July 4, 2024

ベトナムの暗号資産市場が急成長!最新動向やブロックチェーン開発事例

ベトナムの暗号資産市場への流入額は、ベトナムへの海外直接投資(FDI)額の5倍にも相当し、近年急速に成長を遂げています。ベトナムの人口の20%が暗号資産を所有しているというデータもあり、暗号資産の所有者数では世界2位です。 

一方で、ベトナムでは暗号資産に関する法整備が間に合っておらず、法的枠組みの構築が急務となっています。また、暗号資産市場の成長に伴い、関連技術であるブロックチェーン技術の開発人材も多く輩出されており、ベトナムオフショアによるブロックチェーン技術の導入が注目されています。 

本記事では、ベトナム暗号資産市場の現状、課題、ベトナムのブロックチェーン開発力などをご紹介します。 

ベトナム暗号資産市場の最新動向

仮想通貨投資利益は世界3位

米国のブロックチェーン分析企業チェイナリシス(Chainalysis)が発表した暗号通貨投資利益国別ランキングによると、ベトナムは11.8億ドルの利益を上げ、世界で第3位にランクインしています。これは、1位の米国(93.6億ドル)、2位の英国(13.9億ドル)に次ぐ結果であり、ベトナムの暗号資産市場の急成長を示しています。 

暗号通貨所有人口は世界2位

暗号資産所有データを提供するトリプルA(Triple-A)によると、ベトナムの人口の約21.2%にあたる2000万人が暗号資産を所有しており、所有者数で世界2位となっています。これは、UAEに次ぐ順位であり、3位の米国(15.6%)を上回っています。このデータは、ベトナムにおける暗号資産の普及率の高さを物語っています。 

暗号通貨投資家は若年層が大半を占める

Coin98 Insightsが2023年12月に実施した調査によれば、ベトナムの仮想通貨所有者の47%が26~36歳のグループで、38%が18~25歳のグループに属しています。低額から投資できるという特性が、幅広い所得層に受け入れられている要因と考えられます。この若年層の投資家が市場を牽引していることが、ベトナムの暗号資産市場のダイナミズムを象徴しています。 

暗号資産市場への流入額は海外直接投資の5倍

チェイナリシス(Chainalysis)の統計データによると、2022年8月から2023年7月までの1年間におけるベトナムへの暗号資産の流入額は前年比20%増の1200億USD(約18兆7000億円)に達しました。この金額は、同期間におけるベトナムへの海外直接投資(FDI)認可額の5倍にも相当し、ベトナムの暗号資産市場の規模と成長速度を強調しています。 

DeFiの普及

ベトナムの仮想通貨市場の特徴の一つとして、分散型金融(DeFi)の普及率の高さが挙げられます。調査によれば、回答者の約9割がDeFiを使用しており、そのうち51.7%が分散型取引所(DEX)を利用しています。 

ベトナム暗号資産市場の課題

法的枠組みの不足

ベトナム中央銀行は、暗号通貨を合法的な支払い手段として認めておらず、違反した場合には高額の罰金が科されてしまいます。このため、暗号資産に関する明確で包括的な法的ガイドラインが不足しており、投資家はリスクにさらされています。さらに、法的枠組みの欠如は国の税収にも影響を及ぼす可能性があります。ベトナム政府は2017年に仮想資産の管理と取り締まりに関する法的枠組みの整備を目指すプロジェクトを承認しましたが、具体的な規制や管理方法はまだ確立されていません。 

詐欺行為とセキュリティリスク

ベトナム国内では、ICO(イニシャル・コイン・オファリング)活動に関連する詐欺やハッキングが問題となっています。市場の透明性が不足しているため、詐欺や不正行為が横行しやすい環境となっており、多くの投資家が被害を受けています。暗号資産市場の急成長に伴い、セキュリティリスクも増大しており、投資家は自らの資産を守るために高度なセキュリティ対策を講じる必要があります。 

このように、ベトナムの暗号資産市場は多くの可能性を秘めていますが、法的枠組みの整備と市場の透明性向上が急務です。 

ベトナムはブロックチェーン活用事例も豊富!

ブロックチェーンとは?

ブロックチェーンとは、BTCをはじめとした暗号資産の基盤であり、デジタル情報を分散型ネットワーク上で安全かつ透明に管理するための技術です。特徴として、分散型管理による信頼性と耐障害性、全トランザクション(取引の詳細情報)の公開による透明性、一度記録されたデータの改ざんが困難な不変性、暗号技術による高いセキュリティが挙げられ、金融、サプライチェーン、医療など多岐にわたる分野での応用が進んでいます。

そして、暗号資産市場が急速に成長しているベトナムでも、当然ブロックチェーン技術の活用が進んでいます。 

金融業界

金融業界では、ブロックチェーン技術が特に注目されています。ベトナムの銀行や金融機関は、ブロックチェーンを利用して国際送金の効率化、透明性の向上、コスト削減を図っています。例えば、HSBCはベトナムで初めてブロックチェーンを利用した信用状取引を実施しました。また、Nam Á Bankはブロックチェーン技術を利用して、送金、貿易金融、顧客ロイヤルティプログラムの改善を試みています。 

エンターテインメント業界

ベトナムでは、ブロックチェーン技術を基盤としたNFTゲームが注目を集めています。例えば、Axie Infinityは世界的にも人気のあるベトナム発のゲームですが、プレイヤーがゲーム内で稼ぐことができる仕組みを提供しており、ブロックチェーンゲームの成功事例となっています。 

公共サービス

公共サービス分野でもブロックチェーン技術の導入が進んでいます。例えば、学位証明書の管理や政府のデジタル化プロジェクトにブロックチェーンが利用されています。これにより、データの改ざん防止や透明性の向上が図られています。 

ブロックチェーン開発ならベトナムオフショアがおすすめ!

ベトナムの暗号資産市場は急成長を遂げ、世界でトップクラスの投資利益と所有者数を誇ります。しかし、法的枠組みの不足やセキュリティリスクが課題です。一方で、ベトナム国内では、ブロックチェーン技術を活用したプロジェクトが多数あり、その技術力は世界レベルと言っても過言ではありません。 

ブロックチェーンの活用や導入を検討している企業様は、ぜひベトナムオフショア企業のリッケイにお任せください。当社は、ブロックチェーンを含め、最先端テクノロジーに精通したエンジニアが1500名以上在籍しており、お客様のニーズに合わせて、開発リソースを迅速にご用意可能です。また、当社には、DeFi、GameFi、NFT、暗号資産ウォレットなど、豊富なブロックチェーン開発実績がございますので、開発体制や実績の詳細など、お気軽にお問い合わせください。  

More From ブログ

August 16, 2024

ベトナムのアプリ市場が急拡大!アプリ開発ならベトナムオフショア!

ベトナムのアプリ開発市場は、近年急速に成長しており、グローバルなITアウトソーシングのハブとして注目を集めています。本記事では、ベトナムのアプリ市場の最新動向やアプリをベトナムオフショアで開発するメリット・デメリットをご紹介します!  ベトナムのアプリ市場の最新動向 ベトナムのアプリケーション市場は急成長を遂げています。2023年には、ベトナムの開発者によるアプリが56億件以上ダウンロードされると予測されています。  これは、ベトナムが世界で最も急速に成長している市場の一つであることを示しています。2024年7月11日にハノイで開催された「ThinkApps 2024」イベントで、Googleのベトナム市場担当エグゼクティブディレクターであるMarc Woo氏は、ベトナムのアプリとゲーム開発業界が2年連続で世界トップ5に入っていることを強調しました。  特に、ベトナム製のゲームとアプリのダウンロード数は11億増加し、毎分10,700回のダウンロードが行われています。  一方で、ダウンロード数に対してアプリを通じた収益が伸び悩んでいるという課題があります。ベトナムはアプリ内購入による収益で世界第28位に位置していますが、収益は2億ドルにとどまっています。比較として、キプロスでは300のアプリ会社が1.4億ドルの収益を上げているのに対し、ベトナムでは1,500の企業で2億ドルしか収益をあげることができていません。  このため、特にゲームのアプリ開発者は高価値の体験設計に注力し、持続可能な収益源を生み出すことが求められています。  さらに、Googleによれば、ベトナムの開発業界はAI統合においても多くの課題に直面しています。AI専門家や質の高いトレーニングプログラムの不足、AI関連製品の試験や開発のためのインフラの欠如などが挙げられます。  Googleは、最新のAI技術とサポートプログラムを通じて、ベトナムの開発者が高品質のアプリケーションを構築し、グローバルにアクセスし、持続可能なビジネス成長を達成することを目指しています。  ベトナムオフショアでアプリ開発するメリット 開発コストが削減できる 日本国内での開発に比べて、人件費の低いベトナムのITリソースを活用することで、開発コストを大幅に削減することができます。ベトナムオフショアを活用することで、日本と同じスキルセットを有するベトナムのエンジニアを約1/2のコストで調達することが可能です。また、ベトナムのインフラやオフィススペースのコストも比較的安価であるため、総合的な運用費用を削減することができます。これにより、企業は限られた予算内で高品質なアプリを開発することができ、他の重要なビジネス活動に資金を再配分することが可能になります。  多様なスキルを持つIT人材が豊富 ベトナムは、若くて優秀なIT人材が豊富な国として知られています。毎年12万人の大学卒業生がIT関連の学位を取得し、特にプログラミングやソフトウェア開発、データサイエンスなどの分野で高いスキルを持つ人材が市場に供給されています。これにより、企業はプロジェクトのニーズに応じて多様なスキルセットを持つ人材を確保することができます。ベトナムのIT人材は、最新の技術トレンドにも敏感で、AI、ブロックチェーン、IoTなどの新しい技術にも対応可能です。このようなスキルの多様性は、複雑なアプリケーションの開発や革新的なソリューションの実現を可能にし、企業の競争力を高める要因となります。  IT産業を国家の重要産業と位置付けている ベトナム政府は、IT産業を国家の重要な成長分野と位置付け、IT大国を目指して積極的に政策を推進しています。政府は教育機関と連携してIT教育を強化し、2025年までに110万人のIT技術者を育成する目標を掲げています。 また、外国企業の投資を促進するための優遇措置やインフラ整備も進めており、IT産業の発展を支える環境が整っています。これにより、ベトナムは国際的なIT企業やスタートアップの拠点として注目を集めています。ベトナムオフショアを利用する日本企業にとっては、こうした国家的な取り組みが信頼性の高い開発環境を提供し、長期的なパートナーシップを築く上での安心材料となります。  日本と文化が近い ベトナムは親日国として知られており、日本と文化的に多くの共通点を持っています。勤勉さや礼儀正しさ、チームワークを重視する姿勢など、ビジネスにおいて重要な価値観が共有されているため、円滑な協力関係を築きやすいです。また、ベトナムでは日本語教育が盛んで、日本語を話せるIT人材も多く存在します。これにより、コミュニケーションの障壁が少なく、プロジェクトの進行がスムーズになります。さらに、時差が2時間と少ないため、リアルタイムでのやり取りが可能で、プロジェクト管理や緊急対応が迅速に行えます。これらの要素は、ベトナムをオフショア開発のパートナーとして選ぶ際の大きな利点となります。  ベトナム発の世界的なアプリも生まれている ベトナムは、革新的なアプリやゲームが世界的に成功を収める例が増えており、特に注目されています。その一例が、ブロックチェーンゲーム「Axie Infinity」です。このゲームは、ベトナムのスタートアップSky Mavisが開発し、デジタルペットを育成・対戦させるというユニークなコンセプトで、世界中のユーザーを魅了しています。Axie Infinityは、プレイヤーがゲーム内で得たアイテムを暗号資産として取引できる仕組みを持ち、ブロックチェーン技術を活用した新しいビジネスモデルを確立しています。この成功は、ベトナムの開発者が持つ技術力と創造力を示しており、ベトナムがグローバルなIT市場での存在感を高める要因となっています。日本企業にとって、ベトナムのようなイノベーションが生まれる環境で開発を行うことは、新しいアイデアや技術を取り入れたプロジェクトを実現する大きなメリットとなります。  ベトナムオフショアでアプリ開発するデメリット コミュニケーションの課題 言語や文化の違いにより、コミュニケーションがスムーズに進まないことがあります。特に、プロジェクトの細かなニュアンスや仕様変更を正確に伝えるのが難しい場合があり、期待通りの成果が得られないリスクがあります。適切なコミュニケーションを確保するためには、ブリッジSEの活用や日本語能力レベルの確認、定期的なミーティングが必要です。   品質管理の難しさ オフショア開発では、物理的な距離があるため、開発プロセスの進捗や品質を直接確認するのが難しいことがあります。これにより、納期遅延や品質のばらつきが生じるケースが考えられます、品質管理を徹底するためには、明確な基準設定や定期的なレビューが重要です。   データセキュリティの懸念 日本国内、オフショアに関わらず、パートナーにデータを提供する際には、データのプライバシーやセキュリティに関する懸念が生じます。適切なセキュリティ対策が講じられていない場合、データ漏洩や不正アクセスのリスクが高まります。セキュリティを確保するためには、契約時に厳格なセキュリティポリシーを設定し、定期的な監査を行うことが求められます。  アプリ開発はベトナムオフショアがおすすめ! ベトナムは、急成長するアプリ市場と豊富なIT人材で、ITアウトソーシング先として世界から注目されています。ベトナムオフショアを活用したアプリ開発は、コスト効率や多様なスキルを持つ人材の活用が可能で、文化的な共通点や時差の少なさも日本企業にとってメリットのある選択肢と言えます。一方で、オフショアのメリットを存分に享受するためにもコミュニケーション、品質管理、データセキュリティという課題への対策をしっかり行う必要があります。  本記事の読者の中で、ベトナムオフショアを活用したアプリ開発を検討している企業様がいらっしゃいましたら、リッケイにお任せください!  リッケイは、Android、iOS、クロスプラットフォームにおけるアプリ開発、高いセキュリティが求められる金融・証券系アプリ、ヘルスケアアプリなどの開発実績が豊富にございます。グループ全体で1,800名以上のエンジニアが在籍しており、お客様の要件に最適な人材を即座に提供可能です。詳細に関しましてはこちらお気軽にお問い合わせください。  

August 15, 2024

ベトナムのデジタル経済の未来 – 日本にとっての高度IT人材供給源 –

ベトナムのデジタル経済を牽引するAI革命 Googleは、ベトナムのデジタル経済が2030年までに11倍に成長し、2,200億ドルに達すると予測しています。これは、ベトナムの現在のGDPのほぼ半分に相当します。  国家イノベーションセンター(NIC)とGoogleが7月11日に開始した「ベトナムのAI未来の創造」プログラムで、Googleアジアパシフィックのベトナム担当CEOマーク・ウー氏は、東南アジアのデジタル経済が劇的に成長し、AIの力で2030年までに8,350億ドルに達すると述べています。  Googleは、AIがベトナムの経済成長において重要な要素であると考えていますが、AI分野の人材不足や専門家の不足が課題となっています。これにより、市場の需要と人材の供給の間にギャップが生じています。  特に、AIスタートアップ企業は、必要なインフラやツールへのアクセスが不足しており、製品開発や市場拡大に苦労しています。計画投資省のチャン・ズイ・ドン副大臣は、ベトナムが第4次産業革命の課題を克服するために、政府や首相に積極的に助言してきたと述べています。  これに基づき、計画投資省は、以下のことを行うために省庁と調整しました。  (i) 2030 年までの第 4 次産業革命に関する国家戦略を調査し、公布のために首相に提出する。   (ii) エコシステム形成を促進するためのナショナル・イノベーション・センターの設立提案。   (iii) 世界中の何千人ものベトナムの専門家や知識人とベトナムイノベーションネットワークを形成し、発展させる。   (iv) 2030 年までに 50,000人の半導体技術者を育成することを目標とする「半導体産業人材育成プロジェクト」を策定し、内閣総理大臣に提出する。    さらに、計画投資省とGoogleは、「ベトナムのAI未来の創造」プログラムを通じて、人材育成とビジネス創造の2つの柱に焦点を当てています。このプログラムでは、全国の80以上の大学の職員、講師、学生を含むベトナムの若い世代を対象に、最新のAIスキルを学ぶためのコースを提供し、4万人に奨学金を授与する予定です。  ベトナムは引き続き日本にとってのIT人材供給源 上述したように、ベトナムは2030年までAIによってデジタル経済が大きく成長することが見込まれており、多くのAI人材の育成・輩出が期待されています。つまり、ベトナムは日本企業日本企業にとって引き続きIT人材の供給源となることでしょう。  日本におけるベトナムオフショア企業の最新動向として、2024年7月7日にベトナムIT企業によって日越DX協会(VASX JAPAN)が発足しました。当社株式会社リッケイの代表取締役であるBui Quang Huy(ブイ・クワン・フイ)氏は、同協会の共同会長に就任しました。  日越DX協会は、日越間の技術交流を促進し、両国のデジタルトランスフォーメーションの発展を促進することを目的として設立されました。また、先進技術ソリューションの協力と共有を推進し、情報技術および通信分野で活動する企業を結び付けるプラットフォームとして機能します。    日越DX協会は、今後デジタルテクノロジー分野における両国間の協力と発展を促進する戦略的な架け橋となるとともに、デジタルトランスフォーメーションプロセスの加速と効率向上を図り、持続可能な経済社会の発展に貢献することを目指します。 加えて、高度ITエンジニアを育成し、日本に数万人の高品質なITエンジニア、ベトナムに数十万人の日本語が堪能なエンジニアのチームを構築することを掲げ、2030 年までに 789,000 人と推定される日本の人材不足を補うことに貢献することをことを目指しています。  【関連記事】リッケイ、在日ベトナム企業と日越DX協会を設立し、共同会長に就任 まとめ ベトナムは、AIを活用したデジタル経済の成長が期待される中、深刻なITリソース不足に陥っている日本企業にとって今後も重要IT人材供給源となることが考えられます。また、日越DX協会の設立により、日越間の技術交流が促進され、デジタルトランスフォーメーションの発展が期待されています。  数多くあるベトナムオフショア企業の中で、当社リッケイは小売、物流、金融、製造など幅広い業種のお客様への豊富な支援実績がございます。クラウド、AI、IoT、ブロックチェーンなどの最先端技術に精通した1,800名以上のIT人材が在籍しており、お客様のニーズに合った人材を即座にアサインすることが可能です。「ITリソースが不足している」などのお悩みをお持ちの企業様はお気軽にお問い合わせください。 

July 4, 2024

AI開発人材の確保ならベトナムオフショアがおすすめ

AI技術の進展とデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進により、企業は優秀なAI開発人材の確保が急務となっています。しかし、日本では少子高齢化による労働力不足や教育・研修体制の遅れ、人材獲得競争の激化などの課題から、国内でAI開発人材の確保が難しい状況です。そこでAI開発人材の外部調達が注目されています。本記事では、AI開発人材が求められる背景や社内育成と外部調達の比較、外部調達先としてのベトナムオフショアの魅力などについてご紹介します。  AI開発人材が求められる背景 AI技術の急速な進歩 AI技術は近年急速に進歩しており、特に機械学習やディープラーニングなどの分野で大きな成果が上がっています。これにより、AI技術を活用した新しいサービスや製品の開発が進んでいます。例えば、画像認識、自然言語処理、生成AIなどが多くの分野で実用化されています。企業が競争力を維持するためには、AI開発人材の確保が急務と言えます。  デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進 多くの企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)を進める中で、AI技術の導入が不可欠と考えています。AIを活用することで業務の効率化や新たなビジネスモデルの構築、顧客体験の創出が可能となります。  労働力不足 日本では少子高齢化に伴う労働力不足が深刻な問題となっています。AI技術を活用することで、労働力不足を補い、生産性を向上させることが期待されています。特に、単純作業の自動化やデータ分析の効率化などが挙げられます。  日本でAI開発人材の確保が難しい理由 教育・研修体制の遅れ AI技術は急速に進化しており、最新の知識やスキルを継続的に学び続けることが求められます。しかし、日本の教育機関や企業の体制はこのスピードに追いついていないのが現状です。AI技術を習得するためには、統計学や数学、プログラミングスキルなど高度な専門知識が必要であり、これを学ぶためには多大な時間と労力がかかります。  人材獲得競争の激化 AI技術は多くの産業で需要が高まっており、特に大企業や先進的なスタートアップが優秀な人材を争奪しています。このため、中小企業や新興企業が優秀なAI開発者を確保するのが難しくなっています。  海外への人材流出 優秀なAI開発者は、より高い報酬や研究環境を求めて海外に流出する傾向があります。特にアメリカや中国など、AI研究が盛んな国々が魅力的なオファーを提供しているため、日本国内に優秀な人材を留めるのが難しくなっています。 AI開発人材は社内育成すべき?それとも外部調達すべき? 社内育成のメリット 企業文化と業務理解の向上 社内で育成された人材は、企業の文化や業務プロセスに精通しているため、外部から採用する人材よりもスムーズにプロジェクトに適応できます。これにより、AI開発プロジェクトが企業の具体的なニーズや目標に沿った形で進行しやすくなります。 迅速な対応と柔軟性 社内のAIチームは、急な変更や新しい要件に対して迅速に対応できます。外部のパートナーに依存することなく、即座に対応策を講じることが可能です。社内チームは直接的なコミュニケーションが可能であり、フィードバックループが迅速に回るため、プロジェクトの進行がスムーズです。  知識とスキルの蓄積 社内で育成された人材は、プロジェクトを通じて得た知識やスキルを組織内に蓄積することができます。これにより、継続的なプロジェクトや新たな取り組みにおいてもその知識を活用することができます。  社内育成のデメリット 高コスト 社内育成には、設備投資、教育プログラムの設計・実施費用、継続的なスキルアップのための追加コストがかかります。これらのコストは一時的なものではなく、継続的な投資が必要です。これらの費用は特に中小企業にとっては大きな負担となる可能性があります。  最新の技術や知識をカバーできない 社内の教育プログラムだけでは、最新の技術動向や高度な専門知識を完全にカバーすることが難しい場合があります。特にAI分野は急速に進化しているため、外部の専門家や最新の研究成果にアクセスすることが求められることがあります。社内育成だけでは、これらの知識をタイムリーに取り入れることが難しくなる可能性があります。 引き抜きリスク 社内で育成した人材が他社に転職してしまうリスクがあります。せっかく時間とリソースをかけて育成した人材が流出すると、投資が無駄になり、再度新たな人材を育成する必要が生じます。特にAI開発人材は市場での需要が高いため、他社からの引き抜きリスクが常に存在します。  外部調達のメリット コスト効率 外部調達は、社内でAIチームを構築する場合に比べてコスト効率が高いです。特に、インフラやソフトウェアツールの初期投資が不要であり、外部パートナーが既に必要な技術とプラットフォームを持っているため、運用コストを削減できます。  専門知識と技術へのアクセス 外部調達により、AI開発の専門知識を持つグローバルな人材プールにアクセスできます。これにより、最新の技術やトレンドを活用することができ、内部チームでは得られない高度なスキルを持つ専門家と協力できます。  即戦力の確保 外部からAI開発人材を調達することで、即戦力となる専門家を迅速に確保できます。これにより、プロジェクトの立ち上げや進行がスムーズに行え、時間を節約できます。特に、急ぎのプロジェクトや高度な専門知識が必要な場合には大きな利点となります。 柔軟なリソース管理 外部調達により、プロジェクトのニーズに応じて人材を柔軟に増減することができます。これにより、リソースの無駄を減らし、コスト効率を高めることができます。特に、短期的なプロジェクトや特定のスキルセットが必要な場合には、外部調達が効果的です。  外部調達のデメリット データセキュリティの懸念 外部パートナーにデータを提供する際には、データのプライバシーやセキュリティに関する懸念が生じます。適切なセキュリティ対策が講じられていない場合、データ漏洩のリスクが高まります。  コミュニケーションの課題 言語や文化の違いにより、細かなニュアンスが伝わりにくいことがあります。コミュニケーションの質がプロジェクトの成功に直結するといっても過言ではないため、特にオフショア開発を利用する際は、事前にブリッジSEなどの日本語能力に問題がないか確認する必要があるでしょう。    コントロールの喪失 外部パートナーに依存することで、プロジェクトの進行や品質に対するコントロールが難しくなることがあります。特に、外部パートナーが企業のビジネスプロセスや文化を十分に理解していない場合、期待通りの成果が得られないことがあります。  AI開発人材の外部調達ならベトナムオフショア! 近年、ベトナムはオフショア開発先として最も注目されています。ベトナムオフショアはコストメリットだけでなく、ベトナムTopの理系大学であるハノイ工科大学がベトナム初の生成AIに特化したプログラムを開講するなど、優秀なAI開発人材の調達先として関心を集めています。ここでは、一般的なベトナムオフショアのメリットを紹介します。  コスト削減 ベトナムのAIエンジニアの人月単価は日本と比べて大幅に低く、ベトナムオフショアを利用することで、国内企業に依頼するよりも大幅にコストを削減することができます。国内企業に依頼すると、1人月150万円以上かかる場合がありますが、ベトナムのAIエンジニアだと半額程度に削減することができる場合もあります。  豊富な若手人材 ベトナムは若くて優秀なIT人材が豊富であり、政府もICT分野の人材育成に力を入れています。毎年57,000人ものIT技術者が育成されており、AIやデータサイエンスに関心を持つ若手が多いです。 地理的・文化的な親和性 ベトナムは親日国として知られており、時差も2時間と少なく、地理的に日本が一緒にビジネスをしやすい国の一つと言われています。また、勤勉な国民性という共通点もあり、文化的にも非常に協働しやすいです。  […]

June 5, 2024

グリーンAIとは?持続可能な社会をAIで実現 

気候変動や資源枯渇といった環境問題は、企業活動や私たちの生活に大きな影響を及ぼします。そこで、AI技術およびIoT技術の発達に伴い、AIを活用して持続的な社会を実現する「グリーンAI」という取り組みが注目されるようになりました。本記事では、グリーンAIの概要や注目される背景、メリット・デメリット、具体的な事例についてご紹介します。  グリーンAIとは? グリーンAIとは、AIを活用して環境問題を解決し、持続可能な社会を実現する取り組みのことです。  現在、世界中が2050年のカーボンニュートラルな社会の実現に向けて、さまざまな取り組みを実施しています。  それと同時に、AI技術およびIoT技術が急速に発達しており、上手く活用することで持続的かつ循環型社会の実現を効率よく進めていけることが期待されています。  グリーンAIが注目される背景 グリーンAIが注目される背景は、持続可能な社会の実現と環境問題の解決に大きく貢献できるからです。気候変動や資源枯渇といった環境問題は、企業活動に直接的な影響を及ぼします。グリーンAIを活用することで、エネルギー消費の最適化、廃棄物の削減、資源の効率的利用が可能となり、環境負荷を軽減できます。  また、持続可能なビジネスモデルの構築は、企業の社会的責任(CSR)を果たし、顧客や投資家からの信頼を高めることに繋がります。さらに、環境保護に対する取り組みは、規制対応や市場競争力の向上を図る上でも重要です。したがって、企業はグリーンAIを導入し、環境問題への取り組みを強化することで、持続可能な社会の実現に寄与すると同時に、自社の持続可能な成長を促進できるわけです。  グリーンAIのメリット エネルギー効率の向上 グリーンAIの導入により、企業はAIシステムのエネルギー消費を最適化できます。高効率なアルゴリズムとハードウェアを活用することで、電力消費を削減し、運用コストの低減と環境負荷の軽減が実現します。また、IoT機器からデータを取り込むことで無駄なエネルギー消費を特定し、エネルギーの効率的な使用を実現します。  環境負荷の軽減 AI技術を活用して廃棄物管理や資源のリサイクルプロセスを改善することで、企業は環境に対する負荷を大幅に削減できます。例えば、AIを用いたスマートグリッドやエネルギーマネジメントシステムは、再生可能エネルギーの効果的な利用を促進します。  社会的責任(CSR)の向上 グリーンAIへの取り組みは、企業の社会的責任(CSR)を果たす一環として重要です。環境保護に積極的に貢献する姿勢は、消費者や投資家からの信頼を高め、ブランド価値の向上にも寄与します。また、持続可能な社会の実現に貢献することで、企業の社会的評価も向上します。  新たなビジネスチャンスの創出 環境問題の解決に向けた技術革新は、新たな市場機会を創出します。グリーンAI技術を駆使して、エコフレンドリーな製品やサービスを開発することで、企業は新たな顧客層を開拓し、競争力を強化できます。持続可能なビジネスモデルは、長期的な成長と安定収益をもたらします。  グリーンAIのデメリット 高初期投資コスト グリーンAIの導入には、初期投資が高額になることが多いです。エネルギー効率の高いハードウェアの購入や設計、データセンターの設置や運用にかかるエネルギー、最適化されたアルゴリズムの開発には多くの投資が必要です。これが中小企業にとっては特に大きな負担となり、導入の障壁になる可能性があります。  技術的な複雑さと専門知識の必要性 グリーンAIを効果的に活用するには、高度な技術的専門知識が必要です。エネルギー効率の高いAIモデルの開発や運用には、特定のスキルセットを持った人材が必要であり、これらの人材を確保することが難しい場合があります。また、既存のシステムとの統合も複雑であり、実装には時間とリソースを要します。  効果の測定と評価の難しさ グリーンAIの取り組みの効果を正確に測定し評価することは容易ではありません。エネルギー消費の削減や環境負荷の軽減の具体的な数値を把握し、経営に反映させるためには、適切な評価指標とデータ収集手段が必要です。しかし、これらのデータを収集し分析するための仕組みが整っていない企業にとっては、効果を正確に評価することが難しく、取り組みの継続性に影響を与える可能性があります。  プライバシー侵害のリスク グリーンAIの取り組みには、データ収集と分析が不可欠であり、その過程でプライバシー侵害のリスクが生じます。例えば、エネルギー消費の最適化やスマートグリッドの運用には、個々の消費者や企業の詳細なエネルギー使用データが必要です。これらのデータは、誤用や不正アクセスにより、個人や企業のプライバシーが侵害される可能性があります。企業はこれらのリスクを認識し、適切なデータ保護対策を講じることが重要です。  各業界におけるグリーンAIの活用方法 エネルギー業界 エネルギー供給の需要予測が不正確だと、エネルギーの無駄が発生しますが、AIを活用することで、需要予測の精度が向上し、エネルギー消費の効率化が図られます。これにより、企業はコストを削減し、社会全体のエネルギー効率が向上し、環境負荷が軽減されます。  製造業 AIを活用することで、生産ラインの稼働をリアルタイムで監視することができ、エネルギーや資源を最適化できます。これにより、企業は生産効率を高め、生産過程で生じる廃棄物を削減し、環境への影響を最小限に抑えることができます。  農業 農業において、作物の病害虫管理や水資源の効率的な利用は重要であり、収穫量に大きな影響を及ぼします。企業は、AIを活用することで、精密農業が可能となり、資源の無駄を最小限に抑えつつ収穫量を最大化できるでしょう。これにより、企業は収益を増加させ、社会に安定した食糧供給を提供することが可能になります。  物流業 物流業では、AIを活用することで、最適な配送ルートを計算し、効率的な物流を実現することで、燃料の無駄遣いや排出ガスの排出を抑えることが可能です。これにより、企業は運送コストを削減し、配送の迅速化を図り、環境への排出ガスを削減できます。  まとめ グリーンAIは、AI技術を駆使して持続可能な社会を目指す取り組みです。エネルギー効率の向上、環境負荷の軽減、CSRの向上、新たなビジネスチャンスの創出など、多くのメリットがあります。一方で、高初期投資コストや技術的な複雑さと専門知識の必要性などのデメリットも存在します。各業界における具体的な活用方法を通じて、企業は環境問題への取り組みを強化し、持続可能な成長を促進できます。  株式会社リッケイは、べトナムTop10のICT企業であり、1600名以上のITエンジニアが在籍しています。また、AIに特化した関連子会社も有しており、ChatGPTと連携したロボットや生成AIを活用した人事向け履歴書分析ツールなどを開発しています。生成AIの活用や導入に関するご相談はお気軽にお問い合わせください。  

June 5, 2024

ChatGPT-4oは何がすごい?アップデート内容をわかりやすく解説

5月13日にOpenAIは、ChatGPTの最新モデルであるGPT-4o(ジーピーティーフォーオムニ)を公開しました。GPT-4oでは、新機能が追加されただけでなく、性能も強化されました。マルチモーダル対応や応答速度の向上、多言語対応能力の強化など、大幅にアップデートされています。本記事では、GPT-4oの概要や具体的なアップデート内容、そしてビジネスシーンでの新たな活用方法について詳しく解説します。  ChatGPT最新モデルのGPT-4oとは? 最新モデル「GPT-4o(ジーピーティーフォーオムニ)」は、米OpenAI社によってリリースされた最新のAIチャットボットモデルです。  ChatGPTは、もともとは生成AI搭載のテキストベースのチャットボットとして開発されました。ところが、1つ前の「GPT-4」モデルでは、画像の読み込みや説明、画像の生成機能が追加されました。そして、今回の最新モデル「GPT-4o」では、なんと音声入力機能の追加が予定されています。  つまり、ChatGPTの最初のモデルでは、テキストで質問をしたらテキストで回答が出力される「テキスト→テキスト」から始まりましたが、それが「GPT-4o」では、「画像→文章」や「文章→画像」、「音声→文章」、「音声→画像」と、複数の形式のデータを同時に処理できるマルチモーダルなAIモデルへと進化しています。  これにより、これまで以上に幅広く、複雑で高度なタスクをAIが処理できるようになり、あらゆる分野において一層効率化が進むことが期待されます。  ChatGPT-4oのアップデート内容 返答スピードの向上 まず「GPT-4o」は、従来のモデルよりもさらに返答速度が向上しました。音声入力に限っては、最短で232ミリ秒、平均では320ミリ秒と人間同士の会話スピードと変わらず、スムーズなやりとりが実現されます。  英語以外の言語能力が向上 ChatGPTは、英語ベースのデータでトレーニングされているため、従来のモデルでは、どうしても英語以外の出力精度が高いとは言えませんでした。ところが、「GPT-4o」では、英語以外の言語、それも特に日本語における返答精度が大幅に向上しました。これは、「GPT-4o」モデルの訓練に英語以外の他言語データでも訓練されたからです。これにより、日本語を始めた非英語言語の理解および返答の精度が向上し、従来モデルの出力内容の違和感(ChatGPTらしさ)が軽減されました。  Google DriveやOneDriveからファイルがアップロード可能に! こちらは、有料ユーザー限定の新機能ですが、ユーザーはChatGPTをGoogle DriveやMicrosoft OneDriveと連携することで、保存されているファイルをアップロードできるようになりました。  従来のモデルでも、ファイルのアップロード機能や画像入力、資料のコピペによってドキュメントや表、グラフに関する質問やタスクをChatGPTに依頼することできました。一見すると大した機能ではないようにも思えますが、OneDriveやGoogle Driveから”直接”アップロードしたり、テキストや音声で”直接”ファイルやグラフを作成・修正したり、複雑なデータ分析ができたりするため、作業効率と精度が劇的に向上します。  音声による入力が可能に!(今後数週間でα版としてリリースされる予定) 音声入力は今回のアップデート内容の中でも最も注目すべき新機能と言えます。ユーザーは、これまでテキストベースでChatGPTとやり取りをしていましたが、GPT-4oモデルでは、有料ユーザー限定で音声によるやり取りが可能になりました。  OpenAI公式によると、音声モードは今後数週間でα版がリリースされる予定とのことです。  ChatGPTが音声を認識、処理することができるようになることで、多言語による会話や、議事録作成の完全自動化、文字起こしなど、今後対応できるタスクの幅が広がることは間違いないでしょう。  ChatGPT-4oの料金は? ここでは、高性能マルチモーダルチャットボットChatGPT-4oの気になる料金をご紹介します。  ChatGPT-4oは、なんと有料版「Plus」ユーザーだけでなく、「無料」ユーザーにも提供されています!ただし、使用できる機能やチャットできる回数に制限があります。  無料版では、質問できる回数が5時間ごとに10回となっています。有料版だと、3時間ごとに80回と質問できる回数が大幅に増加します。  また、無料版では、GPTs、画像生成機能、音声入力機能、One DriveおよびGoogle Driveとの連携機能が提供されていません。そのため、これらの機能を利用したい方は有料版「Plus」ユーザーへのアップデート(1か月あたり20米ドル )をお勧めします。  無料版と有料版の違いに関して以下の表にまとめましたので、そちらをご参照ください。 ChatGPT-4oのビジネスにおける新たな活用法 ChatGPTの従来のモデルでは、主に情報収集やブログ記事やSNS投稿などのコンテンツ生成、翻訳、画像生成が主な用途でした。ここでは、GPT-4oの新機能により、新たにビジネスで実現できるようになることをご紹介します。 会議の議事録作成の効率化・自動化 GPT-4oの音声入力機能により、会議の議事録作成が大幅に効率化することができます。GPT-4oを使えば、会議の音声を自動で文字起こしし、要点をまとめたレポートを生成できます。これにより、議事録作成の手間が省けるだけでなく、会議の内容を正確に記録することができるでしょう。  電話応対業務の効率化・自動化 GPT-4oの音声入力機能により、 電話応対業務の効率化も可能です。顧客からの問い合わせ内容を音声で入力し、GPT-4oに適切な回答を生成させることで、オペレーターの負担を軽減できます。さらに、音声認識と翻訳機能を組み合わせれば、多言語での問い合わせにも柔軟に対応できるようになります。 海外における売上機会の増加 これまで、日本企業が海外に製品やソリューションを提供したい場合、「言語」という障壁がありました。ところが、今回のGPT-4oに追加された音声入力・認識機能により、ほぼ同時通訳が可能となったため、母国語(日本語)を通じて外国企業に対してアプローチすることができるようになりました。これは、日本企業の海外進出および海外売り上げ増加に寄与するでしょう。  複雑なデータの処理 OneDriveやGoogle Driveとの接続により、複雑なファイルの処理が容易になりました。例えば、Excelの複数シートにわたるデータや、PDFの詳細な内容をそのまま解析できるようになります。これにより、データの一貫性を保ちつつ、複雑なデータセットを迅速かつ正確に処理できます。データの抽出、クレンジング、統合がシームレスに行えるため、プロジェクトの効率と精度が向上します。  グラフや表の作成および編集 OneDriveやGoogle Driveに保存されたデータを直接参照し、グラフや表を作成、編集することが可能になりました。これにより、データを手動で転記する必要がなくなり、プロンプトを通じてリアルタイムでのデータ更新や修正が簡単に行えます。ビジュアルなデータ分析が迅速に行え、プレゼンテーションやレポート作成の時間が大幅に短縮されます。 まとめ 今回の記事では、OpenAIの最新モデル「GPT-4o」の概要やアップデート内容、ビジネスにおける新たな活用方法についてご紹介しました。特に、音声入力機能が追加されたことにより、より一層生成AIの活用が促進され、業務効率が向上していくことでしょう。  本記事を通して、ビジネスにおける生成AIの導入や利活用に可能性を感じた方も多いのではないでしょうか。株式会社リッケイは、べトナムTop10のICT企業であり、1600名以上のITエンジニアが在籍しています。また、AIに特化した関連子会社も有しており、ChatGPTと連携したロボットや生成AIを活用した人事向け履歴書分析ツールなどを開発しています。生成AIの活用や導入に関するご相談はお気軽にお問い合わせください。  

May 9, 2024

デジタルツインとは?メリットやメタバースとの違いを解説

デジタルツインとは、実世界の物体やシステムを仮想空間上で「双子のように」正確に複製したデジタルモデルです。近年、製造業や都市計画、ヘルスケアなど幅広い分野で応用されており、効率向上、問題の早期発見、予測メンテナンス、コスト削減などの効果が期待されています。本記事では、デジタルツインのメリットやメタバースとの違い、各分野における活用事例などをご紹介します。  デジタルツインとは? デジタルツインとは、実世界の物体やシステムをデジタル上で、まるで「双子(Twin)」のように正確に複製したデジタルモデルのことです。  デジタルツインは、物理的な対象物の性能を効率よくシミュレーションをしたり、IoT機器やAIを用いて問題の事前予測および迅速な特定をしたりするのに役立ちます。  現在は、主に製造業や都市計画、ヘルスケアなどの分野で応用されており、 Fortune Business Insightsによると、世界のデジタルツイン市場規模は、2024年から2032年において年間平均成長率39.8%で成長し、177億3,000万ドルから2,593億2,000万ドルに達すると予測されており、急速に成長している分野です。  デジタルツインとメタバースの違い メタバースとは? メタバースとは、インターネット上に存在する仮想現実の世界のことで、ユーザーは主にアバターを通じて活動します。ユーザーは、メタバース上でゲーム、会話、会議、ショッピングなど多岐にわたる体験が可能で、それらの体験はあくまでデジタル上で完結します。 メタバースとデジタルツインの違い メタバースとデジタルツインはどちらも仮想世界の技術ですが、目的と機能に明確な違いがあります。メタバースは、ユーザーがアバターを通じて様々なインタラクティブな体験を楽しむための拡張現実のプラットフォームです。これに対し、デジタルツインは、実際の物体やシステムをデジタル上で正確に模倣し、そのデータを分析したり、シミュレーションをしたり、問題を事前に予測したり特定したりすることを目的とした技術です。メタバースは主に社会的・娯楽的な用途に使われるのに対して、デジタルツインは産業や研究での応用が中心という点で大きく異なります デジタルツインを活用するメリット 実世界の物体を低コストで拡張できる デジタルツインを導入することのメリットとして、低コストと高い拡張性があげられます。例えば、大規模な工場を全て物理的に建設しようとしたら、多くのコストと時間がかかります。また、工場が完成してから想定外の設計ミスが判明した場合、立て直しのコストと時間がかかります。 一方で、工場の一部を物理的に建設した後に、そのデジタルツインを構築し、工場の残りの部分もデジタル上で拡張し、入念にシミュレーションした後に、物理的な工場の残りの部分を増設することができれば、コストと時間を節約することができます。  市場投入までの期間を短縮できる デジタルツインは、設計・製造プロセスに革命をもたらし、新商品の開発から市場投入までの期間を短縮します。通常、新製品を開発したい場合、「物理的な試作品を製作し、テストし、フィードバックを設計に反映し、次の試作品を製作する」というプロセスを繰り返します。  一方で、デジタルツインを活用することで、物理的な試作品と全く同じものをデジタル上で構築することができます。デジタル上であれば、「テスト・フィードバック・改善」のプロセスを高速化することができるため、試作品を製作する回数を減らすことができ、結果として新製品を従来よりも早く市場に投入することが可能になります。  予知保全と迅速な問題特定 デジタルツインは、IoT機器を通じて、物理的な資産から継続的にデータを収集し、予測分析と機械学習を適用することで、潜在的な障害や故障を予測し、タイムリーに管理者に知らせることができます。これにより、潜在的な問題がエスカレートする前に特定して対処し、ダウンタイムを最小限に抑えることができます。 各業界におけるデジタルツイン活用方法 製造業 製造業はデジタルツインと最も相性が良い業界の一つです。物理的な工場を実際に建設することは、多くの時間とコストがかかります。一方で、小さな工場を建設した後に、デジタルツインを用いることで、デジタル上で工場を拡張したり、シミュレーションしたりすることが可能です。また、製品開発においても、パートナーとデジタル上の設備を用いることで、設計、テスト工程を効率化し、リードタイムを短縮することができ、コストも同時に削減することができます。  さらに、IoT機器によるリアルタイムデータ収集により、企業は問題を事前に予測したり、故障がおきた際に、迅速に問題を特定したりすることができ、ダウンタイムを最小限に抑えることが可能になります。  ヘルスケア ヘルスケアでは、詳細な解剖学的・生理学的データとバイタルサインを統合することで、患者の人体をデジタル上に複製することが可能です。これは、リアルタイムの健康モニタリングと患者ごとに最適化された個別化医療を実現します。  また、人体のデジタルツインを構築することで、実際の患者に実施する前に、リスクの高い手術や医療療法、薬剤の投与をデジタル上でシミュレーションすることができます、これにより、手術や治療の安全性を事前に確認し、医療事故を減らすことができるだけなく、患者の手術や治療への心配や不安を軽減することにもつながります。  石油・ガス、エネルギー 石油・ガス産業におけるデジタルツインの応用は、掘削プロセスや運用の最適化、故障予測を効率的に行うために活用されています。これにより、生産性の向上、コスト削減、環境負荷の軽減が可能となります。また、リアルタイムでの資産管理や緊急時の対応が強化され、より安全で持続可能な運用が実現されます。  エネルギー産業においては、デジタルツインを導入することで、再生可能エネルギーの配置やパフォーマンスの最大化、電力グリッドの管理、エネルギー貯蔵と配分の改善を実現します。さらに、エネルギー消費分析や安全プロトコルの強化にも貢献し、持続可能な解決策を提供します。  まとめ 本記事では、実世界の物体やシステムを仮想空間上で正確に複製することによるさまざまなメリットをご紹介しました。効率的に製品開発、シミュレーションを進めることができ、リードタイムを短縮することができるだけでなく、開発コストを削減したり、予知保全や迅速な問題特定を可能にしたりします。  現在、デジタルツインは製造業、ヘルスケア、エネルギー、都市計画などの分野で活用が進んでいます。今後は IoT、クラウド、AI、5G、AR・VRなどの技術の進展により、さらに多岐にわたる分野での応用が期待されます。  「デジタルツインについてもっと詳しく知りたい」、「デジタルツインを導入したいがITリソースが足りていない、開発コストを削減したい」などのニーズをお持ちの企業様はリッケイにお任せください。日本における豊富な開発実績および1500名以上のITリソースをもって、お客様のIT課題を解決します。お気軽にお問い合わせください。