March 16, 2023

SalesforceのAPIとは?役割や種類、連携ツールの特徴をご紹介

Salesforceには多くの機能があり、業務の効率や収益性を向上させることが可能ですが、拡張性の高さも大きな特徴です。Salesforceの機能をさらに高める手法としての利便性が高く、注目されるのがAPI連携です。SalesforceのAPI連携はどのようなことを可能にするのか、連携によってどういったツールを使用できるようになるのか、連携の際のポイントや注意点などを解説します。

SalesforceとAPI

Salesforceを有効に使ううえで、APIによるツールとの連携は欠かすことができないほど重要です。SalesforceとAPIがそれぞれどういった役割を担うかを順に見ていきながら、連携によりどのような効果が生まれるのかを紹介します。

Salesforceとは

Salesforceは、クラウド型の統合CRM(Customer Relationship Management:顧客管理)プラットフォームで、SFA(Sales Force Automation:営業支援)の機能も備わっています。セールスフォース社が提供し、世界でもっとも利用されている営業支援アプリケーションとしても知られています。

基本はCRMとSFAのアプリケーションですが、プラットフォームとしての機能性が高く、さまざまな周辺機能や外部ツールが提供されています。これらの周辺機能を導入することで、マーケティングからカスタマーサービスまで幅広い業務管理に役立てることができます。

Salesforceの特徴や導入のメリットなどについて詳しくは、「Salesforceを導入すると何ができる?自社に合わせて使うためには」をご覧ください。

Salesforceの大きな特徴はカスタマイズ性の高さで、自由で柔軟なカスタマイズにより、自社に必要な機能を強化して使うことができます。また、Salesforceを利用して独自アプリケーションを開発することも可能です。

Salesforceのカスタマイズ、Salesforceによる開発について詳しくは、「Salesforceのカスタマイズや開発を行うにはオフショア開発が安心」をご覧ください。

APIとは

APIは、Application Programming Interface(アプリケーションプログラミングインターフェース)の頭文字をとった略称で、ひとつの用語として定着しています。

インターフェースとは、本来は「境界」や「接点」など、「何かと何かを接続する部分」という意味です。IT分野では、コンピューターシステムにおいての異なる機器や装置、システム間を接続する部分を指すことが一般的です。

なお、よく耳にするユーザーインターフェースという言葉は、ユーザー(人間)とシステムとの接点という意味です。

APIはアプリケーションをプログラミングする際のインターフェースであることから、アプリケーションと別のものをつなげる接点ということになります。実際には、特定のアプリケーションに対して用意された拡張機能や外部サービスを利用するための接点、すなわちインターフェースという意味で使われます。

APIができる以前は、各社が開発した機能やサービスはそれぞれ完全に独立していました。共通する機能を持つアプリケーションであっても、それぞれ一からプログラムを組んで開発する必要がありました。しかし、APIの登場によって開発の簡略化が可能になり、ユーザー側も手軽に拡張機能として使うことができるようになったのです。

SalesforceをAPI連携することで得られる効果

SalesforceのAPI連携とは、Salesforceに対して用意された拡張機能や外部サービスを利用する際に、APIによって連携させることを意味します。

Salesforceはそれ自体にさまざまな機能があり、万能なツールのようにも見えます。しかし実際に使ってみると、できることが多彩であるがゆえに、さらに細かいことができる機能の追加や、自社の業務に合わせたカスタマイズをしたくなってきます。

Salesforceは早くからAPIでの連携を開放しており、さまざまな外部ツールとの連携が可能です。API連携によって外部ツールを使うことで、機能を拡張できるだけでなく、次のような効果も望めます。

  • 開発の効率化とコスト削減
  • セキュリティ機能の強化
  • 顧客満足度の向上

APIを利用してサービスを開発するとき、一からつくる必要がなく、アプリケーションの土台がある状態から開発を始めることができます。また、確実な実績のある認証機能を持つツールと連携させることでセキュリティを担保でき、サービスの充実によって顧客満足度の上昇も見込めるでしょう。

連携するときのAPIの役割

上述のように、API連携によって、さまざまな機能を安全かつコストを抑えて追加したり、新たなサービスを開発したりすることが可能です。

このとき、APIはSalesforceと外部ツールをつなぐ窓口としての役割を担います。

具体的には、Salesforceのプログラムの一部を外部に向けて公開し、外部ツール開発者はそのプログラムをもとにして、連携できるツールを開発します。

SalesforceのAPIはいくつか種類があり、それぞれ得意とする機能は異なります。外部ツールは、その用途や機能に適したAPIを選択して開発されます。これにより、Salesforceのアプリケーション単体では足りない機能や、さらに自社業務に合わせてカスタマイズしたい機能を、API連携によって強化することができるのです。

Salesforce APIの種類

SalesforceのAPIにはいくつもの種類があります。そのうち、代表的なAPIを7つ紹介します。

SOAP API

SOAPというプロトコルを利用し、レコード操作やメタデータ取得、ユーティリティ機能などを得意とする標準的なAPIです。

メッセージの記述言語としてXMLを使用し、データの伝送にはHTTPを用いるため、Webサービスへの利用に適しています。

REST API

RESTを利用し、軽量のデータを操作するのに適したAPIです。

実装が容易で通信量を抑えることができるため使い勝手がよく、ブラウザアプリやモバイル連携に適しています。

Bulk API

RESTを利用し、大量のレコード処理に適したAPIです。

CSVファイルを使って大量のデータ処理を行うという使い方をされることが多く、業務効率化の用途に活用されています。データローダーでレコードの処理をすることで、独自アプリケーションの開発が不要になるという点も、大きなメリットとなります。

Metadata API

SOAPプロトコルを利用し、メタデータ取得を得意とするAPIです。同じSOAPプロトコルを利用するSOAP APIでは扱うことのできない属性を取得でき、組織のカスタマイズ操作が可能です。

Streaming API

Bayeuxプロトコルを利用し、更新イベント操作を得意とするAPIです。

データの変更をトリガーとして通知を出すことができ、主にユーザーに更新情報を通知する目的で使われます。

ただし、プロトコルの仕組みが難しく通知の保証が担保しにくいため、コアデータの連携には適していません。

Chatter REST API

RESTを利用し、「Chatter」の操作に適したAPIです。

FacebookやTwitterなどのSNSに使われることが多く、ユーザーやフォロワーなどのソーシャルデータへのアクセスを提供できます。

モバイルアプリケーションやイントラネットサイト、サードパーティのWebアプリケーションなどをSalesforceに統合することが可能です。

Tooling API

SOAPとRESTを用いた、ApexやVisualforceにおける開発者向けの機能を持ったAPIです。

既存のForce.comに機能を追加したり、カスタム開発ツールを作成したりするための機能があります。

SalesforceとAPI連携が可能なツール

SalesforceにはAPI連携ができるツールが数多くあります。よく使われているのは次のようなツールです。

MAツール

MA(マーケティングオートメーション)ツールとして代表的なのが、Adobe社の提供する「Marketo」です。カスタマイズ性が高く多機能なのが特徴です。社内外との情報共有がスムーズにでき、高度なマーケティング施策をわかりやすい操作で行える点で人気があります。

セールスフォース社の提供する「Account Engagement(旧Pardot)」はBtoBに特化したMAツールで、顧客のWebアクセス分析やメール配信シナリオ設定など充実した機能を持ちます。

BIツール

BIツールとしては、シンプルな操作でデータの加工、レポート作成、分析などができる「Tableau」が知られています。分析における専門知識やプログラミングスキルを持たないユーザーでもマウス操作のみでデータ活用が実現できます。

営業支援ツール

Salesforceはそれ自体でも営業支援の機能を持ちますが、さらにその機能を進化させ強化するのが「Magic Moment Playbook」です。

データを分析し、売上予測やアクション提案などの強力な営業施策が実行でき、商談数や受注数を数倍に上げたという実績を持つことからも注目度の高いツールです。

経理・会計ツール

「freee」は、経理・会計サービスとして中小企業や個人事業主に人気の高いアプリケーションです。Salesforceと連携することで見積書や請求書の自動発行が可能になり、入金ステータスがリアルタイムに反映、可視化されます。

「freee」を提供するfreee株式会社はSalesforceのビジネスモデルを積極的に導入する事例企業としても知られるため、API連携できる経理・会計サービスとしてはもっとも高い知名度があります。

契約・請求管理ツール

契約と請求に関する管理を自動化し、業務効率を向上させられるのが「Zuora」です。見積もりから収益認識までのデータをレポートして分析する機能もあります。

「DocuSign」は契約書の締結や署名をペーパーレス化できるツールです。対応言語も多く世界中で使え、契約に要する時間とコストを大きく削減できることを売りにしています。

コミュニケーションツール

「Slack」は、多くのユーザーが利用している社内コミュニケーションツールです。Salesforceだけでなく、多くのSaaSソリューションと連携できるのが特徴です。

「LINE WORKS」や「Chatter」も、多くの企業に導入されているコミュニケーションツールです。

Salesforce API連携ツールを導入する際のポイント・注意点

SalesforceのAPIによってツールを連携させる際には、次のようなポイントや注意点があります。導入に失敗しないためにも意識しておきましょう。

課題と必要性を明確に

Salesforceはそれ自体が多くの機能を持ち、強力なツールとして使うことができます。そこにさらに外部のツールを導入したいという声がある場合、Salesforceの機能に何かしらの不足や不便さを感じていることが考えられます。

どういった機能が不足しているのか、または自社の業務にどういった部分が適合していないのか、現状のSalesforceの課題を明確にすることが重要です。課題が明確になったら、その課題に対してどのような機能が必要なのかを考えることで、導入効果の高いツールを絞り込んでいくことができます。

部門間の連携も考慮して

部門ごとに業務に適したツールを導入しても、部門間でそれらのツールをうまく連携できなければ、全体の業務効率がかえって落ちてしまうおそれもあります。

各部門で必要なツールを選定すると同時に、ツール同士の連携が可能かどうかを判断することも必要です。

API提供元に依存する部分がある

API連携によってツールを導入した場合、API提供元が仕様変更を行うと利用者も影響を受けることがあります。また、万が一、API提供元がサービスを停止した場合には、Salesforceとの連携を維持するために対策を講じなければなりません。

API提供元に依存する部分があるということに留意する必要があります。

Salesforce API連携ツールは自社に必要な機能を見定めて

SalesforceとのAPI連携について、APIの概要や種類、連携できるツールの特徴、連携時のポイントや注意点などを紹介しました。

SalesforceのAPI連携では、自社に合わせた使い方ができる有用なツールを組み合わせることで、Salesforceの利便性をさらに引き上げることが可能になります。ただし、業務効率を引き上げるには、自社の業務に必要な機能を見定め、適したツールを導入することが重要です。

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