August 15, 2024

ベトナムのデジタル経済の未来 – 日本にとっての高度IT人材供給源 –

ベトナムのデジタル経済を牽引するAI革命

Googleは、ベトナムのデジタル経済が2030年までに11倍に成長し、2,200億ドルに達すると予測しています。これは、ベトナムの現在のGDPのほぼ半分に相当します。 

国家イノベーションセンター(NIC)とGoogleが7月11日に開始した「ベトナムのAI未来の創造」プログラムで、Googleアジアパシフィックのベトナム担当CEOマーク・ウー氏は、東南アジアのデジタル経済が劇的に成長し、AIの力で2030年までに8,350億ドルに達すると述べています。 

Googleは、AIがベトナムの経済成長において重要な要素であると考えていますが、AI分野の人材不足や専門家の不足が課題となっています。これにより、市場の需要と人材の供給の間にギャップが生じています。 

特に、AIスタートアップ企業は、必要なインフラやツールへのアクセスが不足しており、製品開発や市場拡大に苦労しています。計画投資省のチャン・ズイ・ドン副大臣は、ベトナムが第4次産業革命の課題を克服するために、政府や首相に積極的に助言してきたと述べています。 

これに基づき、計画投資省は、以下のことを行うために省庁と調整しました。 

(i) 2030 年までの第 4 次産業革命に関する国家戦略を調査し、公布のために首相に提出する。  

(ii) エコシステム形成を促進するためのナショナル・イノベーション・センターの設立提案。  

(iii) 世界中の何千人ものベトナムの専門家や知識人とベトナムイノベーションネットワークを形成し、発展させる。  

(iv) 2030 年までに 50,000人の半導体技術者を育成することを目標とする「半導体産業人材育成プロジェクト」を策定し、内閣総理大臣に提出する。   

さらに、計画投資省とGoogleは、「ベトナムのAI未来の創造」プログラムを通じて、人材育成とビジネス創造の2つの柱に焦点を当てています。このプログラムでは、全国の80以上の大学の職員、講師、学生を含むベトナムの若い世代を対象に、最新のAIスキルを学ぶためのコースを提供し、4万人に奨学金を授与する予定です。 

ベトナムは引き続き日本にとってのIT人材供給源

上述したように、ベトナムは2030年までAIによってデジタル経済が大きく成長することが見込まれており、多くのAI人材の育成・輩出が期待されています。つまり、ベトナムは日本企業日本企業にとって引き続きIT人材の供給源となることでしょう。 

日本におけるベトナムオフショア企業の最新動向として、2024年7月7日にベトナムIT企業によって日越DX協会(VASX JAPAN)が発足しました。当社株式会社リッケイの代表取締役であるBui Quang Huy(ブイ・クワン・フイ)氏は、同協会の共同会長に就任しました。 

日越DX協会は、日越間の技術交流を促進し、両国のデジタルトランスフォーメーションの発展を促進することを目的として設立されました。また、先進技術ソリューションの協力と共有を推進し、情報技術および通信分野で活動する企業を結び付けるプラットフォームとして機能します。   

日越DX協会は、今後デジタルテクノロジー分野における両国間の協力と発展を促進する戦略的な架け橋となるとともに、デジタルトランスフォーメーションプロセスの加速と効率向上を図り、持続可能な経済社会の発展に貢献することを目指します。 加えて、高度ITエンジニアを育成し、日本に数万人の高品質なITエンジニア、ベトナムに数十万人の日本語が堪能なエンジニアのチームを構築することを掲げ、2030 年までに 789,000 人と推定される日本の人材不足を補うことに貢献することをことを目指しています。 

【関連記事】リッケイ、在日ベトナム企業と日越DX協会を設立し、共同会長に就任

まとめ

ベトナムは、AIを活用したデジタル経済の成長が期待される中、深刻なITリソース不足に陥っている日本企業にとって今後も重要IT人材供給源となることが考えられます。また、日越DX協会の設立により、日越間の技術交流が促進され、デジタルトランスフォーメーションの発展が期待されています。 

数多くあるベトナムオフショア企業の中で、当社リッケイは小売、物流、金融、製造など幅広い業種のお客様への豊富な支援実績がございます。クラウド、AI、IoT、ブロックチェーンなどの最先端技術に精通した1,800名以上のIT人材が在籍しており、お客様のニーズに合った人材を即座にアサインすることが可能です。「ITリソースが不足している」などのお悩みをお持ちの企業様はお気軽にお問い合わせください。 

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September 9, 2024

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September 9, 2024

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August 16, 2024

ベトナムのアプリ市場が急拡大!アプリ開発ならベトナムオフショア!

ベトナムのアプリ開発市場は、近年急速に成長しており、グローバルなITアウトソーシングのハブとして注目を集めています。本記事では、ベトナムのアプリ市場の最新動向やアプリをベトナムオフショアで開発するメリット・デメリットをご紹介します!  ベトナムのアプリ市場の最新動向 ベトナムのアプリケーション市場は急成長を遂げています。2023年には、ベトナムの開発者によるアプリが56億件以上ダウンロードされると予測されています。  これは、ベトナムが世界で最も急速に成長している市場の一つであることを示しています。2024年7月11日にハノイで開催された「ThinkApps 2024」イベントで、Googleのベトナム市場担当エグゼクティブディレクターであるMarc Woo氏は、ベトナムのアプリとゲーム開発業界が2年連続で世界トップ5に入っていることを強調しました。  特に、ベトナム製のゲームとアプリのダウンロード数は11億増加し、毎分10,700回のダウンロードが行われています。  一方で、ダウンロード数に対してアプリを通じた収益が伸び悩んでいるという課題があります。ベトナムはアプリ内購入による収益で世界第28位に位置していますが、収益は2億ドルにとどまっています。比較として、キプロスでは300のアプリ会社が1.4億ドルの収益を上げているのに対し、ベトナムでは1,500の企業で2億ドルしか収益をあげることができていません。  このため、特にゲームのアプリ開発者は高価値の体験設計に注力し、持続可能な収益源を生み出すことが求められています。  さらに、Googleによれば、ベトナムの開発業界はAI統合においても多くの課題に直面しています。AI専門家や質の高いトレーニングプログラムの不足、AI関連製品の試験や開発のためのインフラの欠如などが挙げられます。  Googleは、最新のAI技術とサポートプログラムを通じて、ベトナムの開発者が高品質のアプリケーションを構築し、グローバルにアクセスし、持続可能なビジネス成長を達成することを目指しています。  ベトナムオフショアでアプリ開発するメリット 開発コストが削減できる 日本国内での開発に比べて、人件費の低いベトナムのITリソースを活用することで、開発コストを大幅に削減することができます。ベトナムオフショアを活用することで、日本と同じスキルセットを有するベトナムのエンジニアを約1/2のコストで調達することが可能です。また、ベトナムのインフラやオフィススペースのコストも比較的安価であるため、総合的な運用費用を削減することができます。これにより、企業は限られた予算内で高品質なアプリを開発することができ、他の重要なビジネス活動に資金を再配分することが可能になります。  多様なスキルを持つIT人材が豊富 ベトナムは、若くて優秀なIT人材が豊富な国として知られています。毎年12万人の大学卒業生がIT関連の学位を取得し、特にプログラミングやソフトウェア開発、データサイエンスなどの分野で高いスキルを持つ人材が市場に供給されています。これにより、企業はプロジェクトのニーズに応じて多様なスキルセットを持つ人材を確保することができます。ベトナムのIT人材は、最新の技術トレンドにも敏感で、AI、ブロックチェーン、IoTなどの新しい技術にも対応可能です。このようなスキルの多様性は、複雑なアプリケーションの開発や革新的なソリューションの実現を可能にし、企業の競争力を高める要因となります。  IT産業を国家の重要産業と位置付けている ベトナム政府は、IT産業を国家の重要な成長分野と位置付け、IT大国を目指して積極的に政策を推進しています。政府は教育機関と連携してIT教育を強化し、2025年までに110万人のIT技術者を育成する目標を掲げています。 また、外国企業の投資を促進するための優遇措置やインフラ整備も進めており、IT産業の発展を支える環境が整っています。これにより、ベトナムは国際的なIT企業やスタートアップの拠点として注目を集めています。ベトナムオフショアを利用する日本企業にとっては、こうした国家的な取り組みが信頼性の高い開発環境を提供し、長期的なパートナーシップを築く上での安心材料となります。  日本と文化が近い ベトナムは親日国として知られており、日本と文化的に多くの共通点を持っています。勤勉さや礼儀正しさ、チームワークを重視する姿勢など、ビジネスにおいて重要な価値観が共有されているため、円滑な協力関係を築きやすいです。また、ベトナムでは日本語教育が盛んで、日本語を話せるIT人材も多く存在します。これにより、コミュニケーションの障壁が少なく、プロジェクトの進行がスムーズになります。さらに、時差が2時間と少ないため、リアルタイムでのやり取りが可能で、プロジェクト管理や緊急対応が迅速に行えます。これらの要素は、ベトナムをオフショア開発のパートナーとして選ぶ際の大きな利点となります。  ベトナム発の世界的なアプリも生まれている ベトナムは、革新的なアプリやゲームが世界的に成功を収める例が増えており、特に注目されています。その一例が、ブロックチェーンゲーム「Axie Infinity」です。このゲームは、ベトナムのスタートアップSky Mavisが開発し、デジタルペットを育成・対戦させるというユニークなコンセプトで、世界中のユーザーを魅了しています。Axie Infinityは、プレイヤーがゲーム内で得たアイテムを暗号資産として取引できる仕組みを持ち、ブロックチェーン技術を活用した新しいビジネスモデルを確立しています。この成功は、ベトナムの開発者が持つ技術力と創造力を示しており、ベトナムがグローバルなIT市場での存在感を高める要因となっています。日本企業にとって、ベトナムのようなイノベーションが生まれる環境で開発を行うことは、新しいアイデアや技術を取り入れたプロジェクトを実現する大きなメリットとなります。  ベトナムオフショアでアプリ開発するデメリット コミュニケーションの課題 言語や文化の違いにより、コミュニケーションがスムーズに進まないことがあります。特に、プロジェクトの細かなニュアンスや仕様変更を正確に伝えるのが難しい場合があり、期待通りの成果が得られないリスクがあります。適切なコミュニケーションを確保するためには、ブリッジSEの活用や日本語能力レベルの確認、定期的なミーティングが必要です。   品質管理の難しさ オフショア開発では、物理的な距離があるため、開発プロセスの進捗や品質を直接確認するのが難しいことがあります。これにより、納期遅延や品質のばらつきが生じるケースが考えられます、品質管理を徹底するためには、明確な基準設定や定期的なレビューが重要です。   データセキュリティの懸念 日本国内、オフショアに関わらず、パートナーにデータを提供する際には、データのプライバシーやセキュリティに関する懸念が生じます。適切なセキュリティ対策が講じられていない場合、データ漏洩や不正アクセスのリスクが高まります。セキュリティを確保するためには、契約時に厳格なセキュリティポリシーを設定し、定期的な監査を行うことが求められます。  アプリ開発はベトナムオフショアがおすすめ! ベトナムは、急成長するアプリ市場と豊富なIT人材で、ITアウトソーシング先として世界から注目されています。ベトナムオフショアを活用したアプリ開発は、コスト効率や多様なスキルを持つ人材の活用が可能で、文化的な共通点や時差の少なさも日本企業にとってメリットのある選択肢と言えます。一方で、オフショアのメリットを存分に享受するためにもコミュニケーション、品質管理、データセキュリティという課題への対策をしっかり行う必要があります。  本記事の読者の中で、ベトナムオフショアを活用したアプリ開発を検討している企業様がいらっしゃいましたら、リッケイにお任せください!  リッケイは、Android、iOS、クロスプラットフォームにおけるアプリ開発、高いセキュリティが求められる金融・証券系アプリ、ヘルスケアアプリなどの開発実績が豊富にございます。グループ全体で1,800名以上のエンジニアが在籍しており、お客様の要件に最適な人材を即座に提供可能です。詳細に関しましてはこちらお気軽にお問い合わせください。  

July 4, 2024

AI開発人材の確保ならベトナムオフショアがおすすめ

AI技術の進展とデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進により、企業は優秀なAI開発人材の確保が急務となっています。しかし、日本では少子高齢化による労働力不足や教育・研修体制の遅れ、人材獲得競争の激化などの課題から、国内でAI開発人材の確保が難しい状況です。そこでAI開発人材の外部調達が注目されています。本記事では、AI開発人材が求められる背景や社内育成と外部調達の比較、外部調達先としてのベトナムオフショアの魅力などについてご紹介します。  AI開発人材が求められる背景 AI技術の急速な進歩 AI技術は近年急速に進歩しており、特に機械学習やディープラーニングなどの分野で大きな成果が上がっています。これにより、AI技術を活用した新しいサービスや製品の開発が進んでいます。例えば、画像認識、自然言語処理、生成AIなどが多くの分野で実用化されています。企業が競争力を維持するためには、AI開発人材の確保が急務と言えます。  デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進 多くの企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)を進める中で、AI技術の導入が不可欠と考えています。AIを活用することで業務の効率化や新たなビジネスモデルの構築、顧客体験の創出が可能となります。  労働力不足 日本では少子高齢化に伴う労働力不足が深刻な問題となっています。AI技術を活用することで、労働力不足を補い、生産性を向上させることが期待されています。特に、単純作業の自動化やデータ分析の効率化などが挙げられます。  日本でAI開発人材の確保が難しい理由 教育・研修体制の遅れ AI技術は急速に進化しており、最新の知識やスキルを継続的に学び続けることが求められます。しかし、日本の教育機関や企業の体制はこのスピードに追いついていないのが現状です。AI技術を習得するためには、統計学や数学、プログラミングスキルなど高度な専門知識が必要であり、これを学ぶためには多大な時間と労力がかかります。  人材獲得競争の激化 AI技術は多くの産業で需要が高まっており、特に大企業や先進的なスタートアップが優秀な人材を争奪しています。このため、中小企業や新興企業が優秀なAI開発者を確保するのが難しくなっています。  海外への人材流出 優秀なAI開発者は、より高い報酬や研究環境を求めて海外に流出する傾向があります。特にアメリカや中国など、AI研究が盛んな国々が魅力的なオファーを提供しているため、日本国内に優秀な人材を留めるのが難しくなっています。 AI開発人材は社内育成すべき?それとも外部調達すべき? 社内育成のメリット 企業文化と業務理解の向上 社内で育成された人材は、企業の文化や業務プロセスに精通しているため、外部から採用する人材よりもスムーズにプロジェクトに適応できます。これにより、AI開発プロジェクトが企業の具体的なニーズや目標に沿った形で進行しやすくなります。 迅速な対応と柔軟性 社内のAIチームは、急な変更や新しい要件に対して迅速に対応できます。外部のパートナーに依存することなく、即座に対応策を講じることが可能です。社内チームは直接的なコミュニケーションが可能であり、フィードバックループが迅速に回るため、プロジェクトの進行がスムーズです。  知識とスキルの蓄積 社内で育成された人材は、プロジェクトを通じて得た知識やスキルを組織内に蓄積することができます。これにより、継続的なプロジェクトや新たな取り組みにおいてもその知識を活用することができます。  社内育成のデメリット 高コスト 社内育成には、設備投資、教育プログラムの設計・実施費用、継続的なスキルアップのための追加コストがかかります。これらのコストは一時的なものではなく、継続的な投資が必要です。これらの費用は特に中小企業にとっては大きな負担となる可能性があります。  最新の技術や知識をカバーできない 社内の教育プログラムだけでは、最新の技術動向や高度な専門知識を完全にカバーすることが難しい場合があります。特にAI分野は急速に進化しているため、外部の専門家や最新の研究成果にアクセスすることが求められることがあります。社内育成だけでは、これらの知識をタイムリーに取り入れることが難しくなる可能性があります。 引き抜きリスク 社内で育成した人材が他社に転職してしまうリスクがあります。せっかく時間とリソースをかけて育成した人材が流出すると、投資が無駄になり、再度新たな人材を育成する必要が生じます。特にAI開発人材は市場での需要が高いため、他社からの引き抜きリスクが常に存在します。  外部調達のメリット コスト効率 外部調達は、社内でAIチームを構築する場合に比べてコスト効率が高いです。特に、インフラやソフトウェアツールの初期投資が不要であり、外部パートナーが既に必要な技術とプラットフォームを持っているため、運用コストを削減できます。  専門知識と技術へのアクセス 外部調達により、AI開発の専門知識を持つグローバルな人材プールにアクセスできます。これにより、最新の技術やトレンドを活用することができ、内部チームでは得られない高度なスキルを持つ専門家と協力できます。  即戦力の確保 外部からAI開発人材を調達することで、即戦力となる専門家を迅速に確保できます。これにより、プロジェクトの立ち上げや進行がスムーズに行え、時間を節約できます。特に、急ぎのプロジェクトや高度な専門知識が必要な場合には大きな利点となります。 柔軟なリソース管理 外部調達により、プロジェクトのニーズに応じて人材を柔軟に増減することができます。これにより、リソースの無駄を減らし、コスト効率を高めることができます。特に、短期的なプロジェクトや特定のスキルセットが必要な場合には、外部調達が効果的です。  外部調達のデメリット データセキュリティの懸念 外部パートナーにデータを提供する際には、データのプライバシーやセキュリティに関する懸念が生じます。適切なセキュリティ対策が講じられていない場合、データ漏洩のリスクが高まります。  コミュニケーションの課題 言語や文化の違いにより、細かなニュアンスが伝わりにくいことがあります。コミュニケーションの質がプロジェクトの成功に直結するといっても過言ではないため、特にオフショア開発を利用する際は、事前にブリッジSEなどの日本語能力に問題がないか確認する必要があるでしょう。    コントロールの喪失 外部パートナーに依存することで、プロジェクトの進行や品質に対するコントロールが難しくなることがあります。特に、外部パートナーが企業のビジネスプロセスや文化を十分に理解していない場合、期待通りの成果が得られないことがあります。  AI開発人材の外部調達ならベトナムオフショア! 近年、ベトナムはオフショア開発先として最も注目されています。ベトナムオフショアはコストメリットだけでなく、ベトナムTopの理系大学であるハノイ工科大学がベトナム初の生成AIに特化したプログラムを開講するなど、優秀なAI開発人材の調達先として関心を集めています。ここでは、一般的なベトナムオフショアのメリットを紹介します。  コスト削減 ベトナムのAIエンジニアの人月単価は日本と比べて大幅に低く、ベトナムオフショアを利用することで、国内企業に依頼するよりも大幅にコストを削減することができます。国内企業に依頼すると、1人月150万円以上かかる場合がありますが、ベトナムのAIエンジニアだと半額程度に削減することができる場合もあります。  豊富な若手人材 ベトナムは若くて優秀なIT人材が豊富であり、政府もICT分野の人材育成に力を入れています。毎年57,000人ものIT技術者が育成されており、AIやデータサイエンスに関心を持つ若手が多いです。 地理的・文化的な親和性 ベトナムは親日国として知られており、時差も2時間と少なく、地理的に日本が一緒にビジネスをしやすい国の一つと言われています。また、勤勉な国民性という共通点もあり、文化的にも非常に協働しやすいです。  […]

June 5, 2024

ChatGPT-4oは何がすごい?アップデート内容をわかりやすく解説

5月13日にOpenAIは、ChatGPTの最新モデルであるGPT-4o(ジーピーティーフォーオムニ)を公開しました。GPT-4oでは、新機能が追加されただけでなく、性能も強化されました。マルチモーダル対応や応答速度の向上、多言語対応能力の強化など、大幅にアップデートされています。本記事では、GPT-4oの概要や具体的なアップデート内容、そしてビジネスシーンでの新たな活用方法について詳しく解説します。  ChatGPT最新モデルのGPT-4oとは? 最新モデル「GPT-4o(ジーピーティーフォーオムニ)」は、米OpenAI社によってリリースされた最新のAIチャットボットモデルです。  ChatGPTは、もともとは生成AI搭載のテキストベースのチャットボットとして開発されました。ところが、1つ前の「GPT-4」モデルでは、画像の読み込みや説明、画像の生成機能が追加されました。そして、今回の最新モデル「GPT-4o」では、なんと音声入力機能の追加が予定されています。  つまり、ChatGPTの最初のモデルでは、テキストで質問をしたらテキストで回答が出力される「テキスト→テキスト」から始まりましたが、それが「GPT-4o」では、「画像→文章」や「文章→画像」、「音声→文章」、「音声→画像」と、複数の形式のデータを同時に処理できるマルチモーダルなAIモデルへと進化しています。  これにより、これまで以上に幅広く、複雑で高度なタスクをAIが処理できるようになり、あらゆる分野において一層効率化が進むことが期待されます。  ChatGPT-4oのアップデート内容 返答スピードの向上 まず「GPT-4o」は、従来のモデルよりもさらに返答速度が向上しました。音声入力に限っては、最短で232ミリ秒、平均では320ミリ秒と人間同士の会話スピードと変わらず、スムーズなやりとりが実現されます。  英語以外の言語能力が向上 ChatGPTは、英語ベースのデータでトレーニングされているため、従来のモデルでは、どうしても英語以外の出力精度が高いとは言えませんでした。ところが、「GPT-4o」では、英語以外の言語、それも特に日本語における返答精度が大幅に向上しました。これは、「GPT-4o」モデルの訓練に英語以外の他言語データでも訓練されたからです。これにより、日本語を始めた非英語言語の理解および返答の精度が向上し、従来モデルの出力内容の違和感(ChatGPTらしさ)が軽減されました。  Google DriveやOneDriveからファイルがアップロード可能に! こちらは、有料ユーザー限定の新機能ですが、ユーザーはChatGPTをGoogle DriveやMicrosoft OneDriveと連携することで、保存されているファイルをアップロードできるようになりました。  従来のモデルでも、ファイルのアップロード機能や画像入力、資料のコピペによってドキュメントや表、グラフに関する質問やタスクをChatGPTに依頼することできました。一見すると大した機能ではないようにも思えますが、OneDriveやGoogle Driveから”直接”アップロードしたり、テキストや音声で”直接”ファイルやグラフを作成・修正したり、複雑なデータ分析ができたりするため、作業効率と精度が劇的に向上します。  音声による入力が可能に!(今後数週間でα版としてリリースされる予定) 音声入力は今回のアップデート内容の中でも最も注目すべき新機能と言えます。ユーザーは、これまでテキストベースでChatGPTとやり取りをしていましたが、GPT-4oモデルでは、有料ユーザー限定で音声によるやり取りが可能になりました。  OpenAI公式によると、音声モードは今後数週間でα版がリリースされる予定とのことです。  ChatGPTが音声を認識、処理することができるようになることで、多言語による会話や、議事録作成の完全自動化、文字起こしなど、今後対応できるタスクの幅が広がることは間違いないでしょう。  ChatGPT-4oの料金は? ここでは、高性能マルチモーダルチャットボットChatGPT-4oの気になる料金をご紹介します。  ChatGPT-4oは、なんと有料版「Plus」ユーザーだけでなく、「無料」ユーザーにも提供されています!ただし、使用できる機能やチャットできる回数に制限があります。  無料版では、質問できる回数が5時間ごとに10回となっています。有料版だと、3時間ごとに80回と質問できる回数が大幅に増加します。  また、無料版では、GPTs、画像生成機能、音声入力機能、One DriveおよびGoogle Driveとの連携機能が提供されていません。そのため、これらの機能を利用したい方は有料版「Plus」ユーザーへのアップデート(1か月あたり20米ドル )をお勧めします。  無料版と有料版の違いに関して以下の表にまとめましたので、そちらをご参照ください。 ChatGPT-4oのビジネスにおける新たな活用法 ChatGPTの従来のモデルでは、主に情報収集やブログ記事やSNS投稿などのコンテンツ生成、翻訳、画像生成が主な用途でした。ここでは、GPT-4oの新機能により、新たにビジネスで実現できるようになることをご紹介します。 会議の議事録作成の効率化・自動化 GPT-4oの音声入力機能により、会議の議事録作成が大幅に効率化することができます。GPT-4oを使えば、会議の音声を自動で文字起こしし、要点をまとめたレポートを生成できます。これにより、議事録作成の手間が省けるだけでなく、会議の内容を正確に記録することができるでしょう。  電話応対業務の効率化・自動化 GPT-4oの音声入力機能により、 電話応対業務の効率化も可能です。顧客からの問い合わせ内容を音声で入力し、GPT-4oに適切な回答を生成させることで、オペレーターの負担を軽減できます。さらに、音声認識と翻訳機能を組み合わせれば、多言語での問い合わせにも柔軟に対応できるようになります。 海外における売上機会の増加 これまで、日本企業が海外に製品やソリューションを提供したい場合、「言語」という障壁がありました。ところが、今回のGPT-4oに追加された音声入力・認識機能により、ほぼ同時通訳が可能となったため、母国語(日本語)を通じて外国企業に対してアプローチすることができるようになりました。これは、日本企業の海外進出および海外売り上げ増加に寄与するでしょう。  複雑なデータの処理 OneDriveやGoogle Driveとの接続により、複雑なファイルの処理が容易になりました。例えば、Excelの複数シートにわたるデータや、PDFの詳細な内容をそのまま解析できるようになります。これにより、データの一貫性を保ちつつ、複雑なデータセットを迅速かつ正確に処理できます。データの抽出、クレンジング、統合がシームレスに行えるため、プロジェクトの効率と精度が向上します。  グラフや表の作成および編集 OneDriveやGoogle Driveに保存されたデータを直接参照し、グラフや表を作成、編集することが可能になりました。これにより、データを手動で転記する必要がなくなり、プロンプトを通じてリアルタイムでのデータ更新や修正が簡単に行えます。ビジュアルなデータ分析が迅速に行え、プレゼンテーションやレポート作成の時間が大幅に短縮されます。 まとめ 今回の記事では、OpenAIの最新モデル「GPT-4o」の概要やアップデート内容、ビジネスにおける新たな活用方法についてご紹介しました。特に、音声入力機能が追加されたことにより、より一層生成AIの活用が促進され、業務効率が向上していくことでしょう。  本記事を通して、ビジネスにおける生成AIの導入や利活用に可能性を感じた方も多いのではないでしょうか。株式会社リッケイは、べトナムTop10のICT企業であり、1600名以上のITエンジニアが在籍しています。また、AIに特化した関連子会社も有しており、ChatGPTと連携したロボットや生成AIを活用した人事向け履歴書分析ツールなどを開発しています。生成AIの活用や導入に関するご相談はお気軽にお問い合わせください。  

April 4, 2024

【最新版】企業のAI活用事例5選 

ChatGPTの台頭により、企業におけるAI・生成AIの活用および投資が顕著に加速しています。そして、AIを導入した企業は、業務効率化やコスト削減、安全性の向上、ユーザー体験の向上などの恩恵を享受し始めています。本記事では、さまざまな業界における注目の最新AI活用事例を5つご紹介します。  AIを活用した森林調査 – 日立システムズ 日立システムズは、ドローンとAI解析ソフトウエアを駆使することで、森林調査の効率化に成功しています。従来、人の手による森林調査は19日もの日数を要していましたが、ドローンおよびAI技術の活用により、作業期間を4日程と8割短縮しました。  具体的には、ドローンでの写真測量とLiDAR測量により収集したデータをAIが解析し、樹種の識別や樹木の体積を推定します。同社は、宮城県牡鹿郡女川町の町有林での実証実験を実施したところ、森林内の樹種構成が以前とは異なることが明らかになり、それまでスギだと思われていた場所にヒノキやアカマツ、広葉樹が混在していることが判明しました。  この結果は、森林経営計画の見直しや詳細化に大いに貢献するだけでなく、森林調査の労力やコストを大幅に削減しながら、安全かつ迅速に行うことを可能にします。  森林の分析結果 (出所:日立システムズ) AIを活用した創薬 – シンセティックゲシュタルト シンセティックゲシュタルトは、AI創薬に取り組むスタートアップです。同社は大規模な化合物データベースを活用し、新薬開発に必要な低分子化合物を発見するためのAIモデルを開発しています。  具体的には、ウクライナのビルディングブロック化合物・スクリーニング用化合物・統合創薬サービスの世界的プロバイダーであるEnamine社が持つ化合物データベースを利用し、従来の方法と比較して20倍以上のデータ量でAIモデルを学習させることで、その性能を大幅に高めることに成功しました。  彼らのアプローチは、競合他社が主に利用している2次元のグラフ構造情報だけではなく、化合物の3次元構造データも考慮に入れることで、予測精度を向上させています。  初期段階では約4000万種類の化合物を学習に用いていましたが、将来的には約10億種類の化合物を選んで学習させる計画です。これにより、新薬候補となる化合物の発見可能性が高まります。  SyntheticGestaltは、新薬につながる化合物の発見に向けたAIモデルを手掛ける。(出所:SyntheticGestalt) 生成AIを活用した肌診断アプリ – ロレアル 世界最大級の化粧品会社であるロレアルは、「ビューティーテック」の分野でリーダーになることを掲げています。同社は、美容業界におけるAI活用の先駆者であり、世界最大のテクノロジー見本市「CES 2024」で生成AIとメタバース技術への投資を進めていることを明らかにしました。  同社は、これまでに蓄積した10ペタバイトの美容データを基に、生成AIを活用した美容アドバイスツール「BeautyGenius」を開発しました。BeautyGeniusの開発には、10種類以上の大規模言語モデルと15万点以上の画像データが活用されており、 ユーザーの肌の状態や美容に関する悩みを解決するための個別化されたアドバイスを提供することができます。  例えば、長時間のフライトで乾燥した肌にはアイクリームの使用を提案し、写真を通じた肌診断で具体的なスキンケアアドバイスも行います。また、特別な日のメークアップの相談にも応じ、メークの完成イメージや推奨化粧品を提案する能力を持っています。  このように、ロレアルは、美容とデジタルを融合し、新たな顧客体験を実現することで競争力を高めています。  ロレアル研究・技術担当副最高経営責任者のバーバラ・ラヴェルノス。(出所:Getty Images) 生成AIを活用したショッピング – ウォルマート 世界最大の小売企業として知られるウォルマートは、ラスベガスで開催されたCESカンファレンスで、ユーザーが欲しい商品を素早く検索し、頻繁に注文する商品の再注文プロセスを自動化する2つの生成AI搭載ツールを発表しました。  生成AI検索ツールは、マイクロソフトのAIモデルとウォルマートの買い物客データを組み合わせることで開発され、買い物客がブランド名や品目ではなく特定のユースケースを使用して商品を検索できるようにします。  例えば、友人複数人とフットボールの試合観戦をするために買い出しをするとき、これまではコーラ、ポテトチップス、タオル、ユニフォームなど商品名を個別で検索する必要がありました。一方で、ウォルマートが発表した検索ツールでは、「友人とフットボールの試合観戦」と入力することで、試合観戦に必要な厳選された商品リストを受け取ることができるようになりました。  同社は、カンファレンスの中で、「Walmart InHome Replenishment」と呼ばれる別のAIツールを開発中であると発表しました。このツールは、サブスクリプションベースのInHome配達サービスを利用する買い物客が、よく注文する商品をオンラインショッピングカートに素早く補充できるようにサポートします。  このように、ウォルマートは、ショッピングツールにAIを導入することで、ユーザーのショッピングに要する時間を削減することで、ユーザー体験を向上しています。  ウォルマート、Microsoftとの連携で生成AI活用 (出所:ledge.ai) AIを活用した踏切滞留監視システム – 南海電気鉄道 南海電気鉄道株式会社は、2024年3月11日に、AIを用いた踏切異常検知システムの導入試験を開始すると発表しました。このシステムは、踏切内に滞留している「人」を検知することで、安全・安定輸送の維持及び踏切の安全性向上を目指します。  南海電気鉄道株式会社がAIを用いた踏切異常検知システムの導入試験を始める背景には、踏切事故を未然に防ぐことによる安全対策の必要性があります。踏切は線路と道路が交差する場所であり、人が渡りきれずに列車と接触する危険性があります。  踏切事故が発生すると、列車の運休や遅延が発生し、他の多くの利用者にも影響を及ぼします。2022年度における列車の運休や遅延(30分以上)の件数を見ると、踏切事故が約30%(11件/36件)を占めており、これは大きな割合です。  今回試験導入を開始する新たな踏切異常検知システムは、遮断棒が下りた後に、AIによる画像処理によって人の滞留を検知すると、特殊信号発光機を動作させて運転士に迅速に異常を知らせます。   さらに、既に設置されている監視カメラを使用するため、容易かつ安価に導入できる点が特徴です。南海電気鉄道株式会社は、導入試験の結果を踏まえ、2024年度以降の本格導入を目指しています。  (出所:南海電気鉄道株式会社) まとめ 本記事では、様々な業界における最新のAI活用動向をご紹介しました。企業は、AIおよび生成AIを導入することで、従来のプロセスを効率化したり、安全性を向上させたり、ユーザー体験を向上させたりしています。AIの活用方法は企業によってさまざまであり、今後も次から次へと新たな活用法が生まれてくることでしょう。このAI時代において競争力を維持し、高めていくためにも、企業は既存のビジネスにどのようにAIを適用できるかを検討する必要があります。   株式会社リッケイは、1,000件以上のプロジェクトを通じ、日本のお客様からの信頼を積み重ねるオフショア開発企業です。グループ全体で1500名以上のエンジニアを擁し、 AIに特化した関連会社Rikkei AIも有しており、多数のAI/生成AI開発実績があります。日本の企業様向けにAIコンサルティングからAI開発、AI導入支援まで提供可能です。「AIをビジネスプロセスにどのように取り入れることができるのか相談したい」など、お気軽にお問い合わせください。