オフショア開発
15/08/2024
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ベトナムのデジタル経済の未来 – 日本にとっての高度IT人材供給源 –
ベトナムのデジタル経済を牽引するAI革命 Googleは、ベトナムのデジタル経済が2030年までに11倍に成長し、2,200億ドルに達すると予測しています。これは、ベトナムの現在のGDPのほぼ半分に相当します。 国家イノベーションセンター(NIC)とGoogleが7月11日に開始した「ベトナムのAI未来の創造」プログラムで、Googleアジアパシフィックのベトナム担当CEOマーク・ウー氏は、東南アジアのデジタル経済が劇的に成長し、AIの力で2030年までに8,350億ドルに達すると述べています。 Googleは、AIがベトナムの経済成長において重要な要素であると考えていますが、AI分野の人材不足や専門家の不足が課題となっています。これにより、市場の需要と人材の供給の間にギャップが生じています。 特に、AIスタートアップ企業は、必要なインフラやツールへのアクセスが不足しており、製品開発や市場拡大に苦労しています。計画投資省のチャン・ズイ・ドン副大臣は、ベトナムが第4次産業革命の課題を克服するために、政府や首相に積極的に助言してきたと述べています。 これに基づき、計画投資省は、以下のことを行うために省庁と調整しました。 (i) 2030 年までの第 4 次産業革命に関する国家戦略を調査し、公布のために首相に提出する。 (ii) エコシステム形成を促進するためのナショナル・イノベーション・センターの設立提案。 (iii) 世界中の何千人ものベトナムの専門家や知識人とベトナムイノベーションネットワークを形成し、発展させる。 (iv) 2030 年までに 50,000人の半導体技術者を育成することを目標とする「半導体産業人材育成プロジェクト」を策定し、内閣総理大臣に提出する。 さらに、計画投資省とGoogleは、「ベトナムのAI未来の創造」プログラムを通じて、人材育成とビジネス創造の2つの柱に焦点を当てています。このプログラムでは、全国の80以上の大学の職員、講師、学生を含むベトナムの若い世代を対象に、最新のAIスキルを学ぶためのコースを提供し、4万人に奨学金を授与する予定です。 ベトナムは引き続き日本にとってのIT人材供給源 上述したように、ベトナムは2030年までAIによってデジタル経済が大きく成長することが見込まれており、多くのAI人材の育成・輩出が期待されています。つまり、ベトナムは日本企業日本企業にとって引き続きIT人材の供給源となることでしょう。 日本におけるベトナムオフショア企業の最新動向として、2024年7月7日にベトナムIT企業によって日越DX協会(VASX JAPAN)が発足しました。当社株式会社リッケイの代表取締役であるBui Quang Huy(ブイ・クワン・フイ)氏は、同協会の共同会長に就任しました。 日越DX協会は、日越間の技術交流を促進し、両国のデジタルトランスフォーメーションの発展を促進することを目的として設立されました。また、先進技術ソリューションの協力と共有を推進し、情報技術および通信分野で活動する企業を結び付けるプラットフォームとして機能します。 日越DX協会は、今後デジタルテクノロジー分野における両国間の協力と発展を促進する戦略的な架け橋となるとともに、デジタルトランスフォーメーションプロセスの加速と効率向上を図り、持続可能な経済社会の発展に貢献することを目指します。 加えて、高度ITエンジニアを育成し、日本に数万人の高品質なITエンジニア、ベトナムに数十万人の日本語が堪能なエンジニアのチームを構築することを掲げ、2030 年までに 789,000 人と推定される日本の人材不足を補うことに貢献することをことを目指しています。 【関連記事】リッケイ、在日ベトナム企業と日越DX協会を設立し、共同会長に就任 まとめ ベトナムは、AIを活用したデジタル経済の成長が期待される中、深刻なITリソース不足に陥っている日本企業にとって今後も重要IT人材供給源となることが考えられます。また、日越DX協会の設立により、日越間の技術交流が促進され、デジタルトランスフォーメーションの発展が期待されています。 数多くあるベトナムオフショア企業の中で、当社リッケイは小売、物流、金融、製造など幅広い業種のお客様への豊富な支援実績がございます。クラウド、AI、IoT、ブロックチェーンなどの最先端技術に精通した1,800名以上のIT人材が在籍しており、お客様のニーズに合った人材を即座にアサインすることが可能です。「ITリソースが不足している」などのお悩みをお持ちの企業様はお気軽にお問い合わせください。
07/08/2024
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リッケイ、ベトナム IT Day2024に参加!日本におけるオフショア開発の積極展開で表彰
リッケイは、8月6日(火)、ベトナムソフトウエア&ITサービス協会(VINASA)、日本情報サービス産業協会(JISA)、情報サービス産業協会(VJC)によって開催された【ベトナム IT Day 2024】に参加しました。 ベトナム IT Day 2024は、「ベトナム – 日本における持続可能なデジタル経済発展 を支える包括的なITパートナー」 というテーマのもと、両国のIT企業連携強化と、より新たなビジネスチャンス創出を目的として開催されました。 イベントは、ベトナム情報通信大臣グエン・マイン・フン氏のご臨席のもと、基調講演、パネルディスカッション、ビジネスマッチング、展示会など、多彩なプログラムを用意され、レガシー モダナイゼーション、デジタルトランスフォーメーション、AI、製造業とESG、人材育成など、幅広い テーマでのディスカッションが行われました。 イベントの中で、リッケイはベトナム情報通信省大臣 のNguyen Manh Hung 氏より、日本市場においてベトナムのITソリューションおよびリソースの積極的な展開に対して表彰状が贈られました。 リッケイ取締役副社長 Nguyen Quang Ky(写真右から2番目)が表彰状を受け取りました また、リッケイのシステム開発事業部 部長であるNguyen Anh Hungは「AI、レガシーモダナイゼーションとDX」というテーマのパネルディスカッションに登壇し、リッケイのAIに関する開発実績を紹介しました。 リッケイシステム開発事業部 部長 Nguyen Anh Hung(写真左から2番目)のスピーチの様子 さらに、ご来場者からは、「深刻な開発人材不足」という課題や「AIによる自動化」「AWSによるインフラの構築」などのニーズが多く寄せられました。これらの課題やニーズに対して、当社の過去の成功事例と経験を基に当社の豊富な人材リソースやコスト効率の高いソリューションを提案させていただきました。 リッケイのブースの様子 今回の来場者の方からのご質問やご相談内容の一部をご紹介します。 クラウド開発の専門人材のリソース不足にお悩みをお持ちの企業のご担当者様からご相談やご質問を頂きました。 「貴社のクラウドシステム開発サービスの強みは?」 当社のクラウドシステム開発サービスは、ビジネスニーズに即した最適なクラウドソリューションを網羅的に提供いたします。迅速な対応力を活かし、導入から運用までトータルにサポートし、クライアントのクラウド活用を最大限に引き出します。 1. コンサルティング:ニーズ分析、アーキテクチャ設計、コスト最適化 2. クラウド移行:オンプレミスや異なるクラウド間の移行支援 3. インフラ構築:サーバー、ネットワーク、ストレージの設計・構築 4. アプリケーション開発:マイクロサービス、コンテナ化、サーバーレス対応 5. 運用サポート:モニタリング、セキュリティ管理、バックアップ対応 「貴社のAWSの対応力と開発実績を教えてください。」 当社は、AWSの「Select Consulting Partner」であり、68以上のAWS認定資格と47名以上のAWS認定エンジニアを有しおります。製造業、ロジスティクス、運輸業、オートモーティブ、小売業、メディア&エンターテイメント、金融業、ヘルスケアなど、幅広い業種においてAWSの導入を支援した実績がございます。 具体的には、日本の大手スーパーマーケットチェーンの複雑性が高く、コストと労力がかかるマルチクラウドアーキテクチャをAWSに移行しクラウド運用の簡素化を実現しました。これにより、クライアントの年間保守費を100万円以上削減するのに貢献しました。 ビジネスマッチングの様子 リッケイは、引き続き日本のお客様にコストパフォーマンスに優れた高品質なベトナムオフショア開発を提供して参ります。 この度は、ご多忙の中、弊社ブースにお立ち寄りいただき誠にありがとうございました。
04/07/2024
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AI開発人材の確保ならベトナムオフショアがおすすめ
AI技術の進展とデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進により、企業は優秀なAI開発人材の確保が急務となっています。しかし、日本では少子高齢化による労働力不足や教育・研修体制の遅れ、人材獲得競争の激化などの課題から、国内でAI開発人材の確保が難しい状況です。そこでAI開発人材の外部調達が注目されています。本記事では、AI開発人材が求められる背景や社内育成と外部調達の比較、外部調達先としてのベトナムオフショアの魅力などについてご紹介します。 AI開発人材が求められる背景 AI技術の急速な進歩 AI技術は近年急速に進歩しており、特に機械学習やディープラーニングなどの分野で大きな成果が上がっています。これにより、AI技術を活用した新しいサービスや製品の開発が進んでいます。例えば、画像認識、自然言語処理、生成AIなどが多くの分野で実用化されています。企業が競争力を維持するためには、AI開発人材の確保が急務と言えます。 デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進 多くの企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)を進める中で、AI技術の導入が不可欠と考えています。AIを活用することで業務の効率化や新たなビジネスモデルの構築、顧客体験の創出が可能となります。 労働力不足 日本では少子高齢化に伴う労働力不足が深刻な問題となっています。AI技術を活用することで、労働力不足を補い、生産性を向上させることが期待されています。特に、単純作業の自動化やデータ分析の効率化などが挙げられます。 日本でAI開発人材の確保が難しい理由 教育・研修体制の遅れ AI技術は急速に進化しており、最新の知識やスキルを継続的に学び続けることが求められます。しかし、日本の教育機関や企業の体制はこのスピードに追いついていないのが現状です。AI技術を習得するためには、統計学や数学、プログラミングスキルなど高度な専門知識が必要であり、これを学ぶためには多大な時間と労力がかかります。 人材獲得競争の激化 AI技術は多くの産業で需要が高まっており、特に大企業や先進的なスタートアップが優秀な人材を争奪しています。このため、中小企業や新興企業が優秀なAI開発者を確保するのが難しくなっています。 海外への人材流出 優秀なAI開発者は、より高い報酬や研究環境を求めて海外に流出する傾向があります。特にアメリカや中国など、AI研究が盛んな国々が魅力的なオファーを提供しているため、日本国内に優秀な人材を留めるのが難しくなっています。 AI開発人材は社内育成すべき?それとも外部調達すべき? 社内育成のメリット 企業文化と業務理解の向上 社内で育成された人材は、企業の文化や業務プロセスに精通しているため、外部から採用する人材よりもスムーズにプロジェクトに適応できます。これにより、AI開発プロジェクトが企業の具体的なニーズや目標に沿った形で進行しやすくなります。 迅速な対応と柔軟性 社内のAIチームは、急な変更や新しい要件に対して迅速に対応できます。外部のパートナーに依存することなく、即座に対応策を講じることが可能です。社内チームは直接的なコミュニケーションが可能であり、フィードバックループが迅速に回るため、プロジェクトの進行がスムーズです。 知識とスキルの蓄積 社内で育成された人材は、プロジェクトを通じて得た知識やスキルを組織内に蓄積することができます。これにより、継続的なプロジェクトや新たな取り組みにおいてもその知識を活用することができます。 社内育成のデメリット 高コスト 社内育成には、設備投資、教育プログラムの設計・実施費用、継続的なスキルアップのための追加コストがかかります。これらのコストは一時的なものではなく、継続的な投資が必要です。これらの費用は特に中小企業にとっては大きな負担となる可能性があります。 最新の技術や知識をカバーできない 社内の教育プログラムだけでは、最新の技術動向や高度な専門知識を完全にカバーすることが難しい場合があります。特にAI分野は急速に進化しているため、外部の専門家や最新の研究成果にアクセスすることが求められることがあります。社内育成だけでは、これらの知識をタイムリーに取り入れることが難しくなる可能性があります。 引き抜きリスク 社内で育成した人材が他社に転職してしまうリスクがあります。せっかく時間とリソースをかけて育成した人材が流出すると、投資が無駄になり、再度新たな人材を育成する必要が生じます。特にAI開発人材は市場での需要が高いため、他社からの引き抜きリスクが常に存在します。 外部調達のメリット コスト効率 外部調達は、社内でAIチームを構築する場合に比べてコスト効率が高いです。特に、インフラやソフトウェアツールの初期投資が不要であり、外部パートナーが既に必要な技術とプラットフォームを持っているため、運用コストを削減できます。 専門知識と技術へのアクセス 外部調達により、AI開発の専門知識を持つグローバルな人材プールにアクセスできます。これにより、最新の技術やトレンドを活用することができ、内部チームでは得られない高度なスキルを持つ専門家と協力できます。 即戦力の確保 外部からAI開発人材を調達することで、即戦力となる専門家を迅速に確保できます。これにより、プロジェクトの立ち上げや進行がスムーズに行え、時間を節約できます。特に、急ぎのプロジェクトや高度な専門知識が必要な場合には大きな利点となります。 柔軟なリソース管理 外部調達により、プロジェクトのニーズに応じて人材を柔軟に増減することができます。これにより、リソースの無駄を減らし、コスト効率を高めることができます。特に、短期的なプロジェクトや特定のスキルセットが必要な場合には、外部調達が効果的です。 外部調達のデメリット データセキュリティの懸念 外部パートナーにデータを提供する際には、データのプライバシーやセキュリティに関する懸念が生じます。適切なセキュリティ対策が講じられていない場合、データ漏洩のリスクが高まります。 コミュニケーションの課題 言語や文化の違いにより、細かなニュアンスが伝わりにくいことがあります。コミュニケーションの質がプロジェクトの成功に直結するといっても過言ではないため、特にオフショア開発を利用する際は、事前にブリッジSEなどの日本語能力に問題がないか確認する必要があるでしょう。 コントロールの喪失 外部パートナーに依存することで、プロジェクトの進行や品質に対するコントロールが難しくなることがあります。特に、外部パートナーが企業のビジネスプロセスや文化を十分に理解していない場合、期待通りの成果が得られないことがあります。 AI開発人材の外部調達ならベトナムオフショア! 近年、ベトナムはオフショア開発先として最も注目されています。ベトナムオフショアはコストメリットだけでなく、ベトナムTopの理系大学であるハノイ工科大学がベトナム初の生成AIに特化したプログラムを開講するなど、優秀なAI開発人材の調達先として関心を集めています。ここでは、一般的なベトナムオフショアのメリットを紹介します。 コスト削減 ベトナムのAIエンジニアの人月単価は日本と比べて大幅に低く、ベトナムオフショアを利用することで、国内企業に依頼するよりも大幅にコストを削減することができます。国内企業に依頼すると、1人月150万円以上かかる場合がありますが、ベトナムのAIエンジニアだと半額程度に削減することができる場合もあります。 豊富な若手人材 ベトナムは若くて優秀なIT人材が豊富であり、政府もICT分野の人材育成に力を入れています。毎年57,000人ものIT技術者が育成されており、AIやデータサイエンスに関心を持つ若手が多いです。 地理的・文化的な親和性 ベトナムは親日国として知られており、時差も2時間と少なく、地理的に日本が一緒にビジネスをしやすい国の一つと言われています。また、勤勉な国民性という共通点もあり、文化的にも非常に協働しやすいです。 […]
15/09/2023
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DX人材の確保でオフショア開発が注目される理由とは
デジタルトランスフォーメーション(DX)の重要性が、日本国内だけでなく世界中で急速に高まっています。特に欧米を含むグローバル市場では、競争に勝つためにはデジタル化による生産性向上や新商品開発が不可欠です。ところが、日本のDX化は遅れているとの指摘もあります。本記事は、日本におけるDX化の遅れやDX人材育成の重要性と課題を探りつつ、DX人材に求められる技術的/非技術的スキル、人材育成における外部リソースの活用ポイント、DX推進におけるIT人材不足の有力な解決手段としてのオフショア開発の利点などについて解説します。 世界のデジタル競争力ランキング1位はデンマーク、日本は過去最低の34位 スイスに拠点を置く国際経営開発研究所(IMD)が2022年の「デジタル競争力ランキング」を発表しました。このランクキングは、IMDが策定・公表しているデジタル競争力に関する国際指標で、国によるデジタル技術の開発・活用を通じ、政策、ビジネスモデルおよび社会全般の変革への影響を分析し、国のデジタル競争力を測定するものです。 デジタル競争力ランキングの1位はデンマークで前年の3位から躍進、次いで2位は前年首位のスイスでした。トップ10には、同じアジアから香港と台湾がランクインしており、香港は前縁から2つ順位を上げ5位、台湾は7位に上がりました。またトップ30では中国が17位、韓国が27位にランクインしています。日本は過去最低の34位に沈んでおり、アジア内での競争力低下が明らかになっています。 日本のDX化が進まない要因はIT人材不足 デジタル競争力ランキングはDX推進の現状を示すもので、日本の低ランク化にはIT人材不足が影響しています。特に、最新技術を備えたDX人材の不足が深刻化しています。 日本においてもDX化の重要性が各所で叫ばれていながら、なぜ、日本のデジタル競争力ランキングは上がらないのでしょうか。その要因の一つは、日本国内のIT人材不足だといわれています。それも、最新の技術スキルを持つDX人材が不足しており、この課題の解決が急務となっています。 高度なデジタル化を実現するには、専門知識と経験を持つ人材が必要であり、日本企業はその獲得を真剣に考える必要があります。今後の競争力向上のためにも、人材育成や多様な採用策が求められています。 DX推進において重要な技術とは DXの進化に伴い、DX技術は多岐にわたります。企業はそれらの新しいテクノロジーを活用して競争力を高めなければなりません。ここでは、DX技術の中でも特に重要な技術を紹介します。なお、これらの技術については、下記の記事で詳しく解説していますのでそちらもご覧ください。 【別記事】DX推進に必要な技術と活用事例を詳しく解説 1. 人工知能(AI)と機械学習 AIと機械学習は、DX推進におけるキーテクノロジーです。これらの技術は、売上予測や生産最適化など、多岐にわたる役割を果たしています。 また、画像解析を通じた自動運転や医療支援、音声解析によるカスタマーサポート向上、不正検出や法律分析、文章解析による業務効率化など、その応用は広範です。 ロボティクス分野でも活躍し、自動運転から農業支援まで多岐にわたる活用が期待されています。異業種での採用も増加し、DXの進化に欠かせない要素となっています。 2. 生成AI(Generative AI) 生成AI(Generative AI)は、いま最も注目を浴びている技術です。生成AIは、データのパターンを学習し、新しいコンテンツを作り出す技術です。2022年11月にOpenAIが「ChatGPT-3.5」を公開すると、その性能が大きな話題となり、2ヶ月で1億ユーザーに達しました。生成AIは、テクノロジーの進歩やデータ量の増加などの要因が組み合わさって急速に進化しており、その応用範囲も広がっています。 生成AIは、ChatGPTのような対話型AIチャットの他にも、画像生成、音楽・映像制作、製品デザイン、広告、コンテンツ生成、顧客対応、製造最適化、データ可視化などに活用され、新製品開発やマーケティング戦略の向上、プロセス効率化、品質向上などに寄与します。こうして生成AIは、企業のビジネスプロセスにさまざまな革新をもたらし、社会的変化をもたらす可能性が高まっています。 生成AIの進化は、労働市場にも影響を及ぼす可能性があります。ゴールドマン・サックスの調査(英語)によると、生成AIは10年間で世界のGDPを7%引き上げる可能性がある一方、将来的には現在の仕事の業務の4分の1がAIによって自動化でき、その影響を受けて 世界で3 億人のフルタイム雇用に相当する人々が自動化の対象にさらされる可能性があると示唆しています。同様に、日本でも約70%の労働人口がAIの影響を受けると予測されています。 3. クラウド・コンピューティング クラウドコンピューティングは、インターネットを介してオンデマンドでコンピュータリソースやサービスを提供する技術であり、企業が効率的にDXを実現するための基盤を提供します。クラウドを活用することで、スケーラビリティや柔軟性を実現し、ITインフラの効率を向上させることができます。クラウド上でアプリケーションを展開することで、迅速な開発と運用が可能となります。 クラウドコンピューティングは、DXの基盤を提供し、企業に多様なメリットをもたらす技術です。企業は、クラウドを活用することでスケーラビリティや柔軟性を実現し、ITインフラを効率化し、アプリケーションの迅速な開発と運用を行うことができます。また、SaaS、PaaS、IaaSを組み合わせて戦略的に利用することで、ビジネスプロセスを改善させることができます。新たなサービスの提供、データ解析、柔軟なインフラ運用など、競争力の強化と持続的なイノベーション推進のために、適切なクラウド戦略の構築が求められています。 4. ビッグデータとアナリティクス ビッグデータ技術とアナリティクスは、企業のDX推進において欠かせないツールとなっています。ビッグデータは大量のデータから価値を抽出し、アナリティクスはデータを解析し、トレンドやパターンを見つけ、戦略的な意思決定を支援します。 ビッグデータは通常のデータベースでは処理できない巨大なデータセットを指し、非整理データも含まれます。ビッグデータは「3V」(ボリューム、バラエティ、速度)の特徴を持ち、多量で多様な形式のデータが含まれます。 一方、アナリティクスはデータを分析し、傾向やパターンを理解し、ビジネスインテリジェンスや予測分析などに活用されます。データを可視化し、統計的手法や機械学習、AIを使用して価値ある情報を引き出すプロセスです。 製造、金融、物流、小売、旅行、エンターテインメント業界など、広範囲な業種かつビジネスの様々な分野で活用されています。データ駆動の戦略を通じて、データを活かしたイノベーションを促進し、競争力の向上と事業成長を実現することが期待されています。 5. IoT IoT(Internet of Things)は、競争力向上や効率化、革新を通じたDXの一環として、企業にとって欠かせない存在です。物体やデバイスがインターネットを通じて接続され、リアルタイムの情報を交換することができる革新的テクノロジーです IoTは、センサーとアクチュエーターを備えたデバイスがデータを収集し、送信し、処理・分析され、意思決定と制御が行われ、結果が表示されるプロセスで構成されます。センサーとデバイスが相互に通信するIoTは、データ駆動の戦略を展開し、即座の意思決定を可能にします。 すでに、製造、小売、医療、交通、農業、エネルギーなど多様な業界でIoTが活用され、データドリブンの進化と新たなビジネスモデルの創造に寄与しています。 6. ブロックチェーン ブロックチェーン技術は、信頼性と透明性の確保のためにDXに活用されます。ブロックチェーンの基本的な仕組みは、分散化、ブロック連鎖、暗号学的ハッシュ、コンセンサスアルゴリズム、スマートコントラクトの自動実行などから成り立っています。 ブロックチェーンは、暗号技術を用いて取引情報を1本の鎖状につなげ、分散型で透明な台帳を実現します。メリットとしては、信頼性向上、中間業者排除、トレーサビリティ、新ビジネスモデル創出などが挙げられます。 ビジネスにおける応用例としては、製造業でのサプライチェーン管理や知的財産管理、小売業での偽造防止や報酬ポイント、金融業での国際送金の効率化、医療業での患者データの共有、ゲーム業でのNFT利用などに活用されています。 7. ノーコード開発/ローコード開発 ノーコード開発とローコード開発は、DX推進の要となる技術であり、ビジネス革新を助ける重要なツールです。どちらもプログラミング知識が限られたユーザーでもアプリケーションを構築できる手法です。 ノーコード開発はプログラミングが不要で、直感的なインターフェースを通じてアプリを作成することができます。一方、ローコード開発は少量のコードを使い、効率的なアプリ構築が可能です。両者ともビジネスのデジタル化と革新を支援します。 主なローコード開発ツールとしては、Mendixはエンタープライズ向けローコード開発プラットフォームとして知られており、ビジネスプロセスの最適化や効率向上に適しています。この他、Microsoft Power AppsやSalesforce Lightningなどがあり、業務効率向上やデータ分析、モバイルアプリ開発、顧客エクスペリエンス向上、イノベーション促進など、さまざまな目的で活用され、企業のDX戦略には欠かせないツールとなっています。 【別記事】DX推進に必要な技術と活用事例を詳しく解説 […]
18/08/2023
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DX推進に必要な技術と活用事例を詳しく解説
DXの浸透に伴い、企業は新しいテクノロジーを活用して競争力を高める必要があります。DXに必要な技術は多岐にわたりますが、その中でも特に重要な技術と業種別の活用事例などを紹介します。 DX推進において重要な技術 以下に紹介する技術は、DXを推進するために不可欠であり、企業がこれらの技術を適切に組み合わせて活用することで、業務効率化、革新的サービスの提供、市場競争力の維持・強化などが可能となります。 1. 人工知能(AI)と機械学習 DXに必要な各種技術の中でも、AIは主要なカギを握っています。AIは人間の知能を模倣し、情報処理能力を超越する技術であり、多岐にわたる業務に活用されています。以下に、AIがDX推進に果たす役割ついて見ていきましょう。 【AIが果たす役割と活用例】 (1) 予測・分析 AIは膨大なデータを学習し、特徴を抽出して予測や分析を行う能力を持っています。新たなデータを読み込むことで、予測精度を向上させます。 小売業では売上予測や在庫最適化にAIを活用されたり、市場トレンドの予測や顧客の購買行動の分析に活用もされます。 (2) 最適化 AIは異なる目的や制約を考慮して最適な選択肢を導き出し、意思決定を支援します。 製造業では生産ラインの最適化や資材調達の最適化にAIを活用し、効率とコスト削減を実現しています。また、さまざまな業界で、棚割最適化や運転計画の最適化、プロモーション戦略の最適化などに応用されています。 (3) 画像解析 AIは画像解析技術と組み合わせて、画像の分類や検出を行います。ディープラーニングによる学習により、物体の特徴や特性をより正確に把握できます。顔認識や異常検知などで活用されます。 自動車業界では自動運転車のセンサーデータを解析して周囲の状況を把握し、安全な運転を支援します。医療業界ではX線画像の解析にAIを導入し、病変の早期発見を支援します。製造業では製品の欠陥検出や安全監視に活用されています。 (4) 音声解析 AIは音声解析にも応用され、話し声を文字に変換する能力を持っています。コールセンターでは音声解析により顧客の声から感情や要望を把握し、カスタマーサポートの向上に貢献しています。 また、言語翻訳アプリケーションもAI技術を利用しています。医療業界では、診療記録の自動化や診断支援に活用されています。スマートフォンの音声アシスタントやスマートスピーカーの技術により、人間とのコミュニケーションを支援します。 (5) 文章解析 AIは文章を解析し、情報の把握や分類、ラベリングを行います。文書の要約や業界固有の名詞認識など、文章処理を効率化します。 金融業界では不正検出にAIを活用し、怪しい取引を自動的に検出して防ぎます。また、法律業界では契約書の分析や法律文書の要約にAIを導入して効率化を図っています。 (6) ロボティクス AIと連携することで、ロボット工学が進化します。センサーデータの収集とAIの処理を組み合わせ、汎用物体把持や秤量などの作業を効率的に行います。 自動車業界では自動運転技術などに活用され、製造業では産業ロボットの制御にも活用されています。農業業界ではドローンにAIを搭載して作物の成長状況をモニタリングし、効果的な農作業計画を立てる例があります。また、物流センターでは自動倉庫ロボットがAIによって荷物の取り扱いを最適化しています。 2. 生成AI(Generative AI) AI技術の中でも注目を集めているのが生成AI(Generative AI)です。この技術は、コンピュータが既存のデータセットから学習し、新たなコンテンツやデザインを生成する能力を持つものです。 文章、画像、音楽などの創造的な要素をAIが生成し、新しいアイデアやコンセプトの発展を支援するため、クリエイティブな領域に大きな可能性をもたらしています。企業は生成AIを活用して革新的なプロジェクトを推進することが可能です。 【生成AIが果たす役割と活用例】 生成AIは、幅広い領域で活用することが可能です。以下にいくつかの具体例を紹介します。 (1) 文章生成 生成AIは文章の生成にも活用されます。記事、物語、詩などの自動生成が行われ、ブログやニュースサイトなどでコンテンツの生成に使用されています。特定のトピックに関する文章を自動的に生成することで、コンテンツ制作の効率を向上させることができます。 対話型AIチャットサービス「ChatGPT」は、生成AIの実用的な応用例として挙げられます。ChatGPTは、ユーザーと自然な対話を行いながら文章を生成する能力を持ち、カスタマーサポートからクリエイティブな執筆まで幅広い領域で活用されています。 (2) 画像生成と修復 生成AIは、写真の修復や画像の生成に使用されます。古い写真の劣化を修復したり、写真から新しい視覚的な要素を生成する際に活用されます。また、デザイナーやクリエイターは生成AIを使用して新しいデザインやアートワークを生成し、クリエイティビティを刺激します。 画像生成AIサービス「Stable Diffusion」などの画像生成AIサービスは、生成AIを用いて画像を生成する例です。この手法は、リアルな画像を生成する際に、ディープラーニングの手法を活用し、高品質な画像を生成することが可能となりました。この技術は、デザインや映像制作などの分野で大きな影響を与えています。 (3) 音楽生成 音楽の作曲にも生成AIが用いられます。既存の楽曲のパターンを学習し、新しいメロディーやハーモニーを生成することが可能です。これにより、新しい楽曲の制作やバリエーションの生成が容易になります。 (4) 映像生成 動画の生成や編集にも生成AIが活用されます。既存の映像から新しいシーンやエフェクトを生成したり、映画の予告編や広告の制作に使用されます。また、アニメーション制作などでも活用されています。 【企業における生成AIの応用範囲】 […]
27/03/2023
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受託開発とは?メリット・デメリット、オフショア開発での受託プロジェクト例
ビジネス環境の急速に変化やテクノロジーの進化によって、競合力の維持が課題となる中、様々な開発アプローチが模索されています。各種の開発手法における提柔軟性と効率性はどの方法が最適か、多くの企業にとって重要な戦略的オプションとなっています。 本記事では、受託開発に焦点を絞り、その要点やメリット・デメリット、受託開発の流れを解説するとととに、オフショア開発によって行われている受託開発プロジェクトについても紹介します。 自社開発と受託開発 自社開発と受託開発は、ソフトウェアやプロジェクトの開発方法論に関する2つの異なるアプローチです。企業はプロジェクトの性質や企業の戦略に応じて自社開発と受託開発を組み合わせて使用することで、効果的なソフトウェア開発に効果を発揮します。 自社開発とは 自社開発は、企業が自社の内部リソースを使用してソフトウェアプロジェクトを設計、開発、運用する方法です。企業はソフトウェア開発の全体のプロセスを管理し、プロジェクトに直接関与します。開発者は会社の従業員となります。 自社開発は、自社内に開発チームを組織し、自社製品やカスタムアプリケーションを開発し、自社のビジネスニーズに合わせて柔軟に対応する場合に行われます。 受託開発とは 受託開発とは、企業などの委託主(クライアント)が、自社のプロジェクトやソフトウェア開発に関する特定のタスクや作業を、外部の専門的な開発会社や個人(受託先、開発者、ベンダー)に委託する方法です。 クライアントは開発会社に対してプロジェクトの要件や仕様を提供し、開発会社はそれを実装し、クライアントに成果物を提供します。受託開発は、専門的なスキルやリソースにアクセスするため、自社開発では不足している場合や一時的なニーズに対処するために利用されます。 受託開発は、ソフトウェア開発、ウェブ開発、モバイルアプリ開発、データ分析、品質保証など、さまざまなIT関連プロジェクトに適用されます。 また、受託開発は、フルスクラッチ開発以外の依頼も可能です。受託開発は、新規のソフトウェアプロジェクトを完全に新たに開発するだけでなく、以下のような様々な形態のプロジェクトにも適用されます。 【受託開発のプロジェクト適用例】 (1)既存システムのカスタマイズ 既存のソフトウェアやシステムに特定の機能追加や変更を加えるために受託開発を依頼することがあります。これにより、既存システムを新しい要件に適応させることが可能です。 (2)既存プロジェクトのサポート 既存のプロジェクトやアプリケーションの保守、運用、トラブルシューティング、アップデート、セキュリティパッチの適用など、サポート関連の作業を受託開発に委託することがあります。 (3)アプリケーションの移行やマイグレーション 既存のアプリケーションやデータを新しいプラットフォームに移行するための受託開発プロジェクトも一般的です。これはデータベース移行、クラウド移行、ハードウェアの更新などを含みます。 (4)サードパーティ製品の統合 サードパーティのソフトウェア製品やAPIを既存のシステムに統合するためのカスタム開発が必要な場合、受託開発を利用します。 (5)テストと品質保証 ソフトウェアテストや品質保証作業を外部の専門家に委託することがあります。特に大規模なプロジェクトでは、独立したテストチームが品質管理を行います。 受託開発は、新規開発だけでなく、既存のソフトウェアやプロジェクトの拡張、改善、保守、統合などにも適用され、クライアントの特定のニーズに合わせてカスタマイズされることが一般的です。 受託開発のメリットとデメリット 受託開発の主要なメリットとデメリットは、主に以下の通りです。 受託開発のメリット ・専門知識の活用 開発会社は技術的な専門知識と経験を持っており、クライアントはその専門知識を活用できます。これにより、高品質で効率的なソフトウェア開発が可能です。 ・コスト削減 開発会社は設備やリソースを共有できるため、クライアントは自社での開発に比べてコストを削減できます。また、受託開発会社は人件費などのリソースに関する管理も行います。 ・コアビジネスに専念できる クライアントはソフトウェア開発に関するすべての責任を開発会社に委託できるため、自社のコアビジネスに専念できます。 ・スケーラビリティ 開発会社はプロジェクトの規模や要件に応じてリソースをスケールアップまたはダウンでき、柔軟性があります。 ・リスク分散 開発会社はプロジェクトのリスクを共有し、問題が発生した場合にも対応できる体制を持っています。 ・フルスクラッチ開発の自由度 受託開発では、ソフトウェアをフルスクラッチで開発できるため、機能や仕様に関して自由度が高いです。クライアントの要求に合わせてカスタマイズされたソリューションが提供されます。 受託開発のデメリット ・コミュニケーションの課題 クライアントと開発会社の間で適切なコミュニケーションが確保されない場合、要件の誤解やプロジェクトの方向性のずれが発生する可能性があります。 ・品質管理の難しさ クライアントは開発の進行状況をリアルタイムで把握しづらいため、品質管理やテストの監視が難しい場合があります。 ・コントロールの喪失 開発会社がプロジェクトの制御を握っているため、クライアントは一部の意思決定権を委任しなければならない場合があります。 ・細部の把握の難しさ クライアントは開発の詳細なプロセスや技術的な側面について十分な知識を持っていない場合、プロジェクトに対するコントロールが難しくなる場合があります。 ・契約や法的な課題 契約や法的な問題が発生する可能性があるため、契約書の明確な取り決めが必要です。 受託開発の流れ システム開発における受託開発の一般的な開発フローは以下の通りです。 1. システム構築の検討・決定 システム構築の必要性を検討し、社内での検討と決定プロセスを実施します。どのようなシステムが必要か、現行システムの制約事項、パッケージソフトウェアやクラウドサービスの適用可能性などを評価します。 […]
28/02/2023
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オフショア開発における品質管理の課題と対策
ITシステム開発には品質管理の悩みがつきものです。品質管理ができていないと品質の低下はもちろん、納期の遅延や予算超過の原因にもなります。日本国内の人材不足やコスト高からオフショア開発を検討している企業も多いと思いますが、国内外を問わず品質管理は課題です。 オフショア開発には優秀な人材を確保できたりコストを抑えたりできるというメリットがある一方、コミュニケーションロスに起因する問題が発生する可能性があります。今回はオフショア開発における品質管理の課題とその解決策、高い品質を維持する方法について解説します。 ITシステム開発における品質管理の4つの課題 国内外を問わず、ITシステム開発にはさまざまな課題があります。発注側と受注側のオフショア開発会社のそれぞれに課題はありますが、大きく分けると以下のような問題が品質トラブルを招くことが多いと思われます。 発注側が受注側のオフショア開発会社に具体的な仕様を提示していない 開発のスタート段階で、仕様の概要は決まっているものの詳細仕様が決まっていないという問題です。仕様の詳細やテスト仕様も決まっておらず、受注側のオフショア開発会社にシステム仕様書やテスト仕様書の暫定版しか提示されていないような状況です。特に近年システム開発手法の主流になっているアジャイル開発では、優先度の高い要件から先に開発を進めていくので、全体の詳細仕様が決まっていない場合が多くあります。 アジャイル開発は仕様変更に強いという特徴はありますが、発注側が各機能の仕様を次々に決めないと開発が遅れ、品質問題を起こす原因にもなります。以前主流であったウォーターフォール開発でこの状態であれば、開発の後半になって深刻な品質問題を引き起こす可能性があります。 開発の初期段階で仕様やテストの条件が発注主を交えてレビューされていない 詳細の仕様が決まっていないという問題ではなく、発注主とオフショア開発会社で十分なレビューが行われていないという問題です。言い換えれば情報共有が十分になされていない状態で、発注側は意図が伝わったと思っている一方、受注側は仕様やテストの条件を十分に理解できていないような状況です。開発初期段階のレビューは、意図通りに仕様やテストの条件が伝わっているかを、口頭ではなく書面で相互確認することが重要です。 受注側のオフショア開発会社のレビュー計画とテスト計画が明確になっていない 発注主から示された詳細仕様やテスト条件を盛り込んだレビュー計画とテスト計画は、受注側のオフショア開発会社が作る必要があります。発注主は承認した開発計画が決めたとおりに進んでいるか、レビューでチェックをする必要がありますが、オフショア開発会社側の人員計画などが煮詰まっていないと、レビュー計画とテスト計画が曖昧になりスケジュールが遅れて品質問題に発展する場合があります。 開発手法の違いによる品質管理の方法が理解されていない 開発手法として現在主流になっているアジャイル開発と旧来のウォーターフォール開発では、品質管理の方法に違いがあります。両者とも品質管理に対する基本的な考え方は同じですが、ウォーターフォール開発では機能が利用可能になるのは開発終了時です。 一方アジャイル開発は、開発中であっても段階的に(機能ごとに)テストや評価ができるため、品質の確認時期に違いがあるのです。このような開発手法による品質管理の方法を理解していないと、テスト計画のスケジューリングを誤り品質トラブルの要因となってしまいます。 上記のような問題は国内の開発においても十分注意する必要がありますが、オフショア開発を委託する場合には以下のような問題にも注意する必要があります。 オフショア開発の委託時に注意すべきこと 言葉の壁によるコミュニケーション不足 オフショア開発を海外に委託する場合、一番問題となるのが言葉の壁によるコミュニケーション不足でしょう。先述のように発注側と受注側のレビューが十分でないと「仕様通りの成果物が上がってこない」、「修正を指示したのに直っていない」などという問題が発生しがちです。 ただし、このようなコミュニケーション不足は国内のシステム開発においても起きる可能性があるので、特にオフショア開発特有の問題というわけではありません。言葉の壁を解消する方策が重要ということです。 国民性や商習慣の違い 国民性や商習慣の違いによる問題も、オフショア開発においてはよく指摘されることです。ただしこちらも、ほとんどの場合はコミュニケーションやレビューの頻度を調節することによって解決できる問題です。日本国内においても企業ごとに文化の違いがあるように、開発手法や品質に対する考え方を開発の開始時に合わせておくことが重要です。 課題を解決し品質低下を防ぐには? ITシステム開発の品質低下を防ぐには、以下のような事項に加えオフショア特有の課題を解決する対策が必要です。 開発前の準備(仕様決定、要件定義、テスト条件決定) 上流工程や初期段階での要件定義と合同レビュー テスト計画の策定と共有 プロジェクト管理の徹底 高いスキルを持つPM(Project Manager)の起用 品質評価基準の早期策定と共有 プロジェクト管理ツールの適用 オフショア開発の品質低下を防ぐ方法 コミュニケーションの障壁を取り除く 言葉の壁を取り除くには、ブリッジエンジニアを導入することが最適解です。担当者が英語でのコミュニケーションが問題なければ必要ないかもしれませんが、ネイティブのブリッジエンジニアを起用することで、国民性や商習慣の違いなどについてもカバーしてくれることでしょう。また、仕様書は英語化するなどし、共通のフォルダに格納していつでも閲覧できるようにしておくことが大切です。 曖昧な表現や口頭での伝達を避ける たとえ国内であっても、曖昧な表現で重要事項を伝達していては守られることがありません。これはオフショアでも同様で、重要事項を伝える場合は曖昧な表現を避け、口頭ではなく文章で指示しましょう。また、品質マニュアルや守るべきセキュリティの内容を明文化(英語)しておくことも大切です。 オフショア開発で高い品質を維持するためには オフショア開発では、開発人員を固定して効率的に開発できるラボ契約とアジャイル開発の組み合わせが最適な開発方法です。先述のようにアジャイル開発は品質管理の方法が従来とは違うので、その違いをしっかり理解しているオフショア開発ベンダーを選ぶことが高い品質の維持につながります。 日本企業の開発案件に豊富な経験と実績があるオフショア開発ベンダーと契約する オフショア開発の優れたベンダーと契約するためには、以下のような項目をチェックすることが重要です。 日本企業のプロジェクトを多くこなしているオフショア開発ベンダーを選ぶ。案件は数だけではなく、規模や内容もチェックする。 品質維持のノウハウを多く持っているかを確認する。また社内の品質管理チームが機能していることも確認しておく。 どのようなエンジニアが在籍しているかを確認する。コミュニケーション能力や管理能力の高いPMやブリッジエンジニアの在籍数も確認する オフショア開発の依頼は現地の事情に詳しい企業に オフショア開発はその特性から課題もありますが、それらは克服可能です。ブリッジエンジニアや明確な指示など、コミュニケーションの問題に対する対策を講じることが重要です。 また、一つの対策として、現地に本社を持つオフショア開発会社に依頼するのも有効です。現地の事情に詳しい企業ならば、国民性や商慣習の障害を回避し、高品質なシステム開発を実現できます。これらのアプローチを組み合わせることで、オフショア開発による高品質なITシステム開発を期待できることでしょう。 無料eBookのダウンロード チェックリストでわかる 失敗しないオフショア開発会社の選び方 オフショア開発会社選びの準備から開発開始まで、多様な角度からチェックポイントを網羅。チェックリストを活用して効率的な選定や基準作りに役立ちます。 今すぐダウンロード(無料)
28/02/2023
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オフショア開発でコミュニケーションの壁を乗り越える基本的な手段とは?
オフショア開発において、言葉の壁や文化の違いは円滑なコミュニケーションの障害となることがしばしばあります。異なる母国語や習慣を持つエンジニアとの間での誤解を回避し、プロジェクトの成功を確保するためには、適切な対策が不可欠です。本記事では、オフショア開発におけるコミュニケーションの壁を乗り越える上でもっとも基本的なオフショア開発の形態や方法について解説します。 適切なオフショア開発形態を選択する 適切なオフショア開発形態を選択する まずは、オフショア開発をどのような形態や方法によって行うかによって、コミュニケーションのしやすさが大きく異なってきます。オフショア開発の形態は、各企業やプロジェクトよってさまざまです。 代表的には、以下のような形態があります。発注元の企業は、プロジェクトの性質や要件、予算などを考慮して、最適なオフショア開発方法を選択する必要があります。 オフショア開発(オフショアリモート開発) 発注元の国や地域とは異なる国や地域に開発を委託し、プロジェクトの進行をオンラインツールやコミュニケーションプラットフォームを通じて遠隔で管理します。クライアントと開発チームは物理的には近くにいないため、リモートでのコミュニケーションが主要な手段となります。 オフショア開発(オフショアリモート開発) 開発チームや担当者がプロジェクトの発注元の国や地域に派遣され、クライアントの現地で作業を行います。オンサイトのメンバーは直接クライアントとコミュニケーションを取り、要件の理解やフィードバックの収集を容易にします。 ハイブリッドアプローチ 開発チームや担当者がプロジェクトの発注元の国や地域に派遣され、クライアントの現地で作業を行います。オンサイトのメンバーは直接クライアントとコミュニケーションを取り、要件の理解やフィードバックの収集を容易にします。 オフショア開発センター オフショア開発センターは、発注元の国や地域とは別の国や地域に、独立した開発拠点を設置する方法です。これにより、外部の開発会社とは独立した開発チームを持つことができます。クライアントが自社の拠点を持つことで、プロジェクトのコントロールとセキュリティの管理をより直接的に行うことができます。 言葉の壁や文化の違いを乗り越えて、コミュニケーションを円滑にする方法 1. 日本語でコミュニケーションできるブリッジSEを必ずアサインする オフショア開発チームと日本語でコミュニケーションを行おうとする場合は、しっかりと日本語で技術的なコミュニケーションができる人材が在籍しているオフショア開発企業を選定する必要があります。実際にメンバー選定する場合には、どの程度の水準でコミュニケーションが可能なのか、実際に面談するなどして確認しておきたいところです。 特に、日本企業のプロジェクトでは、確定した設計仕様の変更などが生じるケースがありますが、こうした場合にはコミュニケーションは特に重要となります。例えば、日本語で何とか会話出来るというレベルと、きちんと意思疎通できて安心感のあるコミュニケーションができるレベルでは、開発現場においてその差はとても大きなものとなるはずです。 オフショア開発企業によっては、日本語を流ちょうに話すものの、技術的知識やスキルが少ないコーディネーター(またはコミュニケーターと呼ばれる人)をブリッジとしてアサインするケースがあります。そのようなケースでは、技術的な意思疎通がうまく得られないという問題が生じ、コミュニケーションロスに苦戦する可能性があります。 一方、日本企業向けに特化した日本企業とのプロジェクトの経験豊富なオフショア開発企業であれば、オンサイトで日本在住経験があり日本語レベルが高く、日本文化や日本型の開発手順への理解度も高いSEが在籍しており、日本人SEが在籍している場合もあります。こうしたブリッジSEはドキュメントも日本語で作成しますので、会話や文字による意思疎通にも安心感が得られるはずです。 また、こうした日本企業向けのオフショア開発企業では、オフショア現地においても従業員の教育体制を整えて日本語教育を行っており、日本語能力試験のN1、N2に合格するレベルのコミュニケーションができる多数のエンジニアが在籍しています。 2. オフショア開発会社のエンジニアにオンサイト常駐してもらう オフショア開発における「オンサイト」には、多くのメリットがあり、コミュニケーションに関連するメリットが重要です。以下に主なメリットを列挙します。 コミュニケーションの円滑化 オンサイトメンバーが現地にいることで、クライアントとのコミュニケーションがスムーズに行われます。リアルタイムで会話をすることで、要件や課題の理解が深まり、ミスコミュニケーションのリスクが低減します。 フィードバックと変更への対応 オンサイトメンバーが直接プロジェクトの進捗を把握できるため、クライアントのフィードバックや要件変更に対応するのが容易です。迅速な対応により、プロジェクトの品質向上やタイムリーな納品が可能となります。 現地の文化や業界知識の理解 オンサイトメンバーがクライアントの現地にいることで、その国や地域の文化や業界のニーズをより深く理解することができます。これにより、より適切なソリューションの提供が可能となります。 信頼関係の構築 直接会って顔を合わせることで、クライアントとオフショア開発チームとの間に信頼関係が築かれやすくなります。信頼関係があると、プロジェクトの協力的な進行や問題の解決が円滑に行われるでしょう。 グローバルな視野の拡大 オンサイトメンバーが直接プロジェクトの進捗を把握できるため、クライアントのフィードバックや要件変更に対応するのが容易です。迅速な対応により、プロジェクトの品質向上やタイムリーな納品が可能となります。 ただし、オンサイトにはコストや時間の面での課題もあるため、企業はオフショア開発とオンサイトの組み合わせを検討し、プロジェクトの要件や条件に応じて最適な方法を選択する必要があります。 3. 日本側のPMがオフショア現地に常駐してマネジメントする 日本側のプロジェクトマネージャー(PM)がオフショア現地に常駐することには、いくつかの重要なメリットがあります。特に、コミュニケーション面においては以下のようなメリットがあります。 コミュニケーションの円滑化 現地にいることで、リアルタイムで会話をし、課題や進捗状況を共有できるため、ミスコミュニケーションのリスクが低減し、開発チームとのコミュニケーションがスムーズに行うことができます。 要件の適切な伝達 直接顔を合わせることで、誤解を防ぎ、要件の理解度を確認することができるため、要件やニーズをより正確に伝えることができます。 フィードバックの収集と即時の対応 オフショア現地にいることで、プロジェクトに関する質問や修正が即座に行われることが可能になります。フィードバックを容易に収集し、必要な変更に素早く対応できます。 文化的な違いの理解 オフショア現地の文化やビジネス慣習をより深く理解できます。これにより、開発チームとの間に信頼関係が構築され、円滑なコミュニケーションが促進されます。 緊急時の対応 緊急の課題やトラブルに迅速に対応できます。時間差がある場合、オフショア開発チームが問題に対処するのに時間がかかることがありますが、PMが現地に常駐することで、素早い対応が期待できます。 このように、PMがオフショア現地に常駐することで、コミュニケーションの円滑化やプロジェクトの成功に寄与します。ただし、常駐には様々なコストや準備時間の面での課題もあるため、プロジェクトの要件や条件に応じて、最適なアプローチを選択する必要があります。 4. 英語を共通言語にする 母国語としないアジアの国々も含めて海外のオフショア開発会社とコミュニケーションを取る際、共通の言語として英語を選択する理由は複数あります。 英語は世界的に広く普及しており、アジアの多くの国でも教育やビジネスで使用されているため、異なる母国語を持つ相手と円滑なコミュニケーションを図るのに適しています。 また、アジアの国々がグローバルなビジネス展開を進めているため、国際取引やプロジェクトにおいて英語が共通の言語として選ばれることが増えています。 さらに、英語を共通言語とすることで、文化的な違いを克服し、より明確なコミュニケーションが可能となります。アジアには多様な言語が存在するため、特定のアジア言語を共通言語とすると相手とのコミュニケーションが難しくなることもあります。しかし、英語は多くのアジアの国々で使用されているため、より広範な相手とのコミュニケーションが可能です。 […]
28/02/2023
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失敗事例から学ぶ、オフショア開発成功への9つのヒント
昨今、ITシステム開発の現場では、オフショア開発という選択肢は一般的となりました。しかし、中には当初に想い描いた通りにはプロジェクトを進めることができなかったという声も聞こえてきます。そこで、本記事では、オフショア開発の失敗事例から学ぶ、失敗原因や成功へのヒントにについて紹介します。 オフショア開発で陥りやすい失敗事例 まずは、オフショア開発での失敗事例としてよく耳にする話題をいくつかご紹介します。 失敗事例1:仕様伝達に失敗し、納期が遅延してしまった 発注元の担当者は、発注先のオフショア開発会社に日本語ができるブリッジSEをアサインしてもらい、仕様と作業内容を文書にまとめてブリッジSEとミーティングを行って説明した。 ミーティングは日本語で行ったが、ブリッジSEも要求をよく理解してくれているように見えたため、日本語のコミュニケーションでも問題ないと判断していた。その後の進捗状況の確認でも、ブリッジSEからの報告は常に「問題なし」という回答があり安心していた。 しかし、次第にブリッジSEから1日に数回の質問が毎日のように届くようになった。担当者はその質問への回答作業に追われる日々となってしまい、レビューによる品質確認を行う時間を確保することができぬまま納期を迎えてしまった。 これは、オフショア開発会社への仕様の伝達がうまくいかずに作業の遅延が発生してしまったケースです。原因は、発注先の窓口となるブリッジSEとの日本語による意思疎通ができたため、仕様伝達のハードルは低かったと思い込んでしまったことにあります。 しかし、発注先のオフショア開発会社の窓口となるすべての人が技術面について知識を持っているとは限りません。 中には、主に通訳を役割とするコミュニケーターと呼ばれるべき人材にブリッジSEという肩書きを与えているオフショア開発会社も存在します。 このような失敗を回避するためには、窓口となるブリッジSEの日本語の言語能力の確認にとどまらず、そのブリッジSEの職務範囲や職能まで確認しておくことが大切です。 もし、オフショア会社の窓口担当者の技術的な内容の理解度に不安を感じる場合には、そのコミュニケーターを介して仕様伝達を行うのではなく、直接現地のSEと英語でやりとりを行う方がお互いの理解度を確認しながら進めることができるでしょう。その方が結果的には二度手間の発生を抑制でき、間接コストも削減することができるでしょう。 失敗事例2:度重なる仕様変更により、コストが増大してしまった 全体の仕様が確定しておらず、一部の仕様は暫定的なものとして見積を行い、そのまま見切り発車で発注した。 暫定部分は、発注後に五月雨式に仕様伝達を行ったものの、その後も仕様変更が繰り返され曖昧な仕様が残ったままだったため、ドキュメント作成やメールやチャットなどの仕様伝達の工数が増大した。 また、開発現場でも仕様の混乱や手戻りが発生し、当然スケジュールも大幅に遅延して収拾がつかなくなった。そのため、開発途中でブリッジSEと仕様確認の仕切り直しが必要となった。 その結果、コミュニケーションと開発の工数が増大し、最終的には、見積金額を大幅に超えてしまった。 これは、仕様が曖昧なまま発注したうえに仕様変更を繰り返した結果、コストと納期がオーバーしてしまったケースです。国内開発の発注においても発生し得るような例ですが、走りながら徐々に要求仕様を決めていくというやり方は、典型的な日本型の開発アプローチと言えます。 オフショア開発をこのような国内開発の感覚で行ってしまうと、信頼関係にひびが入ってしまい想像以上にトラブルを拡大させてしまう危険性があります。信頼関係がなければプロジェクトが失敗する確率は限りなく高くなるでしょう。そうなれば、金銭面でもトラブルに発展しまう可能性があります。 仕様を変更すること自体は問題ないのですが、問題は仕様変更をスムーズに進めるための段取りとコミュニケーションにあると考えられます。オフショア開発ベンダー側の状況を考慮して伝達することが大切です。 失敗事例3:日本語での意思疎通の失敗 ある過去に一度、開発を依頼したことがあるオフショア開発会社に、新規のプロジェクトを依頼した。初めて発注した際は、日本語でのコミュニケーションに多少の不安を抱いていたものの、アサインされたブリッジSEがとても優秀で、日本語スキルや技術レベルは事前の説明通りにレベルが高く、プロジェクトは無事成功を収める事ができた。 そこで、同じオフショア開発会社に別のプロジェクトを追加発注したところ、アサインされたブリッジSEの日本語スキルが低く、前回のブリッジSEと比較すると大幅に劣っていた。 事前に、コミュニケーション言語は日本語で行うとの取り決めていたものの、メールで質問を受け付けても一体何を伝えたいのか理解できないようなことがかった。そこで英文でのやりとりも試してみたが英語もさほど得意ではないらしく、結局、意思疎通はなかなか改善せず苦労した。 オフショア開発会社からの事前説明での「日本語コミュニケーションが可能な優秀な技術者が在籍している」との話に期待したところ、その事前期待が結果と異なっていて失敗したケースです。 たしかに、最初のプロジェクトにアサインされたブリッジSEは期待以上の能力を発揮してくれたため、次のプロジェクトでも期待するのは自然なことです。 初めての取引の際は、どこのオフショア開発会社もエース級の人材をアサインしてくるとうのはよくあることです。とはいえ、そのように優秀な人材が社内に多数在籍していて、発注者が希望するタイミングでいつでもアサインできるかどうかはまた別の話です。 このケースでは、エース級の人材は少数しか在籍していなかったり、または優秀な人材は別のプロジェクトに参加していて自社の案件にはアサインできなかったのかもしません。 顧客の要望に応じて、最適な人材を安定的にアサインできるかどうかは、オフショア開発会社それぞれの事情によって大きく異なります。特に、人材の豊富さは事業規模が大きいオフショア開発会社の方が有利でしょうし、また特定分野の人材であれば、小規模でもその分野に専門特化したオフショア開発会社なら最適な人材を確保できるかもしれません。 なお、日本市場に注力して事業を展開しているオフショア開発会社では、社内で日本語教育を行っていることは珍しくありません。しかし、その教育内容や方法も企業にとってさまざまで、営業やブリッジSEに限定して教育している場合もあれば、その他のエンジニアも含めて行う場合もあります。 また、日本語認定資格の取得を奨励し、資格取得手当てなどの制度を設けている企業もありますし、採用段階で選考基準として日本語のスキルレベルの高い人材や、日本国内でのビジネス経験や日本企業とのプロジェクト経験がある人材を多く採用しているケースもあります。オフショア開発会社選びの際には、そのような日本語教育のへの取組み状況状況も確認しておくとよいでしょう。 オフショア開発を成功に導くための9つのヒント 先述の陥りがちなオフショア開発での失敗事例のような問題は、実は日本国内での日本人エンジニアによる開発でも起こり得ることです。オフショア開発の現場では、とりわけ言語、文化、国民性の違いによるコミュニケーションのギャップが問題を生じさせる原因となる場合が多いです。そこで、ここではオフショア開発での失敗を回避し、開発プロジェクトを成功させへと導くための9つのポイントを紹介します。 1. コミュニケーション言語のスキルレベルを確認する 日本語や英語など、オフショア開発会社とのコミュニケーション言語を取り決める際には、コミュニケーションに支障がない程度の言語スキルを持っているかを事前に確認しましょう。 例えば、コミュニケーション言語を日本語にすると取り決めた場合、そのスキルレベルを客観的に把握する一つの目安としては日本語検定試験(JLPT)があります。日本語能力試験は、日本国内および海外で日本語を母語としない人を対象として日本語の能力を測定し、認定することを目的として行う試験です。試験はN1からN5レベルまでの5段階に分けられており、N1は最も難易度が高くなっています。 N1は幅広い場面で使われる日本語を理解することができるレベルで、N2は日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解することができるレベルとされています。そうしたことから、外国人を採用する企業では、在留資格・ビザ取得の観点からもN1〜N2を選考基準としている場合が多いようです。 N1は日本語ネイティブでも満点を取るのが難しいレベルの試験と言われていますので、N1保持者であればビジネスシーンでの活躍を期待できるでしょう。しかし、必ずしもすべてのエンジニアがN1レベルを取得している必要はなく、担当業務に合わせて日本語能力がどの程度必要なのかを基準とするのがよいでしょう。オフショア開発の場合では、ブリッジSEの日本語能力は重要ですが、オフショア国現地で働くエンジニアには必ずしも日本語スキルは必要とされません。 なお、日本語能力試験の問題は文章読解と聴解のみのため、書く、話す、といった能力は測ることはできません。そのため、ブリッジSEをアサインする際には、面接やディスカッション、メールのやりとりなどを取り入れると良いでしょう。 2. 日本との文化や国民性の違いを認識し、明確に意思表示する 日本と海外では、考え方や仕事の進め方も異なります。日本では、物事をこと細かく伝えなくても相手は当然のごとく察してくれるだろうと期待してしまいがちです。しかし、海外では、相手に明確な意思表示をしなければ伝わらないコミュニケーション文化を持つの国の方が多いです。むしろ、相手に繊細かつ高度な感性を求める日本式コミュニケーションの方がガラパゴス的と言えるかもしれません。 こうした文化や国民性の違いによって意思疎通や相互理解がうまくいかなくなってしまうと、結果として品質低下や手戻りが発生してしまうことがあります。 本側から物事を依頼する時は、目的(なぜやるのか)、スコープ(何をやるのか)、タイム(いつまでに必要か)、コスト(いくら以内でやるのか)を可視化してプロジェクトの目的を一致させ、認識の食い違いを防止することが大切です。 また、開発先の文化や国民性を理解しておくと、誤解や思い違いを少なくできます。時にはやり方を日本式に合わせてもらうように強制するばかりではなく、お互いに文化が違う国であることを理解し歩み寄る姿勢も大切です。 3. 情報共有や取り決めは、可能な限り文書化する 日本では、話し手と聞き手の間に共有されていることが多いため、行間を読み、暗黙的なコミュニケーションが成立しやすい文化といえます。また、日本では会議の場での共有や明確化をすることが多くなりますが、口頭による伝達や暗黙知の共有が含まれるため文書化しにくかったり、伝達する内容が多く労力がかかるという理由から、文書化しないケースが度々見られます。 一方、海外では、共有する情報や経験が少ないため、文章や図解、数値などによって、誰が見ても理解できるような形式で客観的に表現された形式知によるコミュニケーションが行われること多々あります。これは、個人主義的な文化の国ほど強くなえる傾向が見られます。そのため、母国語が異なる国のメンバーと日本語で業務を進めるオフショアの場合には、仕様等を確実に文書化してデータベースで共有するのが望ましいでしょう。 過去にオフショアで失敗を経験した日本企業による教育指導的な役割によって、日本企業とのプロジェクト経験が多いオフショア開発会社ほどそのような体制が整っています。こうした取り組みは、転職率の高いオフショア開発の課題をカバーするためにも有効です。 また、口約束で決まったと思っていたことが後になって変更となり、問題になることがあります。決めごとは合意と承認があって成立するものですので、可能な限り文書化して相互に承認ルールを確認し徹底することが大切です。 4. 仕様変更と品質レベルに関する考え方の違いを意識する 日本では、度重なる仕様変更が生じても、それに対応することが当然であると考えられがちです。一方、オフショア開発では、契約締結後に仕様変更を行うことは一般的とは言えません。そのため、仕様変更を巡ってはトラブルが発生する可能性があります。 […]
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