の案件

オフショアもニアショアもIT人材確保に有効

AIやIoTの普及、DXの推進など、国内のIT人材の需要は今後ますます高まると考えられます。オフショア開発やニアショア開発は、そうしたIT人材不足を補うため大変有効な手段です。既に、多くの企業がオフショア開発やニアショア開発の活用によって成果を上げています。

オフショア開発を依頼したくても、どうしたらいいのか分からないという場合は、日本に営業拠点を置くオフショア開発会社を利用するとよいでしょう

株式会社リッケイでは、国内に東京・名古屋・大阪・福岡の4地域に拠点を置き、ベトナムのオフショア開発サービスを提供しています。オフショア開発をご検討中の際は、弊社までお気軽にご相談ください。貴社に最適なソリューションをご提案いたします。

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ラボ型開発(ラボ契約・ODC)とは?請負契約との違い、メリット・デメリットや向いている案件を解説

アプリケーションなどのソフトウェアを開発において、自社内で開発する内製と、外部の開発会社に開発を依頼する外製(外注)の2つ選択肢があります。内製は、自社の技術開発力の向上につながるメリットがある反面、専門知識を保有する技術力の高い社員エンジニアの存在が不可欠であり、システム完成後も人材の維持確保が必要になるというデメリットもあります。 一方、外製では専門性の高い部分を全て外部に委託でき、プロジェクトの遅延も発生しにくいことから、外製によるソフトウェア開発を行う企業が多くあり、昨今では人材不足や開発コスト削減などの観点から、オフショア開発が盛んに行われています。 今回は、オフショア開発のなかでもラボ型開発と呼ばれる形態について、その概要やメリット・デメリット、ラボ型開発に向いている案件について解説します。 ラボ型開発(ラボ契約・ODC)とは ラボ型開発とは、海外のリソースや企業を活用して開発する「オフショア開発」の類語で、「ラボ契約」「オフショア開発センター(ODC)」と呼ばれることもあります。ラボ型開発はオフショア開発における契約形態のひとつで、近年は、契約請負よりもラボ型開発を含む準委任契約での開発が盛んに行われています。 請負契約仕事の完了までを請け負う。契約発注者は要件を明確に定義し、ベンダーは作成された仕様書に沿って設計・開発から実装・テストまでを行い、期日までに成果物を納めるという請け負う。 準委任契約特定の業務を遂行することを定めた契約。請負契約とは異なり、成果物の完成の有無は問わない。準委任契約は、さらにラボ契約とSES契約に分けられる。 ラボ契約(ラボ型開発)すべてのエンジニアは日本国外に滞在する。発注者は一定期間(およそ半年~2年程度)の契約を結び、エンジニアチームを組んでプロジェクトを進めていくというもの。 SES契約エンジニアを発注元に常駐させる。ラボ型開発同様、エンジニアチームを組んでプロジェクトを進めていく。より流動的な案件や、エンジニアを教育したい場合などに用いられる。 BOT方式現地オフショア会社が人材リソースを確保し安定運用後にチームを丸ごと買い取る方式。Build(設立)、Operate(運営)、Transfer(委譲)を略した言葉。 請負契約では、ベンダーが納品した成果物に対して報酬が支払われます。一方で準委任契約ではベンダーが行う労働そのものに対して報酬が支払われるため、請負契約とは異なりプロジェクトの内容や進捗状況に応じて柔軟な変更が可能です。 近年では、ラボ契約とSES契約の両方を活用する「ハイブリッド型」の契約形態をとることも多く見られます。例えば、プロジェクトのキックオフから1〜2ヵ月間はSES契約で業務に慣れてもらい、その後帰国してラボ契約で働いてもらったり、人数を減らしたりするといったケースです。 オフショア開発について、別の記事「オフショア開発とは|メリット・デメリット・成功に導く6つのポイント」で紹介しています。 ラボ型開発と準委任契約の違い ラボ型開発(ラボ契約)は準委任契約の形態のひとつです。 システム開発における委託契約は前述の「請負契約」または「準委任契約」によってなされますが、請負契約が成果物の完成を目的とするのに対し、準委任契約は労働の代行を目的としている点が異なります。 単純に「準委任契約」と言う場合はシステム開発以外にも使われ、準委任契約のなかのシステム開発における形態がラボ型開発ということになります。 ラボ型開発(ラボ契約・ODC)のメリット ラボ型開発には、以下のようなメリットがあります。 一定期間、専属開発チームとしてメンバー固定でエンジニアを確保できる ラボ型開発では期間を決めて契約するため、期間内であれば継続的に案件の発注が可能です。期間内にいくつか連続して案件が入る場合でも、案件ごとにチームを組み直したり、一から情報共有をしたりする手間が省けます。 近年、東南アジア諸国のエンジニアのスキルは、日本国内のエンジニアと同等またはハイスキルな場合少なくなく、優秀な人材を中~長期間にわたり確保できます。 中~長期間腰を据えて案件に取り組むことで、ラボ型開発の委託先が発注側の業務体制や企業風土に慣れることができ、安定的に開発できるのも大きなメリットです。優秀な人材リソースを安定的に確保して開発できれば、機能を拡張しバグを改修する作業や業務を進めるための時間的リソースも確保しやすくなります。それにより、エンジニアも高いクオリティの成果物をスピーディーに納品することが可能になります。 自社内に開発や経験を暗号化できる ラボ型開発では、同じエンジニアメンバーと一定期間連携するため、自社内で開発が伏せられやすいのも大きなメリットです。 必須がはっきり決まっていないプロジェクトでも取り組むことができる ラボ型開発では、請負契約と異なり成果物が明確に決まっているとは限らず、途中で仕様変更をしたり、各種調整したりすることも容易です。企画や施策が確定していない状態でも、協働しながら進めていけるでしょう。請負契約のように、仕様変更や調整について追加費用が発生することもなく、契約期間内なら自由にリソースを使えます。 例えば、ラボ型契約で5名のエンジニアに開発を依頼した場合、最初の4カ月は全員に新規のアプリケーション開発を依頼し、その後の2カ月は3名が追加機能の実装を担当し、2人に細かいバグ対応や改善を担当するなど、フェーズや状況に応じて臨機応変かつ柔軟にチームを動かすことができます。 ラボ型開発(ラボ契約・ODC)のデメリット ラボ型開発には、以下のようなデメリットがあります。 チームの立ち上げや維持にコストがかかる ラボ型開発は一定期間専属のチームを確保できる契約なので、一定量の発注を続けられる場合はコストパフォーマンスが良いです。 一方、契約期間内はコストが発生し続けるため、依頼する案件の業務や作業量が極端に少ない場合に予定よりも早く開発が完了しても、その後に依頼する案件がない期間があるとその分は余計なコストとなり、請負契約よりもコストが高くなってしまう可能性があります。特に、単発の案件や短期の案件の場合は割高になってしまう可能性があり、チームを中長期に渡って押さえておくメリットが得られにくいでしょう。 契約期間中はリソースを無駄を生じさせないように、一定の業務量を発注できる準備を行っておく必要があります。少なくとも3カ月以上の開発が必要となる案件や、複数の単発・短期の案件を準備しておき、リソースを余らせないようにするのがおすすめです。 発注者が主体的にマネジメントする必要がある 開発をスムーズに進めるためには、チーム構築のほかに体制作りが必要です。特に、ラボ型開発では請負契約のようにすべてを発注先に任せられるわけではなく、チームとして協働する形態となるためコミュニケーションが特に重要になります。そのため、発注元が主体的にチームビルディングやマネジメントをする必要があることから、発注元の負担は請負契約と比べると大きくなります。 オフショア開発では、日本語が堪能な委託先に依頼できるとは限りません。国内に日本法人や支社があるオフショア開発会社を選んだり、開発技術だけでなくコミュニケーション言語の能力も含めて人選したりして、コミュニケーションに齟齬(そご)が生まれないような体制作りが必要です。 チームビルディングに時間がかかる ラボ型開発では、初めにチームを構築します。チームメンバーを選ぶ際には、単純にスキルが高い人材を集めればよいとは限らず、開発内容や自社の文化などさまざまな要素を考慮し、開発内容に合っていて相性の良い人材を慎重に選んでチームを構築する必要があります。 また、チーム構築から実際に開発に入るまでは、一般的に半月~3カ月程度の期間が必要なため、その期間も考慮しなくてはなりません。 また、ラボ型開発では、発注元がチームの一員となって開発を指示する必要があります。成果物の仕様にズレが生じないようチェックしたり、メンバーに体制や企業風土についてレクチャーしたりすることもあるでしょう。チーム結成後の滑り出しがうまくいくとは限らず、チームとしての機能が軌道に乗るまではある程度時間がかかることを念頭に置きましょう。 ラボ型開発(ラボ契約・ODC)が向いている案件 ラボ型開発は、以下のような案件に向いています。 定期的に発生する案件がある 業務委託したい案件が定期的に発生するのであれば、ラボ型開発がおすすめです。特に、既存のアプリやサービスの運用・改修をする場合に向いているでしょう。契約期間中は自社専属の開発チームを確保でき、案件が変わるごとにチームを再構築したり、一から情報共有したりする必要がありません。 そのため、開発案件が途切れず発生するけれど人員が足りないという場合にラボ型開発を利用すれば、案件ごとに依頼先を探したりすり合わせをしたりする手間がかからず、コストやストレスの軽減につながるでしょう。 仕様変更や修正が生じる可能性がある ラボ型開発は契約期間内であれば追加費用なしで対応してもらえるので、完成形がはっきり決まっていない案件や、仕様の追加や変更が生じやすい案件に向いています。請負型に比べてコストが抑えられるだけでなく、中~長期にわたって同じチームで作業していくので、指示を的確に理解して適切に作業してもらいやすいでしょう。 また、AI等の先端技術を用いたIT開発や、完成形が定まりにくい研究開発の要素を含むという場合にもラボ型開発は向いています。 アジャイル型開発の案件である システムやアプリの開発には、大きく分けてウォーターフォール型とアジャイル型の2つの開発体制があります。 ウォーターフォール型開発の最初の段階で要件や仕様を詳しく決定し、すべて完成してからリリースする。 アジャイル型 要件や仕様はざっくりとした状態で開発をスタート、短期間で設計、リリース、テストを繰り返しながら改修と開発を進めていく。 ウォーターフォール型の開発は初めに要件や仕様を詳しく決めるため、請負契約に向いています。一方、アジャイル型はスピーディーにリリースできる半面、あとから細かな改修や開発を繰り返していくため、ラボ型開発との相性が良いです。 […]

December 23, 2022

ノーコード開発で何ができる?どんな用途に向いているのか理解しよう

ノーコード開発は、今注目されている開発手法です。ノーコードツールを使えば、高い専門知識を持つIT人材でなくてもアプリケーションやWebサイトを開発でき、コストも開発期間も抑えられます。IT人材の不足が大きな問題になっているなかで、新たにIT人材を雇用したり育成したりしなくてよいのは大きなメリットです。 しかし、ノーコード開発はコーディングしないため拡張性や汎用性が低く、できることには限界があります。今回はノーコード開発の概要と、できることとできないことを説明します。 ノーコード開発とは ノーコード開発とは、コーディングせずにシステムやサービスを開発すること、またはその開発環境のことです。開発環境はノーコードツールとも呼ばれます。コーディングは一般的にプログラミングとも呼ばれるもので、プログラミング言語を用いてプログラムを書くことです。 ノーコード開発ではコーディングが不要なので、高度なスキルや知識がない、非IT人材でも開発できます。そのため、ユーザーが現場で必要なアプリケーションを開発でき、現場のニーズに合わせた開発が可能です。システム開発の担当者との打ち合わせも不要なので、開発時間を短縮できます。 そのため、ノーコード開発はIT人材不足を補い、デジタイゼーションを進め、DXを推進する方法のひとつとして期待されているのです。 ノーコード開発では、コーディングの代わりにツール上で用意されたコンポーネントと呼ばれる部品を組み合わせて開発します。コンポーネントを使うため、必要なものを素早く開発することが可能です。 ただし、コンポーネントのないものは作れないので、自由度は低く、オリジナル部分の多い開発や大規模開発には向きません。また、コーディングの余地がないため、カスタマイズや拡張も不得意です。 ローコード開発との違い ノーコード開発と似たものに、ローコード開発があります。ローコード開発とは、ほとんどの部分をノーコードで開発できるものの最小限のコーディングが必要な開発手法や、その開発環境のことです。コーディングするため、ノーコード開発よりも高い汎用性や拡張性があります。 一方でノーコード開発はソースコードの記述をせずに開発でき、開発に高いスキルは不要です。ただし、コードが使えないため、細かな部分での修正や調整ができません。また、ノーコード開発は開発ツールによってできることが変わります。 従来のように「すべての部分をコーディングで作成する」場合はフルコード開発と言います。最も難易度が高く、専門的なスキルが必要ですが、自由度や拡張性も高い方法です。 ローコード開発や、IT人材不足との関係については、次の記事を参考にしてください。 「ローコード開発とは? IT人材不足解消の切り札として注目される新しい手法」 ノーコード開発、ローコード開発、フルコード開発の違い   ノーコード開発 ローコード開発 フルコード開発 コーディング 不要 少し必要 必要 スキル 高いスキルは不要 高いスキルは不要だが、ある程度のスキルは必要 高いスキルが必要 拡張性、自由度 低い コーディングにより確保可能 高い拡張性と自由度がある 開発期間 短い 短い 長い ノーコード開発が向いている場合 ノーコード開発は次のような場合に向いています。 スモールビジネスを行う個人である場合ネットショップ運営やアプリ制作などのスモールビジネスに使えます。また、ほかの業種でも、スモールビジネスを行う個人が必要なアプリケーションを制作することも可能です。 小規模なソフトウェアベンダーである場合小規模アプリの開発を行うベンダーで開発環境として使えます。 スタートアップ・ベンチャーである場合開発期間を短縮し、効率的に事業を始められます。 部署内で小さなアプリケーションが必要な場合情報システム部門に頼らず、短期間で欲しいアプリケーションを制作できます。その他、開発コストを抑え、短期間でサービスをリリースしたい場合に向いています。 ノーコード開発でできることとできないこと その性質上、ノーコード開発にはできないことがあります。特徴と限界を理解して使いましょう。 ノーコード開発でできること Webページ制作企業・団体のWebサイト、商品のサービスサイト、ECサイトなど。 Webアプリ制作フロントエンド、バックエンド、データベースといったWebベースのアプリケーション。 業務の自動化・効率化のための小さなアプリケーション制作日常的な業務を効率化する小規模なアプリ、単機能に特化したアプリ、データ管理アプリなど。 モバイルアプリ制作業務に利用するスマートフォンアプリ。 ノーコード開発でできないこと ノーコード開発では、次のようなシステム開発はできません。 大規模で複雑なシステム開発拡張性や自由度が低いので、複雑なシステム開発には向いていません。 独自部分の多いシステム開発ツールに装備されているコンポーネントを使って開発するため、独自部分の多い開発はできません。 ツールの対象となっていない分野の開発ノーコードツールにはそれぞれ対象とする分野があります。 ゲームのように表示速度が重要なシステムの開発ノーコードで開発した場合、ページの読み込み速度が遅くなる傾向にあります。 […]