August 18, 2023

DX推進に必要な技術と活用事例を詳しく解説

DXの浸透に伴い、企業は新しいテクノロジーを活用して競争力を高める必要があります。DXに必要な技術は多岐にわたりますが、その中でも特に重要な技術と業種別の活用事例などを紹介します。

DX推進において重要な技術

以下に紹介する技術は、DXを推進するために不可欠であり、企業がこれらの技術を適切に組み合わせて活用することで、業務効率化、革新的サービスの提供、市場競争力の維持・強化などが可能となります。

1. 人工知能(AI)と機械学習

DXに必要な各種技術の中でも、AIは主要なカギを握っています。AIは人間の知能を模倣し、情報処理能力を超越する技術であり、多岐にわたる業務に活用されています。以下に、AIがDX推進に果たす役割ついて見ていきましょう。

【AIが果たす役割と活用例】

(1) 予測・分析

 AIは膨大なデータを学習し、特徴を抽出して予測や分析を行う能力を持っています。新たなデータを読み込むことで、予測精度を向上させます。

小売業では売上予測や在庫最適化にAIを活用されたり、市場トレンドの予測や顧客の購買行動の分析に活用もされます。

(2) 最適化

 AIは異なる目的や制約を考慮して最適な選択肢を導き出し、意思決定を支援します。

製造業では生産ラインの最適化や資材調達の最適化にAIを活用し、効率とコスト削減を実現しています。また、さまざまな業界で、棚割最適化や運転計画の最適化、プロモーション戦略の最適化などに応用されています。

(3) 画像解析

 AIは画像解析技術と組み合わせて、画像の分類や検出を行います。ディープラーニングによる学習により、物体の特徴や特性をより正確に把握できます。顔認識や異常検知などで活用されます。

自動車業界では自動運転車のセンサーデータを解析して周囲の状況を把握し、安全な運転を支援します。医療業界ではX線画像の解析にAIを導入し、病変の早期発見を支援します。製造業では製品の欠陥検出や安全監視に活用されています。

(4) 音声解析

AIは音声解析にも応用され、話し声を文字に変換する能力を持っています。コールセンターでは音声解析により顧客の声から感情や要望を把握し、カスタマーサポートの向上に貢献しています。

また、言語翻訳アプリケーションもAI技術を利用しています。医療業界では、診療記録の自動化や診断支援に活用されています。スマートフォンの音声アシスタントやスマートスピーカーの技術により、人間とのコミュニケーションを支援します。

(5) 文章解析

AIは文章を解析し、情報の把握や分類、ラベリングを行います。文書の要約や業界固有の名詞認識など、文章処理を効率化します。

金融業界では不正検出にAIを活用し、怪しい取引を自動的に検出して防ぎます。また、法律業界では契約書の分析や法律文書の要約にAIを導入して効率化を図っています。

(6) ロボティクス

AIと連携することで、ロボット工学が進化します。センサーデータの収集とAIの処理を組み合わせ、汎用物体把持や秤量などの作業を効率的に行います。

自動車業界では自動運転技術などに活用され、製造業では産業ロボットの制御にも活用されています。農業業界ではドローンにAIを搭載して作物の成長状況をモニタリングし、効果的な農作業計画を立てる例があります。また、物流センターでは自動倉庫ロボットがAIによって荷物の取り扱いを最適化しています。

2. 生成AI(Generative AI)

AI技術の中でも注目を集めているのが生成AI(Generative AI)です。この技術は、コンピュータが既存のデータセットから学習し、新たなコンテンツやデザインを生成する能力を持つものです。

文章、画像、音楽などの創造的な要素をAIが生成し、新しいアイデアやコンセプトの発展を支援するため、クリエイティブな領域に大きな可能性をもたらしています。企業は生成AIを活用して革新的なプロジェクトを推進することが可能です。

【生成AIが果たす役割と活用例】

生成AIは、幅広い領域で活用することが可能です。以下にいくつかの具体例を紹介します。

(1) 文章生成

生成AIは文章の生成にも活用されます。記事、物語、詩などの自動生成が行われ、ブログやニュースサイトなどでコンテンツの生成に使用されています。特定のトピックに関する文章を自動的に生成することで、コンテンツ制作の効率を向上させることができます。

対話型AIチャットサービス「ChatGPT」は、生成AIの実用的な応用例として挙げられます。ChatGPTは、ユーザーと自然な対話を行いながら文章を生成する能力を持ち、カスタマーサポートからクリエイティブな執筆まで幅広い領域で活用されています。

(2) 画像生成と修復

生成AIは、写真の修復や画像の生成に使用されます。古い写真の劣化を修復したり、写真から新しい視覚的な要素を生成する際に活用されます。また、デザイナーやクリエイターは生成AIを使用して新しいデザインやアートワークを生成し、クリエイティビティを刺激します。

 画像生成AIサービス「Stable Diffusion」などの画像生成AIサービスは、生成AIを用いて画像を生成する例です。この手法は、リアルな画像を生成する際に、ディープラーニングの手法を活用し、高品質な画像を生成することが可能となりました。この技術は、デザインや映像制作などの分野で大きな影響を与えています。

(3) 音楽生成

音楽の作曲にも生成AIが用いられます。既存の楽曲のパターンを学習し、新しいメロディーやハーモニーを生成することが可能です。これにより、新しい楽曲の制作やバリエーションの生成が容易になります。

(4) 映像生成

動画の生成や編集にも生成AIが活用されます。既存の映像から新しいシーンやエフェクトを生成したり、映画の予告編や広告の制作に使用されます。また、アニメーション制作などでも活用されています。

【企業における生成AIの応用範囲】

企業における生成AIの応用範囲は多岐にわたります。企業にとって生成AIは、効率を向上させたり、新たな価値を創造したりするなど、ビジネスプロセスの革新に寄与する重要なツールとなるでしょう。以下に、その具体的な応用例を紹介します。

(1) 製品デザインとイノベーション

企業は生成AIを使用して、新しい製品のデザインを生成できる可能性があります。特定の要求事項やデザイン指針を入力することで、AIが複数のデザインバリエーションを生成します。これにより、製品デザイン制作の効率性向上や革新的デザインを実現するなど、新たな製品の開発や競争力の向上が可能となります。

(2) 広告・マーケティング

企業は生成AIを使用して、広告やマーケティングコンテンツを生成することが可能です。商品の特徴や効果をもとにAIが広告文やキャッチコピーを作成し、ターゲットユーザーに合った魅力的なメッセージを制作します。

(3) コンテンツ生成

企業は生成AIを活用して、Webコンテンツや記事を自動生成することが可能です。特定のトピックやキーワードに基づいてAIが文章を生成し、コンテンツ制作の効率化とスケーリングを実現します。

(4) 顧客対応とサポート

企業は生成AIを活用して、使用して顧客対応を向上させること可能です。対話型AIチャットサービス(例:ChatGPTなど)を導入することで、顧客の質問や問題に迅速に対応するとともに、24時間体制でのサポートを提供することが可能になります。

(5) 製造プロセスの最適化

製造業では、生成AIを使用して製造プロセスを最適化すること可能です。材料や設計条件などを入力し、AIが最適なプロセスやパラメータを提案することで、製品の品質向上やコスト削減が実現可能です。

(6) 音楽・映像制作

エンターテインメント業界では、生成AIが音楽や映像の制作に活用されています。AIが既存の楽曲や映像を分析し、新たな要素やバリエーションを生成することで、クリエイターの創造性をサポートします。

(7) データ可視化

企業は生成AIを使用して、大量のデータを視覚的に表現すること可能です。AIがデータを解析し、インフォグラフィックやダッシュボードを生成することで、効果的にデータを可視化できます。

3. クラウド・コンピューティング

クラウドコンピューティングは、インターネットを介してオンデマンドでコンピュータリソースやサービスを提供する技術であり、企業が効率的にDXを実現するための基盤を提供します。クラウドを活用することで、スケーラビリティや柔軟性を実現し、ITインフラの効率を向上させることができます。クラウド上でアプリケーションを展開することで、迅速な開発と運用が可能となります。

【クラウドコンピューティングのサービスモデル】

  • SaaS(Software as a Service)
  • SaaSは、ソフトウェアをオンデマンドで提供するモデルです。企業は必要なアプリケーションを自社のデバイスから利用できるため、専用のソフトウェアを購入したりインストールしたりする必要がありません。例えば、オフィススイートやCRMソフトウェアなどがSaaSとして提供され、企業はこれらのアプリケーションを利用することで、業務効率の向上やコラボレーションの強化を図ることができます。

  • PaaS(Platform as a Service)
  • PaaSは、開発プラットフォームを提供するモデルであり、開発者はアプリケーションを構築・実行するための環境を利用できます。データベース、開発ツール、実行環境などがPaaSとして提供され、開発者はこれらのツールを使用してアプリケーションの開発・テスト・デプロイを行うことができます。PaaSを利用することで、アプリケーション開発のスピードを向上させ、効率的なデプロイが可能となります。

  • IaaS(Infrastructure as a Service)
  • IaaSは、インフラストラクチャを提供するモデルであり、サーバー、ストレージ、ネットワークなどの基盤リソースをクラウド上で利用できます。企業は必要なリソースを必要なだけ使用することができ、インフラストラクチャの運用・管理を簡素化することができます。これにより、新たなプロジェクトの開始やリソースの拡張が迅速に行えます。

    【クラウドコンピューティングを活用するメリット】

    企業はクラウドコンピューティングを活用することにより、以下のようなメリットを得ることができます。

    (1)スケーラビリティ

    クラウドコンピューティングは、需要に応じてリソースを拡張・縮小できるため、企業は必要なときに必要なだけリソースを利用できます。

    (2)柔軟性

    クラウド上でアプリケーションを実行するため、場所やデバイスに依存せずにアクセスできます。

    (3)コスト効率

    クラウドコンピューティングは、従量課金制を採用していることが多く、無駄なリソースの消費を抑えてコストを削減できます。

    (4)アップデートとメンテナンス

    SaaSでは、プロバイダー側でアプリケーションのアップデートやメンテナンスを行うため、常に最新バージョンを利用できます。

    【企業によるクラウドサービスの活用事例】

    これらのクラウドサービスモデルを組み合わせて、企業はDX推進に必要なソフトウェアやプラットフォーム、インフラストラクチャを効率的に利用し、ビジネスプロセスを改善できます。例えば、以下のような事例が考えられます。

    (1) アプリケーションの迅速な展開と拡張

    SaaSを活用することで、企業は必要なアプリケーションを素早く展開し、必要に応じて拡張することができます。例えば、顧客管理システムや会計ソフトウェアをSaaSとして導入することで、新規事業展開や急な需要増加にも柔軟に対応できます。

    (2) データ解析と予測

    PaaSを利用してデータベースや解析ツールを構築することで、ビッグデータの解析や予測モデルの構築が可能となります。企業は顧客の傾向や市場動向を把握し、戦略的な意思決定を行うことができます。

    (3) 新たなサービスの提供

    クラウド上でアプリケーションを開発し、SaaSとして提供することで、顧客に新たな価値を提供することができます。例えば、健康管理アプリやIoTデバイスと連携したサービスを提供する企業が増えています。

    (4) 柔軟なインフラストラクチャの運用

    IaaSを活用することで、企業は必要なハードウェアリソースをクラウド上で利用し、自社内でのインフラストラクチャ運用やメンテナンスの手間を軽減できます。特に、プロジェクトの進捗に合わせてリソースを調整できるのが利点です。

    (5) 環境のスケールアウトとインスタンス管理

    クラウド上の仮想マシンやコンテナを利用することで、アプリケーションの負荷に応じてスケールアウトやインスタンスの管理を行うことができます。これにより、ユーザー数やトラフィックの急増にも柔軟に対応できます。

    上記のように、企業のDX推進において、クラウドコンピューティングは重要な基盤となります。企業はSaaS、PaaS、IaaSなどのサービスモデルを組み合わせて、自身のニーズに合わせたクラウド戦略を構築し、ビジネスプロセスの効率化、新たなサービスの提供、アプリケーションの迅速な開発・展開などを実現し、競争力を高めて持続的なイノベーションを推進していくことが求められています。

    4. ビッグデータとアナリティクス

    ビッグデータ技術は、大量のデータから価値を抽出する手段を提供します。アナリティクスを通じて、データを解析し、トレンドやパターンを発見することができ、戦略的な意思決定を支援します。ビッグデータの活用は、顧客の行動理解や市場の洞察を高めます。

    【ビッグデータとは】

  • ビッグデータ(Big Data)
  • ビッグデータとは、通常のデータベース管理システムやデータ処理ツールでは取り扱いきれないほど巨大なデータセットを指します。ここには整理された情報だけでなく、テキスト、画像、音声、動画などの非整理データも含まれます。ビッグデータは「3V」(ボリューム、バラエティ、速度)として特徴づけられ、大量のデータ、多様なデータ形式、迅速な変動が挙げられます。

  • アナリティクス(Analytics)
  • アナリティクスとは、データを分析して傾向やパターンを把握し、価値ある情報や洞察を引き出すプロセスです。データを可視化し、統計的手法や機械学習、AIなどの技術を用いてデータを探索し、意味を導き出すことが含まれます。アナリティクスはビジネスインテリジェンス(BI)や予測分析、最適化などの用途に利用されます。

    【ビッグデータとアナリティクスの仕組み】

    ビッグデータの処理は従来のデータベース管理システムでは難しいため、分散処理フレームワーク(例:Hadoop、Spark)を使用して行われます。これらのフレームワークは複数のコンピュータノードを活用してデータを並列処理し、高速なデータ処理を実現します。

    アナリティクスでは、まずデータをクレンジングして不正確な情報や欠損データを除去します。その後、データを可視化ツールや統計分析、機械学習アルゴリズムなどを用いて分析します。予測分析や意思決定支援のために、過去のデータからパターンやトレンドを抽出し、将来の動向を予測する手法も利用されます。

    【ビジネスアナリティクス(BA)の手法・特徴・主なツール】

    以下のアナリティクス手法は、異なる側面からデータを分析し、問題の特定、将来の予測、意思決定の支援、プロセスの改善といった一連のビジネスの意思決定や改善に役立てることができます。

    (1) 記述的アナリティクス(Descriptive Analytics)

    • 目的:過去のデータから事象やパターンを理解し、状況を説明する。「何が起こったのか?」
    • 特徴:主に集計や可視化を用いてデータを分析し、要約統計やグラフなどを通じてデータの特性を可視化します。過去のトレンドやパフォーマンスを把握するために使用される。
    • ツール:Microsoft Power BI、Tableau、QlikViewなどのデータ可視化ツールが用いられる。

    (2) 診断的アナリティクス (Diagnostics Analytics)

    • 目的:過去のデータから特定の事象や現象の原因を分析し、問題の根本原因を理解する。
    • 特徴:データの分析を通じて、異常なパターンや変動を検出し、問題が発生した背後にある要因を特定する。これにより、過去の出来事を詳細に解剖し、問題解決への洞察を提供する。
    • ツール:Splunk、Microsoft Power BI、SAS Analytics、IBM Watson Analyticsなどのデータ分析ツールが使用される。

    (3) 予測的アナリティクス(Predictive Analytics)

    • 目的:過去のデータから未来の出来事や動向を予測する。「何が起こり得るか?」
    • 特徴:統計モデルや機械学習アルゴリズムを用いて、データのパターンやトレンドを分析し、将来の出来事を予測する。
    • ツール:Pythonのscikit-learn、R言語、IBM SPSS Modelerなどの予測分析ツールが利用される。

    (4) 規定的アナリティクス(Prescriptive Analytics)

    • 目的:データから最適な意思決定を支援し、行動に関するアドバイスを提供する。「どうすればいいのか?」
    • 特徴:最適化やシミュレーションなどの技術を用いて、さまざまなシナリオを評価し、最良の行動計画を提案する。
    • ツール:OptaPlanner、AnyLogic、Gurobiなどの最適化ツールが応用される。

    (5) プロセスマイニング(Process Mining)

    • 目的:ビジネスプロセスの実行と性能を分析し、効率化や改善の機会を特定する。
    • 特徴:イベントログからプロセスの実行状況を可視化。ボトルネックや過程の問題を洗い出す。
    • ツール:Celonis、Disco、ProMなどのプロセスマイニングツールが活用される。

    【企業におけるビッグデータとアナリティクスの活用事例】

    ビッグデータとアナリティクスの組み合わせは、企業にとって競争力を向上させるための重要なツールであり、DX推進において欠かせない要素です。データを正しく収集し、適切に分析・活用することで、新たなビジネスチャンスの発見や戦略の最適化が可能になります。

    (1) 製造業

    • 製造工程のデータを分析し、製品のアセンブリラインにおけるエラー率を特定し、効率を向上させる。
    • 製品の設計データと生産能力データを組み合わせて分析し、最適な製品ライン配置と生産計画を提案。
    • 生産設備のメンテナンスデータと故障履歴を結びつけて、メンテナンススケジュールの最適化を行う。

    (2) 金融業

    • 顧客の信用スコアと収入情報を組み合わせて、融資限度額や金利を個別に設定。
    • 顧客のローン返済履歴を分析して、リスクスコアや信用スコアを評価するためのデータを収集。
    • 取引データを解析して、特定の取引が不正行為である可能性を検出し、セキュリティ対策を強化。
    • 顧客の口座開設からローン申請までのプロセスを分析し、過程のボトルネックを特定。

    (3) 物流業

    • 輸送ルートの移動データを分析して、運送効率の向上や最適なルートの特定。
    • パッケージトラッキングデータを分析して、配送時間の正確性を向上させるアプローチを検討。
    • 配送遅延の履歴データを分析して、特定地域や天候による遅延の傾向を把握。

    (4) 小売業

    • 顧客の購買履歴を分析し、売れ筋商品や季節ごとの需要パターンを把握する。
    • 在庫量、購買データ、供給チェーン情報を統合して、最適な仕入れ量とタイミングを計画。
    • 在庫レベルと需要予測を組み合わせて、在庫の最適化と販売スケジュールを決定。
    • 購買履歴と顧客の属性データを結びつけて、最適なターゲティングを行うプロモーション戦略を提案。

    (5) 旅行・ホテル業

    • 客室予約データを分析して、ピーク時の予約状況や滞在期間の傾向を把握。
    • 訪問者数と天候データを結びつけて、観光地のピーク時やオフシーズンを分析。
    • オンラインレビューと宿泊データを連携して、顧客満足度と宿泊体験の関連を解析。
    • 旅行パッケージの予約履歴と市場トレンドを組み合わせて、需要の高い商品を特定。

    (6) ゲーム・エンターテインメント業

    • 映画のプロモーションキャンペーンのデータとソーシャルメディアの反応を分析し、興行収入の予測を行う。
    • 音楽ストリーミングデータとユーザー評価を組み合わせて、人気楽曲の特徴を分析。
    • ゲームプレイの行動データとプレイヤーのフィードバックを結びつけて、新機能やアップデートの効果を予測する。

    以上のように、企業はこれらのアナリティクスの方法とツールを組み合わせて、データを有効活用するデータドリブンの戦略を展開することで、データ駆動型イノベーションを創出し、顧客価値の向上、事業成長につなげることが可能になります。

    5. IoT

    IoTは、企業のDX化による、競争力強化、効率化、イノベーションの推進において不可欠な存在となっています。IoTの普及により、ビジネスはよりデータ駆動型の戦略を展開し、迅速かつ的確な意思決定を行えるようになります。

    【IoTとは】

    IoT(Internet of Things)とは、従来はインターネットに接続されていなかったさまざまなセンサー機器や駆動装置、電子機器、住宅、建物、家電製品、自動車などの多様な物体やデバイスがネットを通じてインターネットを通じて相互に接続され、データの収集、共有、制御が可能となる革新的なテクノロジーです。

    これにより、日常的な物体や設備が「スマートデバイス」として振る舞い、デジタルネットワークを介してリアルタイムで情報を交換する能力を持つようになります。

    企業はセンサーやアクチュエーターを用いてデバイスをインターネットに接続し、物理世界の情報をデータとして収集し、分析、活用することが可能になります。これにより、業務プロセスの最適化、効率化、顧客体験の向上が実現します。

    【IoTの仕組み】

    IoTの仕組みは、様々な物体やデバイスがインターネットを介して相互に通信し、データをやり取りするプロセスです。これにより、日常の物体が「スマートデバイス」として振る舞い、リアルタイムで情報を共有する能力を獲得します。

    IoTは、以下のようなステップで成り立っています。

    (1) センサーとアクチュエーターの装備

    物体やデバイスには、温度、湿度、位置などの情報を収集するセンサーや、動作や制御を行うアクチュエーターが組み込まれています。

    (2) データの収集

    センサーが物体の状態や環境のデータを定期的に収集します。例えば、自動車のエンジンセンサーがエンジンの温度や回転数を監視します。

    (3) データの送信

    収集したデータは、インターネットを介してクラウドやデータセンターに送信されます。ここでデータは保存、処理、分析されます。

    (4) データの処理と分析

    クラウドやデータセンターでデータは処理され、特定のパターンや傾向が分析されます。機械学習やAI技術も活用され、データから有益な情報を引き出します。

    (5) 意思決定と制御

    分析結果に基づいて意思決定が行われます。例えば、工場の機械に異常が検出された場合、自動的にメンテナンスが予定されたり、遠隔から制御が行われたりします。

    (6) データの表示と通知

    分析結果や制御結果は、ユーザーにわかりやすい形で表示されたり、通知されたりします。スマートフォンアプリやダッシュボードを通じて、リアルタイムの情報が提供されます。

    このようなIoTの仕組みによって、物体がデータを生成し、それがリアルタイムで収集・処理され、有益な情報や意思決定が生み出されるプロセスが実現されます。

    【企業によるIoTの活用事例】

    企業によるIoTの応用範囲は広範であり、さまざまな業界で活用されています。以下にいくつかの活用例を紹介します。

    (1) 製造業

    • スマートファクトリー
      工場内の機械やセンサーがリアルタイムでデータを収集し、生産ラインの効率を最適化。生産スケジュールの自動調整や故障予測を実現。
    • 品質管理
      製品のセンサーデータを分析して製品の品質をモニタリング。異常なパラメータが検出された場合に自動的にアラートを発信し、品質の向上に寄与。
    • リモートモニタリング
      製造設備のセンサーデータをオンラインでモニタリング。遠隔からのデータ収集により、メンテナンススケジュールを最適化し停止時間を減少。

    (2) 小売業

    • スマートショッピング 顧客のスマートフォンから収集した位置情報と過去の購買履歴をもとに、顧客に対して個別のプロモーションやオファーを提供。
    • 無人コンビニ センサーとカメラを使用して、顧客が商品を取ると自動的に決済が行われる無人コンビニを実現。在庫の監視や商品補充も自動化。
    • 顧客行動分析 店内のセンサーデータとカメラ画像から、顧客の動線や滞在時間を分析し、陳列やディスプレイを最適化して店内効果を向上。

    (3) 医療業

    • ウェアラブルデバイス
      患者が身に着けるウェアラブルデバイスからバイタルデータを収集し、医師が遠隔で患者の健康状態をモニタリングし、早期の健康問題を検知。
    • スマート医療機器
      医療機器に組み込まれたセンサーが患者のデータを収集し、自動的に治療計画を調整。例えば、糖尿病患者向けのインシュリンポンプなど。
    • 手術支援システム
      手術室内のセンサーやカメラが手術の進行状況をモニタリングし、外科医にリアルタイムで情報を提供。手術の精度向上を支援。

    (4) 交通・物流業

    • スマート交通
      道路上のセンサーやカメラからのデータをもとに、交通渋滞の予測と回避ルートの提案。都市の交通状況を最適化。
    • ドローンデリバリー
      ドローンを使用して荷物の運搬や配達を行い、交通渋滞を避けて迅速な配送を実現。
    • フリート管理
      車両のGPSデータと運転データをモニタリングし、運転者の運転習慣を評価して燃料効率や安全性を向上。

    (5) 農業

    • スマート農業
      土壌センサーや気象観測デバイスを使用して、農作物の成長状態と気象情報を組み合わせて、適切な水やりや施肥を行う。
    • 農作業自動化
      農地に設置されたトラクターや収穫機のセンサーデータを活用し、農作業を自動化して効率的に行う。
    • 精密農業
      GPSやセンサーを使用して、畑の異常箇所や肥沃度の違いを検出し、必要な処置を行い収穫量を最大化。

    (6) エネルギー業

    • スマートメータリング
      家庭やビルに設置されたスマートメーターが電力使用データを収集し、消費者がエネルギーを効率的に使用するための情報を提供。
    • エネルギーモニタリング
      工場や施設のエネルギー消費データをリアルタイムで収集し、無駄なエネルギー使用を特定して削減策を提案。
    • 再生可能エネルギー最適化
      太陽光パネルや風力タービンのセンサーデータを活用し、発電効率を最大化して再生可能エネルギーの利用を推進。

    これらは、各業界におけるIoTの活用事例の一部です。企業はIoTを通じてデータの収集と分析を進化させ、効率の向上や新たなビジネスモデルの創出に取り組んでいます。

    6. ブロックチェーン

    ブロックチェーン技術は、デジタルトランスフォーメーションにおいて信頼性と透明性を確保するために活用されます。中央集権的な管理を排除し、分散型のデータベースで取引や情報の正確性を保証し、不正や改ざんを防止します。これにより、業界間の信頼を築き、効率的なプロセスと新たなビジネスモデルの構築が可能となります。

    【ブロックチェーンとは】

    ブロックチェーンとは、暗号技術を用いて取引履歴(ブロック)を1本の鎖(チェーン)のようにつなげ、正確な取引情報を永続的に保存する革新的な技術です。また、ブロックチェーンは分散型であり、参加者間で合意形成が行われるため、中央機関が不要であり、セキュリティレベルが非常に高い特徴があります。この仕組みにより、取引データが改ざんや破壊から守られ、信頼性の高い取引履歴を実現します。

    現在、暗号資産(仮想通貨)の取引のほか、契約書、金融やオンラインサービスでの安全な認証、商品トレーサビリティなど、さまざまな分野で活用されています。

    【ブロックチェーンの仕組み・特徴】

    ブロックチェーンは、分散型のデジタル台帳技術であり、データの安全性、信頼性、透明性を確保する革新的な仕組みです。その基本的な仕組みは以下の通りです。

    (1) 分散化とノード

    ブロックチェーンは中央機関を必要とせず、参加者のノードがデータベースを分散的に保持します。これにより、取引情報やデータが一箇所に依存せずに保存されるため、システムの信頼性が向上します。

    (2) ブロックの連鎖

    データはブロックと呼ばれる単位に分割され、それぞれのブロックは前のブロックの情報を含むハッシュ値でリンクされます。これにより、過去の取引履歴が改ざんされないように保護されます。

    (3) 暗号学的ハッシュ

    各ブロックは暗号学的ハッシュ関数によって生成されたハッシュ値で識別されます。ハッシュは前のブロックの情報に基づいて生成されるため、一つのブロックが変更されると、それ以降のすべてのブロックも無効化されるため改ざんが難しくなります。

    (4) コンセンサスアルゴリズム

    新しいブロックを追加する際、ノード間で合意を形成するためのコンセンサスアルゴリズムが利用されます。代表的なものにProof of Work(PoW)やProof of Stake(PoS)があり、合意形成を保証します。

    (5) スマートコントラクト

    ブロックチェーン上でプログラムが自動的に実行されるスマートコントラクトが利用されます。契約内容や条件をプログラム化し、自動的な取引の実行や契約履行が可能となります。

    【ブロックチェーンのメリット】

    ブロックチェーンは、ビジネスにおける信頼性、透明性、効率性を向上させる革新的なテクノロジーとして注目されています。

    • 信頼性の向上
      透明性とセキュリティが取引の信頼性を高め、信頼不足を解消。
    • 中間業者の排除
      取引の中間業者を排除し、効率的なプロセスと低コストを実現。
    • トレーサビリティ
      製品の原材料や流通過程を追跡し、品質管理や適切な供給チェーンを確保。
    • 新たなビジネスモデルの創出機会
      スマートコントラクトを用いた新しいビジネスモデルやサービスが創出される。
    • 横断的な協力関係の形成
      異なる組織間での協力が容易になり、業界全体のイノベーションが促進されます。

    【企業によるブロックチェーンの活用事例】

    ブロックチェーンは様々な領域で活用しています。以下にいくつかの事例を紹介します。

    (1) 製造業

    • サプライチェーン管理 原材料から最終製品までのサプライチェーン管理にブロックチェーンを活用。トレーサビリティと透明性を確保して品質管理や偽造の防止に貢献します。
    • 知的財産管理とライセンス管理 製品の知的財産情報やライセンスの管理にブロックチェーンを活用。製品のデザインや特許情報などの知的財産データをブロックチェーン上に格納し、改ざんを防ぎつつ、必要なライセンス情報を迅速に管理・共有できる環境を構築しています。
    • 保証書のデジタル化 製品の保証書や品質証明書をブロックチェーン上にデジタル化することで、顧客と製造業者間で情報共有が容易になり、信頼性を高めています。

    (2) 小売業

    • 商品の偽造防止と透明性向上
      ブロックチェーンを使用して、商品の偽造防止と透明性向上を実現。商品に対するブロックチェーンのタグを提供し、消費者はスマートフォンで商品情報を確認して本物商品を確実に購入できるようになります。また、商品の供給チェーンを追跡し、偽造品の流通を防止します。
    • 物流管理とトレーサビリティ
      ブロックチェーン技術を使用して、食品のトレーサビリティと物流管理を向上。商品の製造から販売までの供給チェーンをブロックチェーン上で透明に管理することで、食品の安全性と品質を確保し、必要な場合に迅速なリコール手続きを実施できます。
    • ロイヤルカスタマーへの報酬
      ブロックチェーンでプログラム化された報酬ポイントや仮想通貨を利用して、ロイヤルカスタマーに対するリワードを追跡。顧客のエンゲージメントとロイヤルティを向上させます。

    (3) 金融業

    • 国際送金の効率化
      ブロックチェーン技術を使って国際送金プロセスを透明化し、仲介銀行を排除。中間手数料や処理時間を削減し、送金のスピードとコスト効率を向上させます。
    • KYC(本人確認手続き)の改善
      ブロックチェーン技術を使って顧客のデジタルIDを確認するKYCプロセスを効率化し、コスト削減や顧客データの安全性を向上させます。
    • デジタル証券の発行
      ブロックチェーン技術を使って従来の株式や債券と同じ権利を持つデジタルトークンとしてデジタル証券を発行。証券取引所を介さずにデジタル環境でトレーディングが可能となり、株式の分割や譲渡を行えます。

    (4) 交通・物流業

    • 貨物追跡と流通管理
      ブロックチェーンを使用し、物流プロセスの可視化と追跡を実現。貨物の出荷から配送までの経過を透明に管理し、遅延や紛失を防ぎます。
    • ドキュメント管理と効率化
      運送契約書や関連文書をブロックチェーン上に保存し、データの改ざんを防ぎつつ、関係者間での共有とアクセスを迅速化します。
    • スマートコントラクトによる支払いと配送
      スマートコントラクトを使用し、配送プロセスと支払いを自動化。配達完了と合致した時点で支払いが行われる仕組みを構築し、効率的な取引を促進します。

    (5) 医療業

    • 患者データのセキュアな共有
      ブロックチェーンを使用し、薬剤の供給チェーンをトレーサビリティで管理。薬剤の原料から製造、流通までの過程を透明に記録し、偽薬の流入を防ぎます。
    • 薬物調剤のトレーサビリティ
      ブロックチェーンを使用し、薬品の製造から流通までのプロセスを記録。薬剤の品質と安全性、透明性を確保し、偽薬の流通を防ぎます。
    • 臨床試験データの信頼性確保
      臨床試験のデータをブロックチェーンで記録。データ改ざんを防ぎ、研究結果の信頼性を高め、新薬開発を加速させます。

    (6)ゲーム・エンターテインメント業

    • デジタルコレクティブルの販売
      エンターテイメント業界では、各種キャラクターをNFTとして発行し、ファンに直接デジタルコレクティブル(デジタルアイテム)を販売しています。
    • ライブイベントのアクセス許可
      エンターテイメント業界では、ライブコンサートやイベントのアクセス許可をNFTとして提供しています。NFTを持っているファンは、ライブ配信やバックステージへのアクセスなどの特典を得ることができます。
    • 仮想世界内のアイテム所有権
      ゲーム業界では、ブロックチェーンを使用して仮想世界内のアイテムやアバターの所有権をNFTとして確立する事例が増えています。プレイヤーはNFTを購入し、ゲーム内で独自のアイテムを所有・トレードしています。

    7. ノーコード開発/ローコード開発

    ノーコード開発(No-Code Development)とローコード開発(Low-Code Development)は、DX推進の鍵となる技術であり、ビジネスのイノベーションを促進する重要なツールです。ノーコード開発とローコード開発は、プログラミングの知識が限られているユーザーでもアプリケーションを構築できる技術ですが、そのアプローチには違いがあります。

    【ノーコード開発/ローコード開発とは】

  • ノーコード開発(No-Code Development)
  • ノーコード開発とは、プログラミングの知識がない人々によるアプリケーションやソフトウェアの構築を容易にする手法です。

    従来の複雑なコーディングが不要で、直感的なユーザーインターフェースやドラッグ&ドロップ機能を通じて、ビジュアルなアプローチで開発が可能です。既存のコンポーネントやテンプレートを選択し、必要な設定を行うことで、独自のアプリケーションを簡単に作成できます。

    ノーコード開発により、ビジネス部門や非技術的なスタッフも迅速にカスタマイズされたソリューションを構築し、効果的なデジタル変革を実現することできます。

  • ローコード開発(Low-Code Development)
  • ローコード開発は、プログラミングの知識が少なくてもアプリケーションを効率的に構築できる手法です。

    繁雑なコーディングを最小限に抑え、視覚的なユーザーインターフェースや事前に用意されたコンポーネントを使用して、アプリケーションを組み立てることができます。

    これにより、開発スピードが向上し、ビジネスニーズに合わせた柔軟なカスタマイズが容易に実現できます。また、エキスパートな開発者も高度なプロジェクトを迅速に展開できるため、効率性とコラボレーションが促進されます。

    ローコード開発は、ビジネスのデジタル化をスムーズに進め、革新的なソリューションを素早く提供するための重要なアプローチです。

    両者の違いは、ノーコードがプログラミング不要であるのに対し、ローコードは少量のコードを含むことと言えます。ノーコードは簡単で即時にアプリを作成したい場合に適しています。ローコードは柔軟性や拡張性を求める場合に適しています。どちらもビジネスプロセスのデジタル化と革新を支援する有力なツールとして、企業のDX戦略に欠かせません。

    【ノーコード開発/ローコード開発のメリット・デメリット】

    企業はクラノーコード開発とローコード開発は以下のようなメリットとデメリットがあります。

    メリット

    • 迅速なアプリ開発
      ノーコードではプログラミング不要でアプリを作成でき、ローコードでもプログラミング知識が少なくても開発が可能。業務ニーズにスピーディに対応できる。
    • ビジネスとITの連携強化
      ノーコード/ローコードのプラットフォームは、ビジネス部門とIT部門との協力を促進。業務の要件をITにスムーズに伝え、アプリの効果的な開発が可能。
    •  適応力の向上
      ノーコード/ローコードはアプリの変更が容易。市場変化に素早く適応し、ビジネスの競争力を高める。

    デメリット

    • 複雑アプリへの制約
      ノーコードでは複雑なアプリや特定の要件には限界があり、ローコードでも柔軟性に制約がある。したがって、要件によっては従来の開発手法が必要になる場合がある。
    • カスタマイズと柔軟性の限界
      ノーコード/ローコードは高度なカスタマイズは困難。特定の業務プロセスに適合させるには、専門的なプログラミングスキルが必要となる。
    • スケーラビリティの懸念
      大規模プロジェクトや複雑なシステムには限界があり、適切な専門スキルを持つ開発者が必要になる。

    【ノーコード開発/ローコード開発の主なプラットフォームやツール】

    これらのクラウドサービスモデルを組み合わせて、企業はDX推進に必要なソフトウェアやプラットフォーム、インフラストラクチャを効率的に利用し、ビジネスプロセスを改善できます。例えば、以下のような事例が考えられます。

    • Microsoft Power Apps
      マイクロソフトが提供するローコード開発プラットフォーム。ビジネスアプリケーションの構築やデータ連携を容易にする。DX推進やプロセス自動化に適している。
    • Salesforce Lightning Platform
      Salesforceのローコード開発プラットフォーム。CRMのカスタマイズやプロセス最適化に活用される。
    • Mendix
      シーメンスが提供するエンタープライズ向けローコード開発プラットフォーム。ビジネスアプリケーションの効率的な開発とプロセス自動化を支援する。
    • Appian
      Appianが提供するプロセス自動化とビジネスアプリケーション開発を統合するプラットフォーム。
    • Airtable
      スプレッドシート型データベースに特化したノーコードツール。プロジェクト管理や情報共有に利用。
    • Zoho Creator
      ビジネスに必要なソフトウェアの設計、開発、運用を支援するローコードアプリケーション開発プラットフォーム。
    • OutSystems
      設計から運用までをカバーするローコードプラットフォーム。開発した各種アプリのライフサイクル管理まで行うことができる。
    • AppSheet
      Goolgeが提供するプログラミング不要のノーコード開発ツール。スプレッドシートを基にしたアプリケーションの開発が行える。

    【ノーコード開発/ローコード開発の活用例】

    ノーコード/ローコード開発は、下記のように多岐にわたる目的でアプリ開発を行うことができます。

    (1) 業務効率向上

    • 申請プロセス自動化
      ローコード開発プラットフォームを活用して、社内の申請プロセスを自動化する。従来の手作業が減少させ業務効率の向上を図る。
    • 勤怠管理アプリ
      ノーコード開発プラットフォームを使用して、従業員の勤怠管理アプリを開発し、シームレスなタイムトラッキングと給与計算を行う。
    •  プロトタイプ開発
      デザイン部門がローコード開発ツールを使用して、プロトタイプを開発する。アイデアの検証と改善を容易にするとともに迅速化を図る。

    (2) データ分析と可視化

    • ダッシュボードの構築
      ノーコード開発プラットフォームを使用して、リアルタイムの金融データを可視化するダッシュボードを構築し、意思決定を迅速化する。
    • 顧客データ分析アプリ
      ローコード開発ツールを使用して、顧客データを分析・可視化するアプリを開発し、個別顧客に合わせたサービス提供する。

    (3) ビジネスプロセスの最適化

    • 在庫管理アプリ
      ノーコード開発プラットフォームを使用して、在庫管理アプリを構築し、在庫追跡と供給チェーンを最適化する。
    • フィールドサービスアプリ
      物流業界で、ローコード開発ツールを使用して、フィールドサービスの管理アプリを開発し、効率的なスケジュール管理とリアルタイムトラッキングを行う。

    (4) モバイルアプリケーション開発

    • 従業員向けモバイルアプリ
      ノーコード開発プラットフォームを使用して、従業員向けのコミュニケーションモバイルアプリを簡易に開発し、社内のチーム連携の円滑化を図る。
    • 顧客向けアプリケーション
      ホテル業界でローコードラットフォームを活用して、顧客向けのモバイルアプリを構築し、予約管理や特典の提供を行い顧客満足度の向上を図る。

    (5) カスタマーエクスペリエンスの向上

    • オンライン注文プラットフォーム
      小企業でノーコード開発ツールを使用して、オンライン注文プラットフォームを迅速に構築し、顧客の利便性向上を図る。
    • 顧客フィードバックアプリ
      飲食業でローコード開発ツールを使用して、顧客からのリアルタイムフィードバックを収集するアプリを開発し、改善活動に直接フィードバックを反映させる。

    (6) イノベーション促進

    • アイデア提案プラットフォーム
      ノーコード開発ツールを使用して、社内アイデア提案プラットフォームを構築し、社員参加のイノベーションを推進する。
    • フィールドサービスアプリ
      物流業界でローコード開発ツールを使用して、フィールドサービスの管理アプリを開発し、効率的なスケジュール管理とリアルタイムトラッキングを行う。

    これらの活用例は、企業がノーコード/ローコード開発を通じて短期間でアプリケーションを開発してDXを推進することで、効率向上、プロセス改善、データ活用、顧客満足度の向上などの様々な目的の達成を可能にすることを示しています。

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    June 13, 2025

    アジア・シームレス物流フォーラム2025出展レポート

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    May 30, 2025

    SusHi Tech Tokyo 2025出展レポート

    株式会社リッケイは、2025年5月8日~10日に東京ビッグサイトにて開催された、東京都主催の「SusHi Tech Tokyo 2025」に出展しました。  本イベントは、国内外のスタートアップ、行政、投資家、企業が一堂に会し、「持続可能な未来都市」の実現に向けた技術・アイデアを共有する、日本最大級のグローバル・イノベーション・カンファレンスです。  2回目の開催となる今回は、国内外613社のスタートアップが出展し、ユニコーン企業や大企業経営者のリーダー、投資家、海外政府高官などによるセッションやピッチコンテストも実施され、昨年を大きく上回る57,000名の来場者を記録しました。  出展ブースの概要と展示内容 当社は、当社社長が共同会長を務める一般社団法人「在日ベトナムDX協会(VADX)」の取り組みの一環として、「ベトナム都市ブース」に共同出展いたしました。ブースでは、高品質かつコストパフォーマンスに優れるベトナムオフショア開発、自社製 AI搭載ロボット(AMR)、多彩な開発実績やITリソースをご紹介し、幅広いITニーズや最先端テクノロジーへの対応力を紹介しました。  当社ブースでは、以下の技術・サービスを中心にご紹介しました: ・高品質かつコスト効率に優れたベトナムオフショア開発 ・ AI/クラウド/IoTなどの最先端ソリューション ・自社開発のAI搭載ロボット(AMR) ・多様な業種に対応可能な豊富な開発実績・ITリソース  これらのソリューションを通じて、当社の技術力や課題解決力、柔軟な対応体制を幅広く来場者にご理解いただく機会となりました。 リッケイの展示内容 当日ブースの様子 当社ブースには、国内外の多くの来場者が訪れました。特に、AIやIoTといった先端技術への対応力、自社の開発要員およびオフショア拠点を活用した高効率な開発体制、そして日本企業との豊富な取引実績や豊富なITリソースに対して、高い関心が寄せられました。  なかでもロボティクスに関心を持つ来場者からは、展示したAI搭載ロボットについて、機能や活用シーン、他システムとの連携方法など、具体的なご質問を多数いただきました。  リッケイのブースの様子 出展時に寄せられた主なご相談内容 【ご相談①】日本本社のシステムのアメリカ現地法人への導入展開に関するご相談 リッケイソフトグループは、アメリカをはじめとする複数国に現地法人を有しており、日本側の業務要件やシステム仕様を正確に把握した上で、現地の業務・法制度・言語に即したローカライズ支援が可能です。英語・日本語の両言語に対応可能なエンジニアが在籍しており、本社と現地の円滑なコミュニケーションを実現します。これまでにも、基幹システムや販売・在庫管理システムの海外展開を多数支援してきた豊富な実績があり、業種を問わず柔軟に対応できる体制を整えています。  【ご相談②】要望に応じたロボットのカスタム開発に関するお問い合わせ リッケイでは、お客様のご要望を丁寧にヒアリングした上で、ソフトウェア開発チームとハードウェアパートナー企業との連携体制のもと、最適なロボットソリューションを開発します。業務効率化や省人化、品質向上を目的としたロボットの設計からソフトウェア開発、実機連携まで一貫して対応します。 AI技術を活用した自律移動型ロボット(AMR)の開発実績もあり、製造・物流・小売業など幅広い業界に対応しています。日本語での要件定義からPoC、量産化まで、柔軟かつスピーディーな対応を強みとしています。  【ご相談③】上流工程の支援体制についてのご質問 リッケイは、要件定義・基本設計などの上流工程から開発・テスト・運用保守までワンストップで対応可能です。日本語に対応可能なPMがプロジェクトを主導し、ベトナムのオフショア開発チームと連携することで、高品質かつコスト効率に優れた開発体制を構築しています。特に、倉庫管理システムや販売管理システムなど、業務理解を要するシステムにおいては、上流工程からの参画により、業務課題を的確にシステム要件へと落とし込む支援を行ってきました。業務に深く寄り添う提案力と柔軟な開発体制を活かし、お客様のDX推進をサポートしています。    今回のSusHiTech Tokyo 2025出展は、当社が提供するベトナム発の高品質なITソリューションを国内外に発信する貴重な機会となりました。リッケイは今後も、日本全国のお客様にコストパフォーマンスに優れた実効性の高いITソリューションを提供してまいります。 この度は、弊社ブースにお立ち寄りいただいた皆さまに、心より御礼申し上げます。  

    March 10, 2025

    Rikkeisoft、全社的なAI導入を本格始動

    2025年3月、創立13周年を迎えたRikkeisoftは業務効率の向上とさらなるサービス価値の強化を目指し、全社的なAI技術の導入を本格的に開始しました。2025年3月5日には、「2025年 Rikkeisoft AIプログラム キックオフイベント」を開催し、AI導入の方針を発表するとともに、社員がAIを活用しながら業務を最適化するためのロードマップを示しました。 本記事では、企業がAIを導入すべき理由、RikkeisoftのAI戦略、2025年AIプログラムの具体的な内容、そしてAI導入が社員や会社の成長に与える影響について詳しく解説します。  AIの歴史と今 AIの進化と現状—なぜ今、企業はAIを導入すべきなのか? AIの歴史と進化—技術革新がもたらした転換点 AIの概念は1950年代から存在していましたが、実際に私たちの生活に大きな影響を与え始めたのはここ10年ほどのことです。特に2010年代以降のAI技術の進化が、企業におけるAI活用を現実のものとしました。  2011年:AppleのSiriが登場—AIが身近な存在に AppleがiPhoneに搭載した音声アシスタント「Siri」は、AIが日常生活に浸透する第一歩となりました。これにより、音声認識技術の実用化が加速し、AIがビジネスや個人向けサービスに取り入れられるきっかけとなりました。  2022年:ChatGPTの登場—AIが対話型へ進化 OpenAIが発表した「ChatGPT」は、AIの可能性を大きく広げました。従来のAIは特定のタスクに特化したものが多かったのに対し、ChatGPTは自然言語処理(NLP)技術の飛躍的向上により、幅広い分野で活用可能になりました。  2024年:ChatGPTがSiriと統合—AIがより高度で直感的なものに 2024年、AppleはChatGPTをSiriに統合し、ユーザーの体験を大幅に向上させました。これにより、AIが人間のような会話を理解し、適切に応答する能力が劇的に向上し、ビジネスシーンでの活用も急速に進みました。  このように、AI技術はわずか十数年で研究レベルから実用化へ、そして企業の必須ツールへと進化しました。  AIは私たちの働き方や生活をどう変えているのか? AIの進化は、単なるテクノロジーの発展にとどまらず、私たちの働き方や生活を根本的に変えるインパクトを持っています。  AIがもたらす産業変革 現在、AIはすでに多くの業界で業務効率の向上や生産性の最適化を実現しています。  医療分野:AIが医療画像を解析し、病気の早期診断を支援  金融分野:AIが取引パターンを分析し、不正取引を検出  教育分野:個別学習プログラムの最適化により、生徒ごとに最適な教育を提供  農業分野:AIによる天候予測とデータ解析で作物の収穫量を最大化  自動運転技術:AIが交通状況をリアルタイム解析し、事故リスクを低減  IT業界におけるAIの活用 特にIT業界では、AIが開発プロセスを加速し、プログラマーの生産性向上に大きく貢献しています。  コードの自動生成:AIを活用したプログラミング支援ツール(例:GitHub Copilot)により、エンジニアの作業時間を50%以上削減  バグ検出の自動化:AIがエラーやセキュリティ脆弱性を瞬時に特定  テストの自動化:AIがテストケースを生成し、開発スピードを向上  こうした事例からもわかるように、AIはすでにさまざまな業界で業務の効率化と最適化を実現しており、企業にとって不可欠なツールとなっています。 なぜ今、企業はAIを導入すべきなのか? AI技術が進化し、活用の幅が広がる中、企業が今すぐAI導入に取り組むべき理由は次の3つに集約されます。  競争力の維持と市場での優位性確保 AIを活用する企業としない企業の間には、生産性やコスト削減の面で大きな差が生まれます。特にグローバル市場で競争力を維持するためには、AIの活用が必須です。  人材の生産性向上と業務効率化 AIはルーチン業務を自動化し、社員がより創造的な業務に集中できる環境を作ります。 これにより、社員の生産性が向上し、企業全体のパフォーマンスが最適化されます。 コスト削減と新たな成長機会の創出 AIを活用することで、業務の効率化によるコスト削減が可能になります。また、AIが生み出す新たなサービスや市場を活用することで、企業の成長機会が拡大します。  RikkeisoftのAI戦略—なぜ全社導入を決断したのか? AIはもはや選択肢ではなく、企業存続の必須要件 世界のIT市場では、AI技術を活用した企業とそうでない企業の間で、生産性や競争力に大きな差が生まれています。この流れの中で、Rikkeisoftが競争力を維持し、さらなる成長を遂げるためには、AIの全社的な導入が不可欠でした。具体的には、次の3つの要素がAI導入の決断を後押ししました。  1. 日本・米国・タイ・韓国市場の成長機会を活かすため Rikkeisoftは、日本・米国・タイ・韓国市場への事業拡大を進めており、これらの市場ではAIを活用したITソリューションへの需要が急速に高まっています。こうした市場の動向を踏まえ、RikkeisoftはAIを活用したサービスの強化を進め、グローバル市場での競争力を高める戦略を取ることを決定しました。  2. Rikkeisoft社員のAI活用ニーズの高まり Rikkeisoftの社内調査によると、多くの社員がAIを活用して業務効率を向上させたいと考えていることが分かりました。しかし、まだ十分にAIを活用できていない社員も多く、AI導入に対するサポートが求められています。  調査結果から分かった主なポイント: ・社員の80%以上がAIを業務に活用したいと回答 ・しかし、実際にAIツールを活用できている社員は50%未満  この結果を受け、RikkeisoftはAI導入に向けた教育プログラムや支援体制を強化し、すべての社員がAIを最大限に活用できる環境を整備することを決定しました。  3. AI導入により目指す姿—Rikkeisoftの未来像 Rikkeisoftは、AI導入を単なる業務効率化の手段と捉えるのではなく、企業の成長戦略の中核として位置づけています。AI導入によって、次のような未来像を実現することを目指しています。  全社員がAIを活用し、生産性を向上 ・ルーチン業務をAIが自動化し、社員はより価値の高い業務に集中できる ・プログラム開発の生産性が向上し、より高品質なサービス提供が可能に  Rikkeisoftのブランド価値向上と市場競争力の強化 ・AI導入を進めることで、IT業界におけるリーダー企業としての地位を確立 ・AIソリューションの提供により、顧客企業のDX推進を支援  2025年Rikkeisoft AIプログラムの概要 […]

    February 13, 2025

    オフショア開発の新潮流:チャイナリスクを避け、分散とリソース確保へ

    近年、オフショア開発の目的は「コスト削減」から「リソース確保」へとシフトしています。特にチャイナリスクの高まりを受け、多くの企業が開発拠点の分散を進めています。  最新の「オフショア開発白書2024」によると、オフショア先としてベトナムが42%のシェアを獲得し、依然として最も人気のある国であることが明らかになりました。一方、中国は26%と2位を維持していますが、規制強化や単価上昇により新規発注の割合は減少傾向にあります。  本記事では、「オフショア開発白書2024」のデータを基に、チャイナリスクの現状、オフショア先分散の重要性、オフショア開発の最新トレンドについて解説します。  チャイナリスクの現状 「オフショア開発白書2024」によると、中国をオフショア先として活用する企業の割合は26%と依然として高いものの、近年さまざまなリスクが浮上しています。ここでは、企業が直面する具体的なチャイナリスクを整理します。  カントリーリスクの高まり 中国政府による規制強化や日中関係の悪化は、オフショア開発に大きな影響を与えています。特に以下の点がリスクとして指摘されています。  データセキュリティ規制の強化 近年、中国ではデータ管理に関する法律が厳格化され、国外とのデータのやり取りが制限されるケースが増えています。  ジオポリティクスの影響 米中対立の影響により、中国に拠点を置く企業が輸出規制や制裁の対象となるリスクが高まっています。  規制によるビジネス環境の不透明さ 突然の法律改正や政策変更が事業運営に影響を及ぼすことが懸念されています。 エンジニア単価の上昇 中国のプログラマーの平均人月単価は44.4万円と、ベトナムの39.4万円と比較して約12%高い水準となっています。さらに、シニアエンジニアやプロジェクトマネージャーの単価も高騰しており、特に高度技術分野(AI、ブロックチェーンなど)では、日本国内とほぼ同等、またはそれ以上のコストが発生するケースもあります。  中国には多くの優秀なエンジニアが存在し、先端技術(AI、クラウド、ブロックチェーン)の分野では依然として強みを持っています。しかし、これまで中国に開発を集中させていた企業は、カントリーリスクやコスト増により、開発の分散を進める必要性を感じています。「オフショア開発白書2024」によると、オフショア先の分散を検討している企業の割合は前年より増加しており、ベトナムやインド、フィリピンへのシフトが進んでいます。  最新のオフショア開発委託先ランキング 前章でも述べたように、中国のデータセキュリティ規制の強化や米中対立の影響、中国のエンジニア単価の上昇等の理由により、中国から他の国へ開発拠点を移行する企業が増加しています。  「オフショア開発白書2024」のランキングによると、2024年のオフショア開発委託先は以下のようになっています。  引用元:オフショア開発白書 2024年版 なぜベトナムがオフショア委託先として最適なのか ① コストパフォーマンスが高い ベトナムのプログラマーの平均人月単価は39.4万円と、中国より約12%安価です。シニアエンジニアやプロジェクトマネージャーの単価も、他のオフショア国と比べて競争力があります。 ② IT人材が豊富 ベトナムは国家としてIT人材の育成に力を入れており、エンジニアの供給が安定しています。日本語対応エンジニアの育成も進んでおり、日本市場向けの開発に強みを持っています。  ③ 日本との親和性が高い ベトナムは親日国であり、日本市場をターゲットにするIT企業が多いです。ブリッジSEの充実により、日本企業とのコミュニケーションもスムーズです。  ④ 開発分野の多様化 近年、ベトナムのオフショア開発は、従来のWebシステム開発やスマホアプリ開発に加え、AI・ブロックチェーン・クラウドなどの先端技術開発にも対応する企業が増えています。  ベトナム以外のオフショア開発候補として、インド、フィリピン、東欧諸国も注目されています。それおぞれの特徴は以下の通りです。  インド:  AI・ブロックチェーンなどの先端技術に強い。エンジニアのスキルレベルが高いが、プロジェクト管理が難しいことも。  フィリピン: 英語対応が可能で、BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)やグローバル案件に適している。  東欧諸国: 高品質な開発が可能。欧米市場向けの案件が多いが、日本市場向けの経験が少ない。  オフショア開発の委託先を分散する重要性 近年、オフショア開発の戦略として「開発拠点の分散」が注目されています。ここでは、分散化が求められる理由と、具体的な分散戦略のポイントについて解説します。  1カ国依存のリスク オフショア開発の拠点を1カ国に集中させることは、ビジネスの継続性に大きなリスクをもたらします。  ①カントリーリスク 中国の規制強化、ミャンマーの政情不安、突然の法改正や貿易規制により、開発継続が困難になる可能性があります。  ②為替リスク 円安や現地通貨の変動によって、開発コストが大きく変動するリスクがあります。例えば、円安の影響で、中国の開発単価が前年比約10%上昇しました。  ③人材確保のリスク 特定の国でエンジニアの需給バランスが崩れると、採用競争が激化し、コスト増加につながります。  分散戦略のメリット ①事業継続性(BCP)の確保 特定の国で問題が発生しても、別の拠点で開発を継続できます。 例:ミャンマーの政情不安を受け、開発をベトナム・フィリピンへ分散する企業が増加。  ②コスト最適化 国ごとの単価差を活用し、コストパフォーマンスを最適化できます。 例:ベトナムでの基本開発 + インドでの高度技術開発 + フィリピンでのBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)などの組み合わせ。  ③技術・スキルの最適配置 国ごとの得意分野を活かし、開発効率を向上できます。 例:AI・ブロックチェーン開発はインド、モバイルアプリ開発はベトナム、サポート業務はフィリピンなど。  オフショア開発の分散化は、カントリーリスクやコスト上昇リスクを軽減し、安定した開発体制を構築するために不可欠な戦略です。多くの企業が中国依存を避け、ベトナムを中心に複数の国へ開発拠点を分散させる動きを加速させています。  特にベトナムは、コスト・技術・リソースのバランスが取れており、分散戦略の中心に適した国です。  オフショア開発の最新トレンド:コスト削減からリソース確保へ オフショア開発は従来「コスト削減」を最大の目的として活用されてきました。しかし、2023年から「開発リソースの確保」が主要な目的へと変化しています。  ここでは、その変化の背景と、今後のオフショア開発の方向性について解説します。  […]

    February 12, 2025

    ポストチャイナとベトナムの可能性 – (2)日本企業が新たな拠点を求める理由

    本記事は2部構成の後編です。前編では、日本企業が直面しているチャイナリスクと米中貿易摩擦の影響について解説しました。後編では、日本企業が中国から他国へ拠点を移転する動向と、その中でも特に注目されているベトナムの優位性について詳しく見ていきます。 ▼前編の記事はこちら2025年、ポストチャイナとベトナムの可能性 ー (1)チャイナリスクと米中貿易摩擦の行方 日本企業の中国から他国への移転状況 近年、日本企業は中国から他国への生産拠点の移転を加速させています。この動きの背景には、チャイナリスクの高まりやコスト競争力の低下があり、企業は新たな展開先を模索しています。 事業展開が有望な国・地域ランキング 国際協力銀行(JBIC)が実施した「わが国製造業企業の海外事業展開に関する調査報告」によると、今後3年程度の有望な事業展開先として、インドが3年連続で首位を維持し、ベトナムが2位となっています。一方で、中国は6位に順位を落とし、有望国としての中国離れが鮮明になっています。このランキングは、日本企業が中国から他国への移転を検討する際の指標となっており、特にインドとベトナムが注目されています。 日本企業の海外直接投資(FDI)動向:中国 vs ベトナム 本企業の海外直接投資の動向を見ると、ベトナムへの投資が増加傾向にあります。大和総研のレポート「ベトナムへの進出/ビジネス拡大の好機(2024/11 /20 )」(PDF)によると、2023年の日本の対ベトナム投資額は、対中国投資額の1.1倍に達しており、ベトナムへの投資選好の高まりが示されています。この傾向は、ベトナムが製造業の新たな拠点として注目されていることを反映しています。 日本企業の拠点移転動向(製造業・IT業) 製造業においては、人件費の上昇や地政学的リスクを背景に、中国からベトナムやインド、メキシコなどへの生産拠点の移転が進んでいます。一方で、IT業界では、ベトナムがオフショア開発の拠点として注目を集めています。ベトナムの若年層の豊富な労働力と技術力の向上が、IT業界の進出を後押ししています。 これらの動きは、企業がリスク分散とコスト競争力の確保を目指していることを示しています。中国からの移転先としては、ベトナム、インド、メキシコが有力な選択肢となっており、中でもベトナムは製造拠点と市場の両面での魅力が評価されています。 ベトナムの優位性と今後の展望 ベトナムの経済成長率と労働人口 ベトナムは近年、安定した経済成長を遂げています。ベトナム統計総局によると、2024年の実質GDP成長率(推計値)は前年比7.09%であり、1人当たりGDPは4,700ドル(前年より377ドル増)と推定されています。 労働人口に関しては、2023年にベトナムの人口は約1億300万人に達し、そのうち6,700万人以上が生産年齢人口(15~64歳)に該当します。平均年齢は31歳と若く、豊富な労働力が経済成長を支えています。 このような経済成長と若年層の豊富な労働力は、ベトナムが製造業やIT業界の新たな拠点として注目される要因となっています。 チャイナ・プラスワンの他の候補国に比べてベトナムが有利な点 チャイナ・プラスワン戦略において、ベトナムは他の候補国と比較していくつかの優位性を持っています。 まず、ベトナムの賃金水準は他の新興国と比較して依然として低く、豊富な労働力を有しています。これにより、低コストでの生産が可能となり、多くの企業が進出を検討する要因となっています。 次に、ベトナムは政治的に安定しており、外交リスクが小さいため、企業の進出先としての安心感があります。加えて、地理的にも中国と国境を接しており、中国のサプライチェーンとの連携が容易であることも大きなメリットとなっています。 また、ベトナムは積極的に貿易協定を締結しており、多くの貿易相手国と関税面での優遇措置を享受する環境にあります。これにより、輸出入のコストが抑えられ、企業にとっての競争力を高める要因となっています。 これらの要因により、ベトナムはチャイナ・プラスワンの候補地として他国よりも有利な位置にあると考えられます。 低賃金と豊富な労働力:ベトナムは他の新興国と比較して賃金が安く、豊富な労働力を有しています。 政治・外交リスクの低さ:ベトナムは政治的に安定しており、外交リスクも小さいため、企業の進出先として安心感があります。 地理的優位性:ベトナムは中国と国境を接しており、中国のサプライチェーンとの連携が容易です。 積極的な貿易協定の締結:ベトナムは多くの貿易協定を締結しており、輸出入における関税面での優遇を受けやすい環境にあります。 ポストチャイナ時代に向けた日本企業の新たな選択肢 日中関係の変化や米中貿易摩擦の影響を受け、日本企業の「ポストチャイナ」戦略は今後も続くと予想されます。その中で、ベトナムは製造業の生産拠点としてだけでなく、IT開発の拠点としても成長を続けています。 製造業の拠点移転に留まらず、ITオフショア開発を活用しながらDXを推進することで、日本企業の競争力強化が求められます。ベトナムは「生産」「市場」「IT開発」の3つの側面で、日本企業の成長を支える重要な拠点となる可能性が高いと考えられます。 日本企業のサプライチェーンは、大きな転換期を迎えています。地政学リスクやコストの上昇、貿易摩擦の影響により、中国への依存を見直す動きは不可避となりました。 その中で、ベトナムは製造業の新たな拠点としての競争力を高めるだけでなく、IT開発・デジタル市場の成長により、日本企業にとって多面的な魅力を持つ国へと変貌しつつあります。チャイナ・プラスワンの有力候補として、今後もその存在感を増していくことは間違いありません。製造・市場・IT開発の3つの軸で、新たな事業展開を模索する日本企業にとって、ベトナムは今、最も注目すべき国の一つといえるでしょう。 ▼前編の記事はこちら2025年、ポストチャイナとベトナムの可能性──チャイナリスクと米中貿易摩擦の行方 無料eBookのダウンロード チェックリストでわかる 失敗しないオフショア開発会社の選び方 オフショア開発会社選びの準備から開発開始まで、多様な角度からチェックポイントを網羅。チェックリストを活用して効率的な選定や基準作りに役立ちます。 今すぐダウンロード(無料) 無料eBookのダウンロード 保存版 オフショア開発入門ガイド オフショア開発を始める前の気になる疑問を解決!オフショア開発を検討中の方に向けて、オフショア開発の基本的な知識から注意点までを解説します。 今すぐダウンロード(無料)

    September 9, 2024

    医療業界におけるAIの活用事例

    人材不足や過酷な労働環境という課題を抱える医療業界において、企業や医療機関はAIを積極的に導入することで診断精度の向上や労働環境の改善につなげています。本記事では、医療業界でAIの導入が求められる背景や、具体的な導入事例をご紹介します。  医療業界でAIの導入が求められる背景 創薬 新薬の開発プロセスを大幅に効率化するためにAIの活用が進んでいます。AIは、膨大な化学データや生物学データを迅速に解析し、効果が期待できる分子を特定するために利用され、臨床試験の成功率を予測したり、副作用のリスクを評価したりするのに貢献します。これにより、研究期間の短縮および新薬の迅速な提供が期待されています。  例えば、AIを活用した創薬分野のスタートアップであるシンセティックゲシュタルトは、 大規模な化合物データを基にAIモデルを構築し、新薬候補を特定しています。特に、ウクライナのEnamine社のデータベースを活用し、従来よりも20倍以上のデータを使用してAIを訓練することで、予測精度を向上させま。さら。さらに、化合物の3次元構造データを考慮することで、化合物発見の可能性を大幅に向上させています。  疾病予測と予防 AIを用いて患者の健康データやライフスタイル情報を解析することで、将来の病気リスクを特定することが可能です。これにより、疾患の早期発見や発症前の予防が可能となります。  例えば、カナダのRetiSpecは、AI技術を使い、眼科検査でアルツハイマー病の早期発見を目指しています。網膜の画像を解析し、認知症の原因とされるアミロイドβの蓄積を予測することで、病気の初期段階での診断を可能にします。この技術により、アルツハイマー病の早期治療や生活の質向上が期待されています。  パーソナライズド・メディシン AIを活用したパーソナライズド・メディシンは、個々の患者の遺伝情報、生活習慣、医療データを分析し、最適な治療法を提供する医療アプローチです。これにより、従来の画一的な治療法に比べて、患者ごとにより効果的で副作用の少ない治療が実現します。AIは膨大なデータを迅速に解析し、個々のニーズに合った治療を提案することで、精度の高い医療をサポートします。  例えば、日立製作所は、ユタ大学およびレーゲンストリーフ研究所と共同で、複数の治療薬を要する2型糖尿病患者向けに、AIを活用した治療薬選択支援システムを開発しました。このシステムは、ユタ州およびインディアナ州の電子カルテデータを統合・分析し、患者の体重や検査値、治療薬などのデータを基に、過去に病態が類似する患者の治療パターンを学習しています。実際に2剤以上の併用治療において検証した結果、83%以上のケースで治療薬の選択を支援可能という結果が得られています。  医療画像解析 X線、CTスキャン、MRIなどの医療画像の解析にAIを用いることでがんや心疾患などの早期発見や診断精度を上させるのに役立ちます。AIは膨大な画像データを学習し、腫瘍や異常な組織を迅速かつ高精度で検出することができ、これにより医師の診断作業を効率化し、人的エラー(見落とし等)を減らすことが可能です。  例えば、エルピクセル株式会社は、胸部X線画像から肺がんが疑われる肺結節を検出するAI医用画像解析ソフト「EIRL Chest Nodule」を提供しています。このソフトは医師の診断支援により、見落とし防止に大きく寄与し、放射線科専門医で9.95%、非専門医で13.1%の感度向上が認められました。継続的な改良により、医療現場での活用が期待されています。  メンタルヘルスケア メンタルヘルスケアにおいて、AIは精神的な健康状態のモニタリングや予防に役立ちます。AIは、患者の言動や生体データを分析してストレスや不安、うつ病の兆候を早期に検知し、個別に適したサポートを提供します。  例えば、エストニアのソフトウェア企業であるShen.AIは、顔認識技術を活用して遠隔で健康状態をチェックできるシステムを提供しており、ラテンアメリカのヘルステック企業VivaWellと提携しています。この技術により、ユーザーはスマートフォンを使って心拍数や呼吸数などのバイタルサインを測定し、医療機関に行かずに自宅で健康状態をモニタリングできます。これにより、予防的なヘルスケアが手軽に実現され、特に医療アクセスが限られた地域での健康管理が向上します。  まとめ 膨大な医療データをAIで解析できるようになったことで、創薬や診断の効率化、個別化医療の実現を促進し、医療現場での診療エラーの低減や精度向上が期待されています。医療業界において、今後ますますAIの導入が促進されると予想されます。  本記事の読者の中で、AIの導入を検討されている企業様がいらっしゃいましたら、是非リッケイにお任せください!株式会社リッケイは、べトナムTop10のICT企業の日本法人であり、グループ全体で1800名以上のエンジニアを擁しています。また、AIに特化した関連子会社も有しており、ChatGPT搭載のロボットや生成AIを活用した人事向け履歴書分析ツールなどを開発しています。お客様のプロジェクトに最適なAI開発人材を迅速に用意可能ですので、お気軽にお問い合わせください。